キョン「かこし、あるいはサイコメトリー?」 (ぎんまくのさつじんしゃ)
2008-10-10
1 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:00:07.34 ID:vFozzCGB0
『これは、あたしのちょうせんなの』
ハルヒがそのようにせんげんしたのは、まだゆだるようなあつさがのこっていたくがつのことだ。
すなわち、いまからにかげつもまえのことである。
あのにちをさかいにおれたちはじしゅせいさくえいがのさつえいとへんしゅうにひびおわれることとなり、
へとへとになりながらもこうしてきょうをむかえているわけだ。
なにはともあれいそがしいまいにちなのだが、
それだけのながいまえおきがあって、ようやくにしてものがたりははじまるというすんぽうだ。
3 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:04:18.31 ID:vFozzCGB0
まったく、いやになるね。
あきもおわりだというのにれんじつおりつづいているこのひさめ。
しょかにおとなしかったはんどうか、おそざきのはんこうきのようにいまになってつゆいりりしたってあんばいか?
おいんさまでれいかなるこうようをたのしめないばかりか、
いちねんのうちでもっともすごしやすいはずのきせつをみごとにだいなしにしていやがる。
まあ、あきさめというにはおそいがそういうきごもあるくらいだからしかたないのだろうが。
いやになるといえばハルヒをひっとうとしたSOSだんかつどうのほうもだ。
もうこうこうせいかつもおりかえしちてんだってのに、つぎからつぎへとトラブルをだえこんできやがる。
さらにはぶんかさいがちかづいているために、おれはれんじつにつぐえいがへんしゅうさぎょうでてつやをしいられ、ここいちがつほどはまことめんにねむれたよるがない。
まったく、おまえはふくまねきならぬやくまねきかっての。
ふこうはかってでもしろ、なんてありがたいこうしゃくをくださるおねんぱいのかたがたにてあつくプレゼントしてあげたいもんだね。
さてと。
かのようにしてかたったけいいによってまんせいかたずつうをわずらってしまったおれではあるが、
じつはいまげんざい、たいへんこまったじょうきょうかにおかれているらしいのだ。
げんにおれのめのまえにいるメイドふくすがたのあさひなさんも、おどろきのしょくをかくせないでいるしな。
ともかく、ほったんはむじんのぶしつにぽつりとおかれていたゆのみ。
どうやらいへんは、おれがそれにふれたじてんからはじまったらしい。
4 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:06:47.38 ID:vFozzCGB0
そのにちもおれは、ふだんとおりのがくせいせいかつをおくっていた。
とうこうし、じゅぎょうちゅうにははいごからのプレッシャーをきょなし、とどこおりなくほうかとなり、そして。
よていちょうわてきにぶんげいぶぶしつもといSOSだんしつまえへとやってきのだ。
つうれいのように、おれはあさひなさんのえんぜんたるほほえみをきたいしつつノックをおこない、
しかしへんじがなかったことにさかのらくたんをまじえてしつないへとしんにゅうした。
で、むじんだったわけだ。
かわりにゆどんがひとつだけ、ぶしつちゅうおうのテーブルうえにインテリアデザインのごとくおかれていた。
そのなかみをのぞきこんでみると、どうやらそこのほうにわずかだけのおちゃらしきみずけがのこっている。
さらにテーブルうえにはみずけがひろがっており、それがとこにまでしずくっていた。
おちゃといえばあさひなさんだが、ひとりぶんだけならばほかのだれかがじしんでえんれたというかのうせいもひていはできない。
なぜだかわからんがおれはちょっとしたすいりにきょうをそそいでみようとおもいたち、
まずはげんぶつをしらべるのがじょうとうしゅだんだろうとのことで――
ゆのみをてにとった。
5 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:07:49.35 ID:vFozzCGB0
とたん、じゃくでんりゅうににたしょうげきをうでにかんじ、ともなってせかいがあんてんした。
それからザザッとホワイトノイズがはしったかとおもうと、
つかいふるされたしろくろテレビのようにふせんめいなビジョンがうかびあがってきたのだ。
おくあれた、ろうなえいぞう。
おとはノイズのなみにかきけされてつたわってはこない。
だが、そこにいたじんぶつがだれであるのかくらいはみてとれた。
あさひなさん……?
