おれさまにっき
われこそはふじたひろゆき
9げつごき そのノ17
まかいぎょう199はなしめ
「さて・・・あらためてしょうかいを・・・ってあやかおり、どうしたんだ?」
なみだをいつしているあやかおりをみて、ゆきえがおどろいたようにくちをひらいた。
「・・・・・え?」
キョトンとひとみをパチクリとさせ、はじめてじぶんがないているのをさとったのか、あわててめもとをするあやかおり。
「あれれ?なんでないてるんだろう?・・・ゴミでもいっったかな?」
「・・・・・・・・・?へんなヤツだなぁ・・・ってそれより・・」
いいながらゆきえはおれさまをしょうついた。
「ほれ・・・じこしょうかいしろ。」
「ウ、ウッス・・・」
おれはがんきせきはらいをひとつ。
「やぁやぁわれこそはっ・・・・」
いいかけたとたん、ボグッとボクのわきはらにあおいちゃんのひじがめりこんだ。
「ゴ、ゴフンッ!?」
「・・まだ、おしおきがたらないですか・・・・せんぱい?」
めもとにきょうきのわらいをうかべ、あまくささやくようにおれのみみもとであおいちゃん。
おれはブルブルブルとしんどうコントローラーばりにくびをふるわせ、「もうしないですぅ・・」とつぶやく。
なんちゅうか、じぶんでいうのもなんだが、みもこころもほうかいすんぜんだ。
「さ、せんぱい・・・みなさんにごあいさつを・・・」
「・・はい・・・」
おれはがんき、あらためてめのまえにいるあやかおり、セリオ、マルチをみつめる。
「え、え〜と・・その・・・・おれ・・いやぼくはふじたひろゆきといいます。17としです。じぶんでいっっちゃいますが、けっこうグレイトなやろうなんです。ちなみにそんけいするにんは、あごがわれているじっしゃばんシャアです。」
そういっったしゅんかん、さきほどとはぎゃくのわきばらにゆきえのあがめりこんだ。
「ゲ、ゲフンッ!?」
「きさま・・・・アレか?そんなにわたしをじょくめたいのか?」
「む、むいしきにやっちまうんだよぅ・・・」
なぐられたはらをすりながらおれ。
そして、そんなやりとりをぼうぜんとみていたセリオが、オズオズといっったかんじでくちをひらいた。
「_・・あの・・・さかしたさん。その・・・・ふじたさんとはどーいったごかんけいで・・・」
「え?あ、ああ・・・・その・・・・」
チラリとおれをいちべつし、ためいきをひとつ。
「・・・じゅうおとうと・・・なんだ・・・」
「い、じゅうおとうとなんでしゅかッ!?」
ホェ〜となぜかかんしんしたようにマルチ。
「あぅ・・・ところでじゅうおとうとってなんでしゅか?」
「_・・・・・・・そうですか・・。」
マルチをむしし、あんしんしたかのようにセリオがきんちょうをといた。
「そ、そうなんだ・・・まぁコイツは・・・ぜんこくをフラフラとさまよっているむしゅくにんなんだけど・・・」
きいていると、おれはかなりロクデナシのようだ。
「_はぁむしゅくにんですか・・・・・・、っと・・・それではこちらもじこしょうかいを・・・」
「はいマルチですっ!さかしたさんやまつばらさんとおなじがっこうにとおっているおちゃめでキッチュなメイドロボなんでしゅ!」
セリオのことばをさえぎるように、てをあげげんきいっぱいにマルチがこうえた。
「あ・・・ああ・・・よろしく・・シャイでやさしいふじたひろゆきだ。ひろゆきってよんでくれ。もしくはヒロヒロでもか。」
「_あの・・・わたしとはきのうあって・・・」
「うん・・セリオだね。あらためてよろしく。」
おれはにこやかにがんき、そしてそれまでことのなりゆきをながめているだけだったあやかおりにしせんをうつした。
「・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・プルーデンス・・・・
かのじょにそっくりなあやかおりがしょうくびをかしげ、なつかしいほほえみとともにそこにちょんでいた。
まかいぎょう200はなしめ
こころがみだれていた。
りせいではめのまえにたっているのがあやかおりだとにんしきしているのだが、こころのおくそこにねむるいっしゅほんのうのようなものが、かこをびきずるように、プルーデンスとのわかれのばめんをさいげんしていた。
・・・プルーデンス・・・・おれは・・おれは・・・・・・・・・・・・
「・・・おい、ひろゆき。・・なにしてるんだ?」
ふいにゆきえのこえがひびいた。
ふりかえると、かのじょのまゆはきけんなかくどにけいしゃしつつある。
「・・え、え〜と・・・・・なにがだい?」
「なんだそのつきだしたては?・・まるで・・・だきしめるようなもとしんだな。」
「・・・へっ?」
いわれてきづくおれ。
どうやらいまだにおれは、プルーデンスのかげをびきずっていきているようだ。
「い、いやぁ・・・クセで・・・」
おれはダーハッハッハとわらうが、「・・わたしにはそんなクセみせたことないのに・・」とあおいちゃんのつぶやきでおれはかたまってしまった。
「フンッ・・まぁよい。・・・それよりひろゆき。こいつはらいせいかわあやかぐわっていって、わたしとあおいのむかしからのゆうじんだ。」
おれのうでをとりながら、なぜかいかったようにゆきえはあやかおりのまえでワザとらしくしょうかいした。
「ほれ・・あいさつしろっ。」
・・なにいかってるんだか・・・・
「え〜と・・・ふじたひろゆきです。ゆきえのじゅうおとうと・・・・だそうです。」
「あの・・らいせいかわです。」
どことなくオドオドとしながらあやかおり。
もちろんえんぎだということをおれはみぬいていた。
なんてったってこのせかいではしょたいめんだ。
とりあえずおじょうさまのはしくれとはいえ、あやかおりもそれなりにぎょうぎさほうはまなんでいるのだ・・・たぶんな。
「え〜と、それでだなあやかおり。はなしというのは・・・・・・・・・」