”おれ”のめのまえにはせいふくすがたのかのじょがいた。
おれのめのまえ?
いや、いやちがう。
なにがちがうのかって、してんがことなっているのだ。
おれはいすにこしかけたじょうたいでゆのみをてにとった。
が、この”してん”からのえいぞうはまぎれもなくぶしついりぐちとびらすぐのいちからの”だれか”によるもの。
あるいは、”なにか”のもの。
こんらんしそうではあるが、おれのものであってほかのものであるということらしい。
ややこしいなまったく。
6 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:08:54.12 ID:vFozzCGB0
おれはしろくろえいぞうのかんさつをつづけていく。
あさひなさんのこうどうはたんじゅんだった。
ぶしつにいちばんのりりしていたらしく、だれもいないしつないをゆるりとみわたす。
ついで、おもいついたようにぶしつすみをふりかえる。
するとどうやらでんきポットからじょうきがふきだしているらしい。
なるほど、ふりかえったのはあらかじめセットしておいたものがわき、タイマーおとでもなったためか。
やがてゆげをたてるそれをきゅうすへそそぎ、こんどはきゅうすからゆのみへ。
そのひとつだけのゆどんをぼんのうえへとのせ、
コトリ。
とおとはつたわってこないのだが、テーブルうえにゆどんがはこばれたことはわかった。
あさひなさんはぼんをポットよこにしまうと、しとやかにちゃくせき。
おちゃをてにとり、ものゆうげなためいきをはくようにいきをふきかけ……
ているさいちゅうにすべりおとした。
テーブルぎりぎりのいちでころげるゆのみ。
はねるねっとう。
あさひなさんはふいのがいてきとそうぐうしたねこのようにとびしりぞき、イスもひかれてふっとんでいた。
ん?
ひだりてをさかんにふっている。
かわしそこねてあびちまったのか。
さらにはスカートのすそもじゃっかんながらぬれているらしい。
あのおちつきようからさっするに、きせきてきにもすはだをさらしているふとももぶぶんにはいたらなかったようだ。
あさひなさんはじしんのじょうたいをかくにんすると、じょにスカートにてをあててぬぎ――
7 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:09:55.87 ID:vFozzCGB0
「うお!?」
とうとつ。
せかいにしょくあじとしつかんがもどってきた。
ふだんならばききおとしてしまいそうな、ざわめくくうきもかんきょうおととしてかんじられる。
もうすこしでいいところだったのに、ちくしょう。
いやいや、なにをかんがえているのだおれは。
びのかみのプライベートゾーンをのぞきみるなんてとんでもないだろ。
だがしかし、あれはのぞきではなくげんかく、またははくちゅうむだったというかのうせいもある。
つまりはおれがわるいわけじゃあない。
ああ、きっとそうさ。
だからもうちょっとだな……。
「あれ、キョンくん」
のわぁっ!?