ゆきえはれいのすみこみアルバイトのけんをはなしだそうとくちをひらくが、あやかおりはそれをさえぎるように
「・・あっ・・・とそのまえに・・・」
なにかをおもいだしたかのようなかおをして、じぶんのせいふくのポケットをまさぐり、なにかをおれにさしだした。
「あの・・・これ・・・」
それはまちがうことなしきおれがおとしたせいしゅんのメモリー。
「・・・ど、どこで・・・コレを・・」
そういいかけたとき、
「それはマルチがっ」とマルチがいいかけて、それをセリオがしゃった。
「_ひろゆきさん。・・・みつけておきました。」
「そ、そうか・・セリオが・・・」
「ムキィィィィィィィーーーーーッ!それはマルチがみつけたんでしゅっ!」
こうえながらマルチがセリオにフライングボディーアタック。
メシャッといやなおとをたてて、ふたりがそのばにころがる。
「・・そ、そうなのか・・マルチがみつけて・・」
「_・・はい。わたしのめいれいでマルチさんがみつけました。」
ゆっくりとたちあがると、セリオはニコッとほほえみ、どうじにマルチのがんめんへうらけんがさくれつ。
グシャッとなにかがつぶれるおと。
「あぐッ・・マ、マルチがいつセリオのめいれいをうけたんでしゅかっ!」
どなりながらマルチのてがたながよいかくどでセリオのくびすじにいっった。
「_・・・マルチっ。・・・いいかげんにしないと・・・いかりますよ・・・」
「うるさいでしゅっ。・・・いますぐさんぎょうはいきぶつにしてやるんでしゅよぅ・・・」
・・う〜ん・・・こまったモンだ・・・・・
おれはヤレヤレといったかんじでゆきえにめであいず。
「・・・フゥ〜・・」
かのじょはかるくためいきをはくと、あおいチャンとともにセリとマルチのまにさっていり、ふたりをびきはなした。
「と、とめないでくだしゃいまつばらさんっ。きょうこそはキャンっていわしてやるんですぅ。」
「_さかしたさん。じゃまをしないでください。きょうこそあのヘタレにおのれのやくわりをおしえてやるんです。」
・・・な、なんだか・・・・ふたりともぶっこわれているなぁ・・・・
おれはポリポリとあたまをかきながら、あばれるふたりとそれをやめるふたりをながめていると、のちから「あの・・・」とあやかおりのこえ。
「・・・はい?」
「え〜と・・・これ・・」
そういってさしだすおれのたからもの。
「あ、ありがとう。・・・・・その・・・たいせつなものなんだ。」
おれがそういうとあやかおりはニッコリとほほえみ、そしておれのてのひらにそっとあおいぎょくせきをのせた。
・・・プルーデンス・・・・・
ふいにあのときのこうけいがせんやかにかる。
あのときも・・・おれはプルーデンスにこうやってアイテムをもらって・・・・・おれは・・・おれは・・・・
「・・・だから・・・・なにをしようとしてるんだ?」
そのこえにふりかえると、ふんどのぎょうそうでゆきえがちょんでいた。
「・・・・はい?」
「フッ・・・まるで・・・だきしめるようなもとしんだなぁ・・・・・それもクセか?」
「・・・いやぁ・・・かんしゃのきもちをたいどでしめそうと・・・テヘヘヘヘヘ・・・」
「わたし・・・かんしゃされたことないです・・・」
あおいチャンはそうげんいたのだった。
まかいぎょう201はなしめ
「そういえばゆきえ。・・なにかたのみことがあるって・・・」
セリオとマルチをなだめながらあやかおりがそうきりだした。
「えっ?・・あ、ああ・・・・・その・・・・」
ゆきえはなぜかくちこもりながらおれをいちべつ。
「その・・・・・・・・わすれてくれ。」
「・・・・え?」
キョトンとしたかおであやかおり。
もちろんおれはそれどころじゃなかった。
「お、おいおい・・・ゆきえ。いきなりなにを・・・・・・」
おれがらいせいかわていにすみこみではたらけるようにたのむんじゃなかったのか?
ってゆーかそのためにここまできたんだろう?
だがゆきえはそんなおれをアッサリとむしし、
「・・・じじょうがかえったんだ・・」とあやかおりにせつめいしていた。
・・・・う〜む・・・なにがどうかえったんだろう?
おれはあおいちゃんのみみもとでささやくようにたずねる。
「なぁ・・・じじょうってなんだ?」
「・・・・さ、さぁ・・・・わたしにもさっぱり・・・」
かのじょもくびをねじるばかりだ。
むぅ・・・・ゆきえのヤツ・・・なにをきんでいるのやら・・・・
おれはあたまをかきながらゆきえをぎょうしする。
かのじょはあやかおりとたあいのないせけんばなしをしていた。
しかし・・このままここではなしていてもなんらしんてんがないような・・・・
マルチ、セリオ、そしてあやかおりと、このせかいをもとにもどすためにひつようなおんなのこが3にんもいるのに、なにもすることがないというのはどうも・・・・
おれはしょうしょうオドオドとしながらはなしをきりだすことにした。
「あのぅ・・・・・」
「はいっ、なんでしゅかっ!」
そくざにマルチがはんのう。
つうじょうのマルチからはかんがえれないはんのうそくどだ。
「い、いやぁ・・・その・・・おれのたいせつなものをひろってくれたおれいがしたいんだが・・・・・」
「_おれいだなんて・・・・とうぜんのことをしたまでです。」
マルチをおししりぞけ、セリオがほほえみながらくちをひらく。
「でも・・おれのきもとしてなにか・・・」
「はいはいはいはい、マルチはひろゆきしゃんといっしょにあそびたいですぅ。」
げんきいっぱい、てをあげマルチがこうえる。
「そ、そう?・・・・それじゃあどこかあそびにいこうか?」
そういっっておれはチラッとあやかおりとゆきえにめをやると、
「ちょ、ちょっとマルチったら・・・」とあやかおりはこまったひょうじょうで、ぎゃくにゆきえはムゥ〜とおれをにらんでいた。
・・・・・・・・・なにかおれ、かのじょにわるいことしたのか?