「どうしたんですか?」
いきなりとびらをひらかんでくださいよあさひなさん。
おれはいま、ひじょうなるかっとうとたたかっているさいちゅうでして……
「って、どうしたんですか、そのひだりて?」
「え、これですか?」
ややはずかしげにめはいせたかのじょは、こおりのうかたてにわらいながらしたをだしたのだ。
「やけどしちゃいました、おちゃをこぼしちゃったので」
このしゅんかんおれは、じしんがなにかにまきこまれたのだとさとった。
8 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:10:56.64 ID:vFozzCGB0
それからすうふんかん。
おれはみぶりてぶりで、あのしろくろビジョンでのないようをつたえていった。
けっか。
「どうしてそれを?」
おれのめのまえにいるメイドふくすがたのあさひなさんがおどろきをつゆわにした。
ほそくしておくと、これでぼうとうぶへとつながったわけである。
「たしかにあたしはおちゃをくんで、おぼんにのせてはこび、テーブルにおいてからその……」
とりおとしてひだりてをやけどしたと。
かのじょのはなしによると、それからいそいでふくをきがえ、ほけんしつにてこおりのうをもらい、いまにいたったとのことだ。
なんにせよたいかきずをおわずによかったってものだね。
「すみません、しんぱいかけちゃったみたいで。
けど、ほんとうにどうしてわかったんですか?」
「それはその、おれにもよくはわからないのですが……」
たんてきにじょうきょうをせつめいしていく。
ちなみに、あのぶぶんにいたるまえでえいぞうがとぎれるたとへんしゅうしておいた。
えいぞうへんしゅうはまがりかたちにもけいけんずみみだしな。
そういうやりとりのまつにえられたかいとうが、
「ふしぎですねぇ」
というきわめてきゃっかんてきで、かつじしんがみらいじんというふしぎのひっとうであることをぼうとなげすてたものだった。
9 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:11:55.53 ID:vFozzCGB0
「やぁ、どうも」
まっていたぜこいずみ。
あさひなさんとふたり、せったいオセロにはなをさかせながらだけどな。
「なるほど、くわしくおきかせねがえますか?」
「オーケイ、はなしがはやくてじつにたすかる」
ふたたびのひとりえんげき。
キャストはおれ。
おもしろくもなんともないが、にどめともなればいしきせずともえんぎにねつがいるものだ。
「しゅえんだんゆうしょう、そうなめですね」
「ほっとけ」
「すみません、ではほんだいに」
「たのむ」
こいずみはニヤけをごういんにおさえこむと、けつろんからきりだした。
「おくそくにすぎないのですが、おそらく、かこし、あるいはサイコメトリー。
もしくはそれらにふずいするものではないのでしょうか」
かこし、あるいはサイコメトリー?
おれはまぬけにもふくしょうしてしまっていた。
「ちょうしんりがくのぶんやではESPなどとよばれいるものですね。
いっぱんせけんてきにはちょうのうりょくとされるものですよ」
どうやらおれは、いっぱんじんではなくなったらしい。
10 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:12:50.30 ID:vFozzCGB0
そのむかし、ジェームスさんはいいました。
いたずらにちょうのうりょくをしんじこんじまうのは、きわめてきけんなことなのだと。
それがじんせいをくるわせかねないじたいをまねくことになるのだと。
すべてはカルトなのだと。
だからおれもかくしょうなくしてはみとめん。
ってこら、なにをうれしそうにしているんだよこいずみ。
「すみません、これでぼくたちもはたけはちがえどにたものどうしになれるのかなと。
それから、これだけのいじんがつどうSOSだんないにおいて、かいぎろんをとなえるのはナンセンスなものですよ」
「だんじておことわりだ。おれはいっぱんじんだいひょうなんだからな」
「おや、ひていをおもねなくともいいでしょうに。
それより、まだしゃべりたりのですがさきへすすんでもよろしいのでしょうか?」
「ぜひたのむ」
「はい、ではたのまれましょう」
しんそこたのしそうだなこいつ。
あんがい、さきのひとことにはほんねがふくまれているのだろうか。
11 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:13:33.53 ID:vFozzCGB0
サイコメトリー。
それはモノにのこされたおもいのけつへん、”ざんりゅうしねん”をよみとくちからです。
しょうさいなのうりょくはふめいでこじんさもあるとされますが、
よみとけるモノはぶったいだけとはかぎらずに、たしゃのしこうすらとけるものもいるとされています。
まあげんみつにのべるのならば、たしゃのしこうをよみとくのはテレパシーなんですがね。
そうそう、じつはぼくもこういうのうりょくにあこがれていたじきがありまして、くんれんのまつにしゅうとくできないかとにちや……
えっ?
はい、すみません。
ちょうしにのりました。
ではいとめをつむぎなおすとしましょうか。
あなたののうりょくについてですが、はなしをうかがったかぎりではサイコメトリーというぶんるいでまちがいないかとぼくはかんがえています。
ただ、そういったちょうしぜんてきなちからがとつじょとしてめざめたばあい、
れんさてきにだいにだいさんのなにかをひきおこすかのうせいがじゅうにぶんにかんがえられます。
ひょっとすると、すでにふくごうてきななにかとこんごうされたじょうたいであるのかもしれませんね。
そう、ぼくがひっかかったのは、あさひなさんのこうどうをだいさんしゃのしてんでのぞきみたというげんしょうです。
なぜかって?
かんたんです、ざんりゅうしねんとはおもいのちからであるからですよ。
すなわち、ほんらいよみとけるのはあさひなさんがゆのみにふれていたときにかんじていたしんきょうやかんじょうのはずです。
なのにあなたはそれではなく、あさひなさんにおきたかこのできごとをえいぞうとしてみていた。
だから”かこし”としょうしたほうがよりてきかくなのかとぼくはおもうわけです。
さて、いかでしょうか?
12 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:15:09.92 ID:vFozzCGB0
そういうまんぞくきなひょうじょうをむけられてもこまるのだが。
「なんぷん、ぼくのせんもんぶんやなものでしてね」
かたりすきであるおまえのきもちもわからんではないさ。
しかし、ここできになるのはのうりょくてきなかくしょうではなくそのいとだ。
「どうしておれに、こんなのうりょくが?」
「いっせつによれば、ちょうのうりょくとはだれしもがもちえているものだとされています。
それがたしゃよりまされたごかんによってか、
またはかつようできていなかっただいろくのかんかくがえいりになったことでちからとしてはつげんしたと。
はつげんについてはなんらかのがいてきようそにきいんして、あくるにちにめざめることもあるようです」
ぼくがちょうのうりょくしゃとなったにちのようにね、か。
で、そのよういんってのはなんだ?
「たとえば、つよいざんりゅうしねんのエネルギーによって、
あなたのなかにあったモノがきていかられいきじょうたいへといこうしたのかもしれませんね。
またはれんじつのすいみんぶそくによってかんかくがとぎすまされていった……なんてせつもありますが」
にしては、なにかしらふにおちないが。
13 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:15:41.33 ID:vFozzCGB0
「いんがはめぐるといわれていますが、あなたにそのきざしがあらわれたことは
きっとなにかのまえぶれとなるはずです。
ひつようとされているからこそ、そこにみちがつくられるようにね」
なんてこったい……。
これまでもれんじつにつぐふかしぎのたいおうにへきえきしていたってのに、
こんどはおれじしんがそのしゅがんにとらえられるとはな。
ちくしょう、ずつうがましてきやがった。
「きにやまれるひつようはありませんよ、ふかくはかんがえないことです。
それに、ぼくたちがいるじゃあないですか」
ああ、たしかにおまえなどがいるな。
おまえなどが、な。
おまえなどが……?
なんなんだこのいわかんは。
14 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:16:43.97 ID:vFozzCGB0
そういえばあいつがいない。
それにもうひとりも。
「ハルヒとながとはどうしたんだ、やけにおそいようだが?」
「えっとぉ、おふたりならさきにかえるっていっってましたー」
「え、ふたりいっしょにですか?」
「はい、だからかつどうのほうはかくじにまかせるとりょうみやさんが」
ハルヒとながと?
すうひゃくねんちかくほそうされていないどうろならにデコボコなくみあわせじゃないか。
とはいえ、ハルヒがりかいふのうなこうどうをとることはあるにせよ、いみのないこうどうをとることはない。
いったい、なにをきんでいるってんだ。
「ああ、あたまがいたい」
「あのぉ、だいじょうぶですかー?」
ありがとうございますあさひなさん。
あなたのきずかいはあらゆるしょうやくにもまさるばんのうやくですよ。
「かぜぎみなんでしょうか、きせつのかわりめとあめのせいできおんのへんかがはげしいみたいですし。
あたしもちょっとだけあつっぽいきもしてますし」
「それはいけない、いますぐのおきたくとおりょうようをしんげんさせていただきます」
むじゃきにほおをほころばせるあさひなさんをよこに、こいずみがしめくくりにかかった。
「では、こんにちはかくじかいさんといきましょうか」
「りょうあんだな、おれもさんせいひょうをとうじさせてもらう」
こうして、ほんじつのかつどうはあっさりとまくをくだろしたのだ。
15 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:17:33.57 ID:vFozzCGB0
ぶしつからしょうめんげんかんへいたるどうていでの、こいずみとのかいわ。
「ちょうかんかくというだけあって、たいしつがかびんになっているかのうせいもあります」
「なにがいいたい?」
「あなたのずつうのことですよ」
「ん……ああ、なるほどな」