まかいぎょう202はなしめ
なぜかカラオケにきていた。
とうしょ、セリオのていあんにより、みんなでボーリングということになっていたのだが、マルチがすごまじいだだッこぶりをはっきし、カラオケにきゅうきょへんこうになったのである。
まぁおれとしては、やぼうのため、かのじょたちとしんぼくをふかめるイベントだったらどちらでもよいんだが・・・。
・・しかしカラオケかぁ・・・ずいぶんひさしぶりだなぁ・・・・
おれはうすぐらいしつないをみわたし、かんがいしんきにカラオケききにめをやる。
・・フッ・・・でんせつのストリートミュージシャン。・・・こうえんとおりのレスリーウェストとじしょうするおれのギターわざ(テク)がみせれないのはじんだいかんだが・・・・ま、ここはひとつ・・・・・・じまんののどをふるわせてやるか・・・・
おれはそうひとりがんき、となりにすわるあおいちゃんにめをやるのだった。
・・カラオケ・・・・
どうしよう・・・すこしふあんになる。
なんどとなくさそわれきたことはあったが、じつはいままでいちどもうたったことがないのだ。
ひとまえでうたうなんて・・・・はずかしいし・・・・
それにうたじたいあまりくわしくはないし・・・・・
ふじたせんぱいにおんちとかおもわれたらどうしよう・・・
わたしはこまったかおをしながらとなりにすわるさかしたせんぱいにめをやるのだった。
・・・カラオケか・・・・
こういったなんじゃくなばしょはあまりすきではなかった。
しつないにかごってうたうなんて・・・
おもてにでてくみてのけいこをしていたほうがよほどゆういぎだ。
・・それにしても・・・
わたしはさきほどのひろゆきのたいどをおもいうかべた。
・・あのやろう・・・・あやかおりをみたとたんヘラヘラしやがって・・・・・
しんぞうがしめつけられるとおなじに、いかりがフツフツとわいてくる。
・・・ともこは・・ひろゆきをらいせいかわていにすみこませるとかいっってたけど・・・わたしははんたいだ。
そんなことさせるもんか。
いままでとおりじんじゃをきょてんにうごきまわればよいじゃないか。
たしょう、とおまわりになるけど・・・・それでも・・アイツをわたしのめのとどくところにおいておかないと・・・・
わたしはおもいためいきをはきながら、チラッとよこめであやかおりをながめるのだった。
う〜ん・・・なんかひさしぶり。
わたしはソファーにかるくこしかけ、つくえのうえのぶあついプログラムちょうをかたてにとる。
うたうことはすきだった。
むかしはやれピアノだのヴァイオリンだの・・・おんがくにかんしてはあまりよいおもいでがなかったが、カラオケはべつだ。
だってじぶんのすきなうたをすきなようにうたえるから。
・・・それにしても・・・・
さきほどからみょうなしせんをかんじていた。
さっきにもにたけはい。
もちろんだれからかわかっている。
ゆきえだ。
・・なんか・・いからせるようなことしたかなぁ・・・
おもいだしてみるが、これといってなにかしたきおくはなかった。
・・ま、いっか・・・・・・ゆきえがカルシウムふそくなのはいつものことだもんね・・・・
わたしはこころのなかでそうひとりごちると、なにげにセリオにめをやるのだった。
・・・・・クッ・・・
ぞう(はらわた)がにえくりかえっていた。
もちろんぞうなんてないけど・・。
せっかくわたしがみんなでボーリングとていあんしたのに・・・・なんでカラオケに・・・・・
ゆゆしいマルチ。
よのなかじぶんのおもいとおりになるとおもったらおおまちがいよ。
・・・・ふッ・・・・・せいぜいわたしの(?)ひろゆきさんのまえではじをかくといいわ・・・・
わたしにはぜったいおんかんがプログラムされているけどマルチにはないのだ。
しょせんはやすものメイドロボ。
おのれのスペックのひくさをにんしきさせるにはとってもよいきかいだ。
わたしはくしょうしながられんびんのまなざしでマルチをみつめてやるのだった。
なにをうたおうかなぁ・・・
ペラペラとプログラムちょうをめくる。
う〜ん・・・いっぱいありすぎてわからないですぅ・・・
そのほとんどがきいたことのないタイトルだ。
むぅぅぅ・・・マルチのしってるうたは・・・・すくないですぅ・・・・こまったですぅ・・・
でもせっかくひろゆきさんがさそってくれたんですぅ。
ここはひとつおおいにもりあげないと。
わたしはひとりがんきながら、めのまえのひろゆきさんにめをやるのでした。
まかいぎょう203はなしめ
「さて・・・だれがいちばんさいしょに・・・・」
おれはてにしたプログラムちょうをテーブルのうえにおきながらみんなをみわたすと、すぐさまてがあがった。
「はいはいはいは〜い、マルチがうたうんでしゅ〜っ!」
「そ、そうかい、マルチがいちばんてか・・」
あんのじょうというか、よそくとおりのこうどうだ。
「フッフッフ・・・マルチのうたでみんなきょうがくするんでしゅよぅ・・・」
どこからそんなじしんがわいてくるかじんだぎもんだが、マルチはふてきなえみをかくそうともしない。
「_・・フッ・・・それはたのしみですね。」
はなでわらうようにセリオはそういうと、さらにことばをつづけた。
「_それではマルチさん・・・わたしとしょうぶしますか?」
「しょ、しょうぶですか?」
「_ええ・・・みればこのカラオケききには、さいてんきのうがついているようです。どうです・・・マルチさん、しょうぶします?」
・・・・・・・・・ゲッ!?
おれはおもわずあたまをだえてしまった。
どうしていつもしょうぶだとかそーいったてんかいになっちまうんだ?
おれはただ、みんなでなかよくうたってしんぼくをふかめようきめていただけなのに・・・・
「フッフッフッ・・セリオしゃんのそのじしんがどこからでてくるかふしぎですねぇ。」
うでぐみしながら、なぜかじぶんのことをたなにあげ、マルチがそういっった。
もちろんしょうぶごととなればあやかおりがだまっているわけがない。
ひとみをかがやかせ「おもしろそうねェ〜・・それだったらみんなでしょうぶしましょう」とじたいをさらにややこやしくするていあん。
ハァ・・・・・・・
おれはおもいためいきをはきながら、チラリととなりにすわるあおいチャンとゆきえにめをやるが・・・
・・・・・・・・・・・・あれれ?
かのじょたちはなぜか、ひょうじょうにとまどいのしょくをだえたままことばをはっしなかった。
・・っかしいな・・・ふたりともしょうぶごとはすきなはずなんだが・・・・・・
「ど、どうしたの・・・あおいちゃん?」
おれはそっとこごえでかのじょにといただす。
「い、いえ・・・ただ・・・うたはちょっと・・・」
あおいちゃんはほおをあからめふいてしまった。
・・ふぅむ・・・ゆきえもか・。・・そういえば・・・このふたりとはカラオケははじめてだったような・・・・
それいぜんにマルチとセリオとあやかおりともはじめてだった。
「どうゆきえ?しょうぶするでしょ?」
あやかおりがとなりにすわるゆきえにこえをかけた。
「・・・・・むぅ・・・・べつにいいけど・・・」
そういっってチラリとおれにめをやり、
「しょうぶというからには・・・・なにかかけるのか?」とぎゃくにあやかおりにといただした。
「う〜ん、そうねぇ・・なにかかけたほうがおもしろいよねぇ・・・う〜ん・・・」
あごにゆびをかけあやかおりがくびをねじる。
「それじゃぶなんに、TOPのにんのいうことをみんながきくっていうのは?」
・・・・・・・・・・ゲッ!?