「たとえばですがアナフィラキシー。ようするにはやくぶつかびんしょうのことですね。
ふだんならものともしないささいなもんだいやショックでも、
いまのじょうたいでそれとおなじようにおこなえるかはほしょうできませんからね。
おはやめにきたくし、ゆっくりとからだをやすめることをおすすめしますよ」
どうやらこいずみなりにきづかってくれているらしいな。
まあ、おとこにおもいやられてもたいしてうれしいものでもないが。
「きもにめいじておくよ」
せんぱいちょうのうりょくしゃとのかいわをとうししょうたいがつかめたことで、いくばくかのあんしんかんはえられたわけだしな。
「そうそう、もうひとつつけたしておきましょう」
あえてちゅういをひくかのようにこいずみがたちとまった。
とっくにきたくぶはでばらってしまい、げんかんがわだというのにあたりにはひとかげもない。
そのようなじょうきょうかで、いやにおちついたくちょうをもってやつはげんいたのだ。
「すべてのじしょうにはいみがある。このことをこころにとめておいてください。
あなたがソレをえたことも。そしてきょう、ぼくたちがここにいるということも」
では、とかたてをあげられわかれとなった。
16 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:18:32.83 ID:vFozzCGB0
きたくしたおれはひびのしゅうへきにならってさぎょうをおこない、ゆうしょくをたいらげた。
それからはやめのふろをすませると、いちじのきゅうけいのつもりでいまでテレビをながめていたのだが。
ふとながれてきたニュースのないよう。
それがむしょうにきにかかった。
まるでごかんのすべてをうばわれるかのようにいしきをひきつけられ、
めをそらすことができなかったのだ。
へんだとはおもっている。
ああ、おれじしんおかしいとはおもっているさ。
だがおれはこのニュースをしらなくちゃならない。
なぜかまではわからないがな。
くちそうなキャスターがへいたんなこえとひょうじょうで、げんこうとおりによみあげていく。
そのニュースのないようはいたってかんそなものだった。
きょくにとってはすうじをかせぐこまとしてもふじゅうぶんなようで、さらっとながされただけだったしな。
このごじせいじゃあめずらしくもなんともないさ。
さつじんじけん。
はんにんはふめい。
ひとことふたことでおえられるようなそのないよう。
ふきんしんだがへいぼんなものだ。
ただし、このおれがおしつぶされるようないやなよかんにかられたことと、
そのぶたいがこのきんりんであるということがらをのぞけば……
いたってへいぼんなものだ。
18 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:31:55.83 ID:vFozzCGB0
よくじつ。
「おっはようキョン!」
とうこうちょくごのさわやかなくうきのなか、あくびかたてのおれにたいようのようなえがおがそそがれた。
いうまでもなくハルヒ。
それがいやにごきげんよくリボンをゆらしていらっしゃる。
「どうしたんだ、うっとうしいかおをして?」
「アンタはくちをひらくとすぐひにくなのね、そんなんだからこものなのよ」
「おれのはあいさつがわりみたいなものなんだよ。
もっとも、むきしつなきゃくほんにむりやりあじをづけたへいがいかもしれんがな」
「なにごとってるのよ、アンタはほさでゆうきのをだいほんにかきくだしているのはあたしでしょ?」
そうやってじまんげにはなをならされてもこまる。
まったく、こいつのバイタリティにはしんそこあきれるね。
「ところでさ、もしアンタにほしいモノがあるとしたらなにをねがう?」
「すいみん」
「もっとげんじつてきにかんがえなさいよ!」
「やかましい、げんじつてきにかんがえたけっかがそれなんだよ。
こっちはねずのばんでつかれているんだからろうわってくれ」
「じゃあ、ひざまくらでもしてあげようか?」
「ことわる」
「じょうだんにきまってるでしょ」
そっぽをむいてのむごん。
おいおい、きゅうにだまられるとふあんになるじゃないか。
19 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:33:20.15 ID:vFozzCGB0
げんじつてきなものねぇ。
ハルヒのまえでへたに”せかい”なんてこたえちまうとマジでせいふくしかねないかのうせいもあるし。
かといってどぐうなんてこたえてごじつ、ミラクルパワーによってどぐうがおりそそいできてもこまる。
「それならねむいからコーヒーだな」
「だめね。たべものやのみものはだめなのよ」
「どうして?」
「かたちにのこるものでないとね」
あらてのなぞかけか?
まあいい、ならばぶなんに。
「ぐんて」
「なんでぐんてなの?」
「ふゆのじてんしゃつうがくときにはつかえる。これからさむくなるしな」
「それもだめね、きょうきとしてはつかえそうもないし」
「きょうき?」
「こう、なんかみじかにあるモノでグイッとできたらいがいじゃないの。リアリティというかさ」
「なぜそれをおれにきいた?」
「アイディアとはおもいがけないところからうまれるものよ。
うみだそうとかたくなになっちゃえばパターンかしちゃうし」
「ならマフラーとかはどうだ? ピアノせんであめばぶきにもなるぜ?」
「それいいわね!」
……しょうきかハルヒ?
「さっそく、あみほうでもならわないと」
おれはよけいなことをくちばしってしまったなとはやくもこうかいしていた。
20 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:35:51.84 ID:vFozzCGB0
さて、さくばんからずっとかんがえていたことではあるが。
そろそろハルヒにいわなければならないだろう。
「おい、やっぱりえいがのないようをかえないか?」
「はぁ!? なにごとってんのよアンタ!」
やはりそうくるよな。
しかしこちらにだってりゆうがあるんだ。
「きのうのニュースをみていないのか?
ちまたではリアルなさつじんじけんがおこっているらしいじゃないか。
そんななかで、おれたちまでこのまちをぶたいにしたれんぞくさつじんじけんものなんてつくってみろ、
パッシングのあらしじゃねぇかよ」
「え……じけんがあったの?」
ハルヒのかおがあんにしずんだ。
しかしすぐさまにつよきのしせいをとりもどすと、
「そんなこといっったって、きょねん”あさひなミクルのぼうけん”をつくりあげちゃったのよあたしたちは。
だからこんねんはぜんねんいじょうのものをつくりあげなければならないの。これはたいしゅうからのぞまれたしめいよ。
そのためにきょねんのしっぱいをかえりみて、こんねんははやくからのさつえいとへんしゅうをやっているんじゃないの?」
またまたたいそれたおかんがえだね。
と、いちねんときのおれならばぜんひていだろうが、こんかいにいたってはハルヒのきもちもわかるってものだ。
「おまえのしゅちょうするところにはおれもいをつらねるよ。
おれだっていままでとってきたものや、おれみずからがちをはくおもいでへんしゅうしてきたシーン、
VFXをすてるのはおしい。
だけどだな――」
「だけど、なに?
まさかシーンのみならず、ゆうきがかいたきゃくほんやらこいずみくんがよういしてくれたエキストラ。
みくるちゃんのちょうきくんれんによるじょうとうなえんぎ、キョンのへんしゅうとざつよう、
さらにはタイアップのていきょうしゃまでもをすてるっていうの?」
21 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:37:36.87 ID:vFozzCGB0
わかっているさ。
ああ、わかっているとも。
おまえはじぶんをくわえてはいないが、
おまえじしんもあいたじかんのすべてをそそいでかんとくぎょうのべんきょうをしていたことくらいしっている。
ながとのきかいなシナリオをだいほんにかきくだしたり、あさひなさんにえんぎしどうをくわえたり、
エキストラやきょうりょくしゃたちにあたまをさげたりもな。
じつにがんばっていたとおもうぜ、ほんねからそういえるさ。
きっとおまえは、そんなみなのおもいをとためとしたくはないのだろうからな。
おれだってそうだ。
だけどな、
「じせつがらがわるすぎる。
わざわざふきあれるたいかいはらにゴムボートでかけだすばかがどこにいる?」
「それをのりきってこそのSOSだんでしょ?