おれはまたざまでもぐりこむようにしてあたまをだえる。
・・だから・・どーしてこんなてんかいにしかならねぇーんだ?・・・・おれがいちばんヤバイじゃねぇーか・・・
だれがTOPをとっても、なんちゅうかおれのめいうんがことごときるようなきがしてならなかった。
だがしかし、ここでおれののうりにキュピーンッとひかりがはしった。
・・ま、まてよ・・・・もしおれがTOPになったら・・・・・・
なんでもいうことをきくということは・・・たとえばぜんいんとチュウするとかもありなワケで・・・
そうすればあやかおり、セリオ、マルチといっきに3にんGET!!
これはおいしい・・・おいしすぎるぞひろゆき。
おれはせすじをのばし、ソファーにこしかけなおすとひとこと。
「よいねェ・・・そのしょうぶじょうったっ!」
まかいぎょう204はなしめ
おだやかで、どこかきだるいふんいきすらただよっていたカラオケルームは、いまやちんもくとあいぞうがしはいするしゅらばのたいをなしていた。
いいだしっぺのあやかおりも、ばのふんいきのきゅうてんかいにしょうしょうとまどいのしょくをかくせないようすで
「あ、あのさぁ・・・みんなもうすこしたのしく・・・」
と、いまさらながらフォローをいれてみるも、すでにみんなはりんせんたいせい。
とてもじゃないがしょうきとはいいがたかった。
「フッフッフッ・・・マルチがTOPになったら・・・」
ふてきなえみをうかべ、となりにすわるセリオをにらむマルチ。
「・・フッ・・いだいなマルチというタイトルでさくぶんをかかせてやるんでしゅよぅ・・・フッフッフッ・・」
ささやかなねがいだが、けっこうアレもんのおだいだ。
「_・・・フッ・・・それもよろしいでしょう。・・マルチさんがTOPになれたらのはなしですが・・・」
・・・・・どーしてこいつらは・・こんなになかがわるいんだろう?
おれはかおをしかめながら、にらみあうマルチとセリオをながめていると、ふいにクイクイッとそでぐちがひっぱられるかんしょく。
みるととなりにすわるあおいちゃんがモジモジとしたようすで、
「せんぱい・・・わたしがTOPになったら・・・・わたしのいうこときいてくれます?」とひとみにしんけんさをまじえたずねてきた。
もちろんいやなよかんをビシバシとうけるものの、おれはコクンとがんく。
するとかのじょは「・・・・・・・」とほおをあからめむごんでふいてしまった。
なんちゅうか・・・やっぱすこしマズイてんかいじゃないだろうか?
「さて・・いよいよスタートするんでしゅよ〜う・・」
よゆうのひょうじょうをかおなかにちりばめ、マルチがスクッとソファーからたちあがる。
「フッフッ・・みなしゃん・・・みみあなかっぽじってきくがよいですっ!」
いきなりたかびしゃ。
どこからそんなにじしんがでてくるのかじんだぎもんだが・・・・こうせいのうおんかんきのうでもそうびされているのだろうか?
やがてマルチがマイクをかまえるとどうじに、しょうめんのスピーカーからやけにUPテンポなメロディーがながれだす。
ポップちょうにアレンジされたピアノとドラムが、けいかいなリズムをかなでていた。
・・ムッ・・このきょくは・・・ファンタジアのこいひめか・・・むぅ〜・・・
なるほど、たしかにマルチにピッタリのリズミカルなマーチングソングだ。
ナイス・チョイスといえよう。
しかし・・・うたえるのか?
みるとマルチはイントロぶぶんにあわせて、どくじにかいはつしたとおもわれるちんきなおどりをひろうしていた。
くるったギャルゲーあいこうかならはくしゅかっさいのおどりだが、おれはMPがねこそぎなくなりそうだ。
・・むぅぅ・・マルチだいじょうぶかなのか・・・のうが・・・あ、いや・・・・このうたで・・・
このうたはイントロちょくごのコーラスぶぶんがもっともむずかしいといわれているのだ。
・・・・・ぬっ、イントロがおわる・・マルチっ!・・・
やがてさいこうちょうにたっしていたリズムがとつぜんとぎれるように、テンポをきゅうへんしてコーラスぶのどうにゅう。
がめんには、かしのぶぶんがメロディーにあわせてながれるようにしょくをかえていく。
・・WHO-AHA-WHO・・ねんごろだもの♪・・・WHO-AHA-WHO・・こいをしようよ♪・・・
ちいさくつぶやくようにかしをくちずさむおれ。
・・フッ・・なかなかどーして・・・おれだってうたえそうじゃん・・・・
すこしだけかたをゆすりリズムをとる。
だがほかのみんなはぼうぜんとしていた。
そりゃそうだろう。
なぜなら、マルチはうたをわすれたかのように、いまもくるったようにおどりつづけているだけなのだから・・・・・・・
★こいひめ★
WHO―HA―WHO
ねんごろだもの
WHO―HA―WHO
こいをしようよ
たいくつなひびに
かたてあげて
さよなら
ほら みてごらん
そらがたかいよ
にじのむこうに
くものむこうに
まだみぬだれかがほほえみ
くすりゆびのまほうかければ
ときめき ながれて
WHO―AH―WHO
こいひめだもの
WHO―HA―WHO
ねんごろだもの
WHO―AH―WHO
こいをしようよ
1996 Fantasia
まかいぎょう205はなしめ
ジャ〜ン〜〜・・・・♪
スピーカーからながれるおんがくがゆるやかにフェードアウト。
マルチはこうこつとしたひょうじょうで、
「・・はふぅ・・・・ハートとビートがいったいかしたんですぅ・・」などと、どこぞのおんきょうかんけいのCMコピーみたいなことをほざいていた。
もちろんおれをふくめ、みんなはぼうぜんじしつ。
けっきょくマルチはひとこともくちをひらかず、ただおんがくにあわせておどりくるっていただけだったのだ。
「フッ・・どうですか、みなしゃんっ!」
マイクかたてにふんぞりかえるマルチ。
「い、いや・・どうですか?といわれても・・・」
あやかおりがなきそうなかおでそういっった。
たしかに・・・なんてこたえればいいのだろう?