かてんじてふくとなせ、これこそがあたしたちにピッタリのことばよ。
かつてのおおものたちもぎゃっきょうをはねしりぞけてこそ、じゅうちんとしてせいちょうできたんだから」
22 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:41:21.92 ID:vFozzCGB0
「そんなことはしるか。おれたちはげいのうじんでもなけりゃせいじかでもない、いっかいのがくせいにすぎないんだよ。
ただでさえまわりからはきいのめをむけられ、えんいてはしゅものあつかいなんだぞ?
これいじょうのもんだいをおこせばこうぎがさっとうするのはうけあい。
やがてはがっこうがわからのしょぶんがくだされ、SOSだんのそんぞくにかかわってくることもめいはくだ」
「だけど……あたしはいやよ、いまさらむだになんかできない!」
ちくしょう、ききわけのできないやつだな。
「ばかかおまえは? だんいんをひきいるリーダーならば、もうすこしせんけんせいをもてよ!」
そのことばでハルヒのひょうじょうがいっぺんした。
いかりだ。
おもみをすぐにかんじるほどのいあつ。
それをひとみにたずさえている。
やめてくれよ。
そういうしせんをむけるのは。
おもんちがいというものだろう?
しゃぬかれるほどににらめづけられ、おれがきょうふをかんじはじめたごろにハルヒはようやくうごいた。
「あたしはみとめないからね、ぜったいに。なにがあってもこのえいがをかんせいさせてみせるから」
たしかめるようなひくいりをのこし、そのままこうしくきょうしつからきえていった。
23 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:44:09.64 ID:vFozzCGB0
おれたちがつくりあげようとしているえいがのないよう。
そのおおすじをかたるならば、
はんにんがちょっとしたいきちがいからきょうきにぬれ、さつじんをおこなうというもの。
そののちもはんこうにはんこうをおもね、ラストシーンではじゅうげきによってしをむかえるとのすじがきだ。
ちなまぐさいったらありゃしない。
けれどもSOSだんいんたっそれぞれのしこうさくごのけっか、
こうこうせいがつくったにしては、それなりにみれるモノとなってはきている。
それについてはおれがまいよ、さつえいとへいこうしたへんしゅうさぎょうをおこない、なんどもみなおしたけっかからもほしょうする。
すくなくともきょねんのしりめつれつなストーリーにくらべりゃてんとち、がつとスッポンというやつだ。
しかしそのないようがふこうにも、ニュースでながれたほんもののじけんによってあぶなうきにたたされているのである。
りょうしきをもっているにんげんならば、こんなときとばあいではこうかいをさしひかえるものだろう?
ひがいしゃとなったほうへのついとうのぎはもちろん、いぞくのかたがたからえんこんをかうのもきょくりょくさけていきたい。
それがまことっとうないきかたなはずだ。
だからこそ、このえいがはここでおわらせるべきなんだ。
それがただしいはずなんだ。
だけどなぜだ?
なぜこうもおれは、にえきらないんだ?
それにこのまわたでくびをしめられるようなふあんかんはなになんだ?
わからない。
わからない……しかし。
「なにもおこらなければいいんだが」
やれやれ、またあたまがいたくなってきやがった。
24 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:46:26.84 ID:vFozzCGB0
けっきょく、ハルヒはほうかごになってもきょうしつへはもどらなかった。
おれはそれにさかのざいあくかんをおぼえつつ、ぶしつへとむかった。
「いりますよ」
ノックとつうれいのくをのべ、へんじをもらう。
「やぁ、こんにちは」
「どうもぉ」
きのうとおなじメンバーか。
それをかくにんするとふあんかんにのちをおされ、くちそうにふたりにたずねた。
「ながととハルヒはしらないか?」
ふたりがかおをみあわせ、
「ぼくはなにも」
「あたしもなにもきいていません」
まずい。
なにかがまずい。
「どこかでみかけなかったか?」
「いえ、ぼくはふたりともとおあいしてはいませんが」
「あたしもおなじです」
ながとはどうした?
ハルヒがかえったのならばわかるが、なぜにながとまでがすがたをみせないんだ?