これでダンスがすごまじくうまい、とかだったらなんとかかんそうをのべることができるが・・・あのおどりではしょうしょう・・・
みていておれさまきもちがわるくなってしまった。
まるでぶっこわれたファミコンロボットのようなうごきだったのだ。
「フッ・・みなしゃんグーのおともでないようですね。」
ニヤリといやなえみでマルチ。
「さぁ、マルチのてんすうをみるがよいですっ!」
そういっってビシッとがめんをゆびさす。
もちろんてんすうはれいてん。
おうねんのロボコンばりのてんすうで、バッテンパンチ30はつはかたいてんすうだ。
「フェッ!?な、なんじゃこりゃーーーっ!ですぅ。」
マルチだいぜっきょう。
そしていきなりがめんにハイキック!
「どこにめをづけてるんでしゅかっ!このオンボロきかいめっ!」
ビシッビシッとがめんがおとをたてゆれる。
じつになんというか、ヤクザかおまけのいんねんのつけかた。
みみならついているかもしれないが、めはねぇーだろう、めは。
「_フッ・・マルチさんおとめなさい。きかいがこわれてしまいます。」
ちょうしょうするかのようなひょうじょうで、セリオがマルチをはがいじめにしながらカラオケききからとおざけた。
「_どうやらマルチさんののうはかいめつてきダメージをうけているようですね・・・・ながせしにみてもらいましょう・・・・。」
「な、セリオしゃんはマルチをこしょうあつかいするですか!ああ、そうですか、もういかったんでしゅっ!」
そうさけぶや、ごういんにセリオのうでをふりはらうと、マルチはビシッとセリオをゆびさし、ふたたびこうえた。
「だったらセリオしゃんがマルチのれいてんをこえてみるがよいですっ!」
・・・そりゃかんたんだろう・・・・・
ひらいたくちにあが3つもいるほどおれはビックリだ。
もちろんほかのめんめんも、なにがなんだか・・マルチおっかねぇ・・というかおをしていた。
ほんとうにこわれているんじゃないか・・・マルチ?
「フッ・・こえるじしんがあるんですかぁ?」
「_・・・あたりまえです。・・・ようじだってあなたのきろくをぬりかえることはできましょう。」
「フ〜ン・・だったらかけるですぅ。・・・・セリオしゃンがマルチのきろくをぬりかえれなかったら・・・じごくをみてもらいますよぅ・・・・クククク・・」
「_・・・・・・・・じょうとう・・。」
セリオはかおをひそめ、そしてひったくるようにマルチからマイクをうばうと、ちいさなステージのうえにたった。
「_わたしがかったらマルチさん・・・そのときはあなたがじごくをみるでしょう・・・・」
「よいですよう・・なんどでもみてやるでしゅ。」
このとき、おれはみのがさなかった。
セリオがマイクをうばったしゅんかん、マルチのくちもとにニヤリとしたわらいを。
・・・わ、わなだ・・・これはマルチがしかけたわなだ・・・・・・・・
どんなわなかまったくわからないが、とにかくマルチがなにかきんでいることはむいしきのないにりかいできた。
あのくちもとにひろがったこそくなびしょう・・・あきらかにセリオのはいぼくをよかんさせるあくまのほほえみ。
おれさまけっこうドキドキだ。
「_フッ・・・それではうたってみますか・・・・」
セリオのつぶやきとどうじに、スピーカーからものしずかなバックミュージックがながれだす。
ピアノしゅたいのせつないメロディー。
・・むぅ・・これは・・・おなじくファンタジアの、このメロディーにのせて、だな・・・・・
ゆったりとしたかんじのバラードきょく。
これまたナイスチョイスだった。
・・しかし・・・・どうしておどるんだ?
みるとセリオは、マルチとどうようにばんそうにあわせてオリジナルのダンスをひろうしていた。
たしかに、マルチのおどりにくらべればいくぶんかマシなものの、それでもけっこうイタイ。
みているこっちがはずかしくてせきめんしちゃいそうである。
やがてばんそうがしずかにおわり、メロディーラインがながれでてくる。
セリオはそっとばんかんのおもいをこめるようにマイクをりょうてでにぎりしめると、しずかにくちをひらいたのだが・・・・
スピーカーからはっせられたのは、メーザーほうのいっせいしょうしゃをあびたラドンのおすさけびのようなふきょうわおんだった。
★このメロディーにのせて・・・
やさしすぎるから
こころはなれて
いつもひとり
もうなかないで
いつでもここに
ぼくはいるから
くんへのおもい
このメロディーにのせて
あきのにちぶう
かれはのように
くんにとどけ
さびしすぎるから
こころひとつに
くんとふたり
もうなかないで
くんのとなりに
いつでもいつまでも
ぼくがいるから
あいのことば
このメロディーにのせて
きせつをめぐる
かおりのように
くんのとどけ
こよなくせつないこのメロディー
くんにとどけ
1995 Fantasia
まかいぎょう206はなしめ
キュイ〜〜ン・・ボワ〜〜ンボワ〜ン・・・・・・
なんともいえない、みみをつんざくふかいなおと。
おれはむいしきのないにみみをふさいでしまう。
こ、このおとは・・・・・・ッ!?
みるとまわりのみんなもウヘェ〜といっったひょうじょうで、かんじんのセリオはせきめんしながらオロオロとしているだけだった。
「_な、なんで・・・・」
「フッフッフッ・・・・ひどいおとですぅ・・」
マルチがズゴゴゴゴとあらてのスタンドつかいがとうじょうしたときのようなかんじでセリオをゆびさす。
「みみざわりでしゅっ!さっさとでんげんをきるがよいですッ!」
マルチのしょうりせんげん。
セリオははじめてはいぼくをしったしけいしゅうばりにかたをおとし、そしてでんげんをきった。
ふかいなおとはけされ、しつないにはふたたびせいじゃくな、どこかあんたんとしたふんいきがただよいはじめている。
「・・な、なんですかね・・いまのおとは・・」
となりにすわるあおいチャンが、そっとおれのみみもとにかおをちかづけたずねてきた。
「・・・ハウリングだ・・」
ひたいからあせがツツッとおちる。
「ハウリング?」
「そうだ・・。マイクとスピーカーをちかづけさせるといやなおとがでるだろう、あれだよ・・・・」
もんだいはなぜにセリオが・・・・
「_ばかな・・・・わたしはふつうにうたおうと・・・・」
ふだんはぜったいにみせない、オロオロとしたひょうじょうでセリオがくちをひらく。
「フッ・・・セリオしゃんも・・・ぞんがいおポンチでしゅねぇ・・・」
ふだんはぜったいにみせないよゆうにみちたひょうじょうでマルチがたたみかけた。
「よいでしゅか・・・・マルチたちのじんこうせいたいと、カラオケききについたやすものマイクはあいしょうがわるいんでしゅよ・・・しらなかったんですかぁ?」
クククとわらいをかみころすようにマルチ。
ガガーーーン!?
おれののうりにさきほどのいやなえみをうかべたマルチのすがたがオーバーラップする。
そ、そうか・・・・・・だからマルチはうたわずにおどっていたのか。・・・しかもそれはセリオをちょうはつする2おものわなになっていたとは・・・おそるべし・・・・
まさにてんしのえがおにあくまのこころをもつメイドロボ。
いっかにいちだい、ぜったいにかってはいけないしろものだ。
「フッフッフ・・・・セリオしゃん。セリオしゃんはとちゅうででんげんをおとしたかられいてんいかなんです。だからマルチのかちなんですよ・・・ククク・・」
いやになるくらいのれいこくなえみをうかべて、セリオのかたをかるくたたきマルチがいう。
まるでじゅんしんむくなしょうじょをおどしているちゅうねんおやじのようなしぐさだ。
「さ〜て・・・・マルチのじごくへしょうたいするですぅ・・・」
「_・・・クッ・・・」
・・ど、どんなじごくなんだろう?
おれさますこしドキドキだ。
「なぁ〜に・・セリオしゃん。そんなにビクつかないでもよいですよゥ。かんたんなことですぅ。」
そういっってマルチはカバンからなにやらゴソゴソととりだし、それをセリオにわたした。
「・・・コレをかってくれればよいんですぅ。」
「_・・・・・な、なんですか・・コレ?」
そういっったセリオのくちょうはすこしだけふるえていた。
「フッ・・・みてのとおり、マルチとくせいオリジナルフィギアなんですぅ。これを・・・30まんでかってくだしゃい。」
こうせいとりひきいいんかいもビックリのこうりかかくだった。
「_・・・・・・・・・・・・・・・」
「そんなかおしても・・しんぱいないですよ〜う。ここだけのはなしなんですが・・・コレをほかのにんにうれば、いったいにつきいちまんえんのマージンがいるしくみなんですぅ。」
「_そ、そうなの?」
・・・い、いや・・それはなんちゅうか・・・マズイだろう?
マルチのなまえをそのままもったしょうばいだぞ・・・・・。
「だから・・セリオしゃんがうればうるほどもうかるですぅ。うらなければじごくですがね。」
・・た、たしかに・・マルチのじごくとはいっったものだが・・・し、しかし・・・・
ここでおれのこころにひとつのぎもんがめばえた。
それは・・・・・・・
おれがそうおもったしゅんかん、そのぎもんをあやかおりがげんいた。
「と、ところで・・・マルチはうたえないのに・・なんでカラオケがよいっていっったの?」
そうなのだ。
カラオケにいきたいとだだをこねたのはマルチほんにんなのだ。
「・・・けっってるでしゅ。」
アッサリとそういうと、なぜかおれのほうへあついしせんをあびせるマルチ。
「マルチは・・・マルチはひろゆきしゃんのうたがききたいからですぅ〜♪」
そういっっていきなりおれのむねへしなたれかかってきた。
「ま、ま、マルチ・・お、おいおい・・・・」
「う〜ん・・ひろゆきしゃん、うたうですぅ・・」
「わ、わかったから・・・・だきつくなって。・・・だ、だいたいきょうはつめてあったばかりでだいたんすぎるというか・・・・・・ってなぜみんなおれをにらむんだ?」
からだじゅうにささるしせんが、おれのしんけいをズタズタにきりさくかんじがしたのだった。
まかいぎょう207はなしめ
「え、え〜と・・・それじゃ・・・つぎにわたしが・・・う、うたいます・・・」
きんちょうのためか、ややきょうはったひょうじょうであおいちゃんがせきをたった。
ってなぜにカラオケごときにそんなにきんちょうするんだ?
「あおいのうたかぁ・・・はじめてきくなぁ・・・」
あやかおりがポツリともらした。
・・・むぅ・・・・あおいちゃんはどんなうたをうたうのかなぁ・・・
おれはあごにてをあてかんがえる。
やっぱりげんきなあおいちゃんは、ポップなかんじのうたがにあうよなぁ・・・・
アニメソングだったらイメージはボロボロだ。
「あぅぅ・・まつばらさんはマルチよりうまいですかねぇ〜・・」
いまだおれのうでにからだをすりづけながらマルチがつぶやく。
しかし、マルチはうたってないぞ?
どうひょうかしてやればいいのだろう?
やがてしずかなピアノのおとがスピーカーからながれだした。
よそうがいにもおとなびたふんいきのバラードきょくだ。
ストリングスのさえたひびきがおれのみみにきもちよくひびく。
「あぅ・・・・マルチもとくいなんですよぅ・・このきょく・・・」
おれのむなもとにゆびをあて、なぜか「の」のじをかきながらマルチ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そ、そう?」
このきわ、マルチはほうっっておこう。
おれはマイクかたてに、なぜかちんいたなおももちをかくせないあおいちゃんをジッとみつめる。
もちろんしんけいのたいはんはみみにしゅうちゅうだ。
・・・う〜んドキドキしてきましたよ・・・あおいちゃんのうたごえか・・かわいいんだろうなぁ・・・・
やがてしずかにばんそうがおわり、あおいちゃんがそっとくちをひらいた。
「・・きせつ〜♪めぐり〜♪がっぴ〜♪へっても〜〜♪」
・・・・・・・ゲッ!?ジャイアンリサイタルッ!?
いきなりこまくがきけんしんごうをはっした。
きんきゅうけいほうはつれい!
がいぶとうじょういんはすみやかにちょうかくしんけいをしゃだんせよ。
くりかえす、すみやかにちょうかくしんけいをしゃだんせよ。
これはくんれんではない。
「あががががが・・・・・」
マルチがいみふめいにガタガタとふるえだす。
「あぐぐぐ・・のうが・・ののののの・・・あぐぐ・・★△○×♪ギ・・ガガ・・・・」
みるとみみからすこしだけしろいけむりがふきだしていた。
もちろんセリオをどうよう。
ぼくのしらないなにかがひょういしたイタコばりにからだをぜんごにゆすり、「ケケケケケケ・・・ピーーーーーーッ」とエラーしんごうをはっしていた。
・・あ、あわわわわわ・・・ま、まさかあおいちゃんが・・・あおいちゃんが・・・あぐぐぐ・・のうがゆれる・・・・・・
キリキリとあたまのおくからなにかがはいだしてくるようなかんかく。
そのどに、たのしかったおもいでがひとつひとつしょうきょされていく。
もちろんあおいちゃんはまったくきづかないのか、めをめいりこうこつとしたひょうじょうでねっしょうなか。
かのじょのうたごえがスピーカーからながれるど、マインドコントロールをうけているかのごとく、じいしきがかってにとおいせかいへたびだっていきそうである。
・・おおお、おちつけひろゆき・・・まだじんるいがやぶれさったわけではない・・・・だれだってふとくいなものがひとつくらいあるはずだ・・・・あぐぐぐ・・・・・・
おれはともすればうしないがちないしきを、なんとかきりょくでたもちながら、チラリとゆきえとあやかおりにしせんをはしらすが・・・・・
ふたりともすでに、おれのしらないとおいせかいへたびだったあとであった。
★Pal
きせつ
めぐり
がっぴ
へっても
くんは
くんの
ままで
ちがう
みちを
あゆんだとしても
いつも
くんは
くんで
ふりかえればいつもそこに
まるでかげふみするように
PalをLoversにかえる
かこからみらいへ
おもいで のちにして
おとなになる
おとこと
おんな
たぶん
ほんとう
これで
いいさ
きっと・・・
おなじ
おもい
むねにひめて
ずっと
くんと
いるさ
ふりかえればいつもそこに
まるでぼくのかげをおうように
PalをLoversにかえる
おもいではあいへ
せつなさのこして
おとなになる
1998 SingleFantasia For 12Stars
まかいぎょう208はなしめ
・・・・・・じごくのせめくが、やっとおった。
わずか5ふんたらずでおれはしんしんともにきょくげんじょうたいをあじわい、のうないまやくもドバドバとあふれ、すこしだけナチュラルなハイじょうたい。
「ハァ・・・はずかしかった・・・」
ほおをあからめ、そうつぶやくようにしてあおいチャンがせきへもどってくる。
「わたし・・・ひとまえでうたうなんてはじめてなんです・・・」
ペロッとしたをだし、かわいあおいちゃん。
もちろんそのうたごえはかわいない。
どちらかというとたいりょうさつりくへいきだ。
「そ、そうかい・・はじめてなのかい・・・・・・・・」
そいつはラッキーだ。
もちろんたにんさまのために。
「あ、そういえば・・・てんすうは・・・・」
ふいにおもいだしたのか、あおいちゃんがかおをあげモニターがめんをみつめる。
「な、なんてんなんだろうねぇ・・・・」
おれもわらいながらしせんをむけてみるが、てんすうとかそういったもんだいじゃないようなきがした。
たとえていうなら、にんをさつめておいて{なんねんくらうかなぁ}、とほざいているようなもんだ。
やがてがめんがきりかわり、とくてんはっぴょう。
がめんにはすうじではなく、いきなりもじがおどった。
[ひょうかふのう]
ワープしっぱい、いいの○おさむはいぼくといったところだろうか?
「・・・・・・・・・どーゆーいみでしょうか・・・・」
ポツリとあおいちゃんがつぶやく。
そのひょうじょうはしゅつどしたハニワのようなかんじだ。
「・・さ、さぁ?・・・マ、マイクのちょうしがわるいのかなぁ・・・・ハハ・・・・・」
おれはくしょうしながらかのじょのきもちをりょってごまかすが、いまだガクガクとしているマルチが、あおいちゃんをにらむようにげんいた。
「・・・れいてんいかってことでしゅ〜・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ピシッとがんめんにきれつがいるほどせきかするあおいちゃん。
「お、おいおい・・それはちがうだろう・・・・・」
なんとかフォローをいれつつ、マルチをけんせいしようとするが、こんどはセリオがくちをひらいた。
「_・・・メモリーのいちぶがはそんしてしまいました。・・・・EMPこうげきをうけたかんじです・・・・・」
まさにふんみそなひょうか。
いっきょくもまんぞくにうたえていないこのふたりに、こうまでいわれるとは・・・まぁいわれてもしかたないが・・しかし、にんげんとしてのそんげんが・・・
おれはオロオロと、ふいたままだまりこくってしまったあおいちゃんをはげます。
「き、きにするなよ。・・・だ、だれだってさいしょはきんちょうするし・・じつりょくがでないって・・・」
「・・じつりょくだしたらしぬかもしれないですぅ・・・」
「_・・・いでんじょうほうにじゅうだいなけっかんがあるとおもわれますが・・・」
くちぐちにもんくをいうマルチとセリオ。
「はふぅ・・・まつばらさんはじぶんのこえがきこえないんですかぁ・・・・ツンボですぅ・・」
「_わたし・・うでのよいじびいんこうかをぞんじておりますが・・・」
そのとき、ふいにあおいちゃんがふいたままげんいた。
「・・・・・・・・くっちまうぞ・・・」
レクターはかせもないてにげだすドはくりょく。
ふかくにもこのおれさま、こしからしたのふるえがとまらなかったのだった・・・・・・
まかいぎょう209はなしめ
「よ、よし。それじゃあ、このおれさまちゃんがうたってみるかな・・・っと・・・・」
おれはそそくさと、いやなオーラをはっしているあおいチャンからにげだすようにちいさなステージにあがった。
みると、マルチとセリオはおたがいにだきあうようにしてガタガタふるえているし、ゆきえとあやかおりはいまだゆめげんじょうたいだ。
・・クッ・・このなんともしがたいさつばつとしたムードをすいはらうには・・・うただ・・・おれのうたしかないナリよ!
よくわからないけついをむねに、おれはおおきくしんこきゅう。
もちろん、うたううたはじゅうはちばんなかのじゅうはちばん、SingleSのParadigmRoad。
なにがもちろんかびしょくくらぶのかいいんぐらいなぞだが、ここはひとつ、おれさまのびせいでみんなをしあわせのくにへごしょうたいするのだっ!
やがてけいかいなUPテンポリズムがスピーカーからあふれだしてくる。
かたでリズムをとるように、けいみょうなおどりをひろうするおれ。
・・・っておれもおどってるじゃんッ!?
これがシンクロニシティというげんしょうだろうか?(ちがうとおもう)
・・クッ・・まぁいい・・・すてきなうたにトリッキーなダンスのダブルプレゼントだ・・・
しゅっけつだいサービスだった。
おれはかろやかにステップをふみながら、ちいさなステージをところせましととびまわる。
ぼうからみたら、ようじきになにかしんこくなたいけんをしたのでは、とうたがわれるかもしれないほどのサイケなダンス。
しかしそんなことはどうでもよい。
このふんいきをかえれたら・・・そして、なんとしてもこうとくてんをGETして、わがやぼうをかなえるのだ。
おれはちからづよくマイクをにぎりしめ、しずかにくちをひらく。
いま、でんせつがはじまるのだっ!
★Paradigm Road
めがあうどに
ゆめのなか
てがふれるだけで
ちがのぼる
まじょのみりょく
こいのじゅばくにとらわれて
さまよいだしたときめきは
なみまにゆれるかれはのよう
こんやは
(ParadigmNight)
ゆめが
(さめたら)
まちは
(しずかに)
うごきだす
ハートしかけの
CitySwimmer
みつめあうど
ゆめうつつ
てをとりあい
そらにのぼる
まじょッきなキス
さいみんじゅつをかけられて
ながれだしたときめきは
なみまにゆれるかれはのよう
だけど
(ParadigmNight)
よるが
(おわれば)
ときが
(ふたたび)
うごきだす
こわれかけたかいちゅうどけいのように
1992 SingleS
・・・・かんぺきだ・・・
じがじさん。
・・なんちゅうか・・・おれっててんさいじゃ・・もとい、てんさいじゃなかろうか?
まんがいちかしゅとしてデビューしたら、ヒロッキーのあいしょうでファーストアルバム800まんまいはいけそうだ。
うたいおわったのちのこうようかんによいしれ、おれはゆっくりとみんなをみわたす。
おどろき、きょうたん、しょうさん・・・いろいろなしせんがおれをけんづめている。
じつにきもちがよい。
さいしょにくちをひらいたのはマルチだった。
「フェェ〜・・・・う、うまいですぅ・・・・ひろゆきさん・・スッゴクうまいですぅ・・・」
「フッ・・・もっとほめてくれ・・・」
「・・・せんぱい・・・すてきでした・・」
ひとみをかがやかせながらあおいちゃん。
「・・・ありがとう・・・すてきはおれのミドルネームだからな。」
「ひろゆき・・・・そんなさいのうがあったのか・・・・」
おどろいたようにゆきえがかんたんのおももちでくちをひらく。
「・・・フッ・・・かくしたつめをすこしだけだしてみたのさ・・・」
そんなことをいっっているまに、がめんにてんすうがひょうじされた。
「_・・・・すごい・・・」
セリオがかるくおどろきのこえをあげた。
「ふむ・・まぁ・・こんなモンか・・」
つぶやきながらおれはドカッとゆきえとあおいちゃんのまにこしをくだろす。
てんすうは・・・92てん。
じつになんちゅうか・・・・・・まいにちさげすまされ、なぐられるおれさまにだって、ぐうにはヒーローになれるときがあるのだ。
よかったなぁ、じぶん。
ちょっとだけなみだがこぼれた。
まかいぎょう210はなしめ
「え、え〜と・・・じゃあつぎは、わたしがうたおうかなぁ・・」
あやかおりが、なぜかゆびをポキポキとならしながらせきをたった。
なんちゅうか、このグレイトでワンダフルな、ひらたくいうとデリシャスなおれののちにつづくとは・・・ひょっとしてじしんがあるのだろうか?
「なぁ、ゆきえにあおいちゃん・・・・あやかおりは・・うまいのか?」
おれはとなりにこしかけるあおいチャンとゆきえに、ささやくようにといかける。
なんとしてもTOPをとり、ぜんいんにキスをささげるのがいまのおれのしめいアーンドしゅくめいなのだ。
「・・・・わからん・・・きいたことなしいからな。」
アッサリとゆきえ。
「わたしも・・・きいたことないです・・・」
こまったえがおであおいちゃん。
「そうかぁ・・・・むぅぅ・・・・・・」
こいつはとんだふくへいかもしれない。
あやかおりがもし、こうとくてんをあげTOPをとったら・・・いったいなにをねがうのだろう?
まちがっても、このおれとチュウをしたい、とはいわないだろう。
さすがにこのせかいではきょうがしょたいめんだ。
そんなことはじょうしきてきにかんがえてありえないのだ。
・・ま、このおれがうちたてた、なんこうふらくのきんじとう、92てんをこえることなど・・・ありさまはずがないか・・・・・フッ・・・
おれはきをとりなおすようにソファーにふかくこしかけ、ステージにたつあやかおりをみつめる。
・・・・あやかおりか・・・・ホント、プルーデンスとそっくりだよなぁ・・・・・・
おれのかわいいめがみ。
いっしょうにいちどだけのおうせであったが・・・できればかのじょのうたごえもきいてみたかったな・・・・でも・・あおいちゃんみたいだったら・・どうしよう?
おれはそんなおそろしいことをかんがえながら、チラリとよこめでそのあおいちゃんをみつめた。
「・・・なんですか、せんぱい?」
しょうくびをかしげ、おれのかおをのぞきこむしぐさ。
「・・・いや・・・ちょっとかんがえことを・・・・ね。」
そうつぶやくとどうじに、スピーカーからせつないメロディーがながれだした。
ぼうげで、どこかものかなしいせんりつ。
そしてそのメロディーにあわせるように、あやかおりはかたをゆらし、そのどにながいきぬのようなくろかみがゆれる。
おれはおもわず、いきをひそめてみとれてしまうが・・・
「・・・・なんてかおしてんだよ・・・」
と、となりのゆきえがいきなりおれのふとももをつねるいたみでわれにかえった。
「べ、べつに・・・・・・しずかにきいてようぜ・・・」
「・・・・フン・・・・・」
・・・・・・・・・なにをいかってんだか・・・・・
やがてあやかおりがゆっくりとしたちょうをかなでるようにくちをひらく。
すみきったこえ。
かしのひとつひとつにおもいをこめるように・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・それはまさしく、てんしのヴォイスだった。
★Yukiのきせつはせつなくて
いつからだろう
ふたりのみちが
わかれだしたのは
いつからだろう
やさしさを
うたがいだしたのは
さかのむこうに
くんのほほえみ
とうぼくたちみあげ
ためいきひとつ
Hold on Me Mind
Yukiのきせつはせつなくて
Hold on Me Mind
でんわのベルはつめたくて
Hold on Me Mind
ただせつなくて
どうしてだろう
はれたそらが
さびしいのは
どうしてだろう
あついこいが
つめたくかんじるのは
さかのむこうに
くんのほほえみ
とうぼくたちみあげ
ためいきひとつ
Hold on Me Mind
くんのまぶしさせつなくて
Hold on Me Mind
だいすきなうたもつめたくて
Hold on Me Mind
だからせつなくて
めぐるきせつはまるでめいきゅう
Yukiのきせつはメリー・ゴー・ラウンド
1998 SingleFantasia for 12Stars