26 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:12:44.42 ID:vFozzCGB0
「いやなよかんがする」
おれのひとりかたちめいたつぶやきをききづけたのか、
こいずみがひょうじょうをひそめていた。
「ぐたいてきにおねがいします」
「どうしたんだ?」
「きのうもうしあげたとおり、あなたはなんらかのちょうかんかくをえているわけです」
「ああ、たしかにきいた」
「ならばいまやあなたのよかんは、”せんりがん”のへいはつによるものなのかもしれません」
「せんりがん?」
「とおくはなれたできごとをかんじとるちからではありますが、これもやはりしょうさいはふめい。
ですがそのじょうけいが”よかん”というふたしかなモノとしてあなたのもとへととどけられている
かのうせいがあります。
どちらにせよ、かんかくがせんったじょうたいであるあなたのじょうほうは、
いくぶんかのしんじつをふくんでいるのかもしれません」
とどのつまり、いまおれがやるべきことはそれをせつめいしろと。
「では、おねがいします。”なにについていわかんがあったのか”をきょくりょくぐたいてきに」
あさひなさんがおちゃをはこんでくれたことにより、
おれたちさんにんはSOSだんからちょうじょうげんしょうたいさくほんぶへといこうした。
27 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:13:46.85 ID:vFozzCGB0
「そういえばきのうからだ。ハルヒとながとがいないことにおれはまずいわかんをおぼえていた」
きおくをさぐれ。
おもいだせ。
「それからきたくし、ゆうしょくのちのテレビをみて……そのないようにいやにひきつけられた」
「そのときのしんきょうは?」
こころなしかこいずみにあせりのしょくがあらわれているような。
あさひなさんもしんみょうなおももちでみみをかたむけている。
いや、そんなことはどうだっていい。
「そのとき、おれは……とてつもなくいやなよかんにかられていたはずだ」
「ぐたいてきに。どのようなかたちのいやなよかんですか?」
「わからん。ばくぜんとしすぎていてなにもわからない」
「では、つぎへ」
「そのつぎはきょうだ。ハルヒにじけんのことでじしゅせいさくえいがのちゅうしをうったえたのだがことわられた。
ハルヒは”ぜったいにかんせいさせる”といいのこしきょうしつからきえ、それからおれはえいがについてかんがえ、
またもふあんにおそわれたちょくご、こうかんがえた」
――なにもおこらなければいいんだが
そこまではなしおえたとたん、こいずみがたちあがった。
「いそぎましょう、ながとさんのじたくへ」
30 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:23:44.38 ID:vFozzCGB0
ゆうこく、まだじゅうぶんにようがあるじかんたい。
しきりにけいたいでんわをもてあそっているこいずみをせんとうに、おれたちはこうどうをはやいペースであるいていた。
「あさひなさん、だいじょうぶですか?」
「はい、だいじょうぶ、です」
ことばとはうらはらにじゃっかんいきをきらせている。
むりもない、いっぱんてきなじょせいであるかのじょがおとこのほはばにあわせるのはつらいものがあるだろう。
しかしきづかってペースをおとすよゆうがおれにはない。
それだけにこころがいっってしまうのだ。
せんじんをきるこいずみにしたってどうようだとせなかこしにつたわってくる。
「なあこいずみ、なぜながとなんだ?」
こいずみはふりかえるとどうじ、ゆびをたててせつめいをはじめた。
「だいいちのいわかんのじてんでいなかったのはりょうみやさんとながとさん。
だいにのいわかんのじてんで”さつじんじけん”についてあなたがひきづけられた。
そしてだいさんのいわかんで、”なにもおこらなければいいんだが”とのメッセージをうけた。
だいさんのいわかんは、うらをかえせば”なにかがおこるから、それがおこらないようにねがった”ともかいせます」
こちらのりかいをうかがうようにこいずみがかんをおいた。
……よし、だいたいははあくした、つづけてくれ。
32 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:35:57.83 ID:vFozzCGB0
「くりかえしになりますが、すべてのじしょうにはいみがあるんです。
あなたがちょうかんかくをえたのも、いわかんをうけとってしまうのも、そしてそれらいがいのすべてにもです」
そんなことおれにはわからない。
「つづけます。
つまりだいいちのじてんでりょうみやさん、あるいはながとさんにしぼられ、
だいにのじてんでそこにさつじんじけんというキーワードがくわわり、
だいさんのじてんでなにかがおこるというようそがたされた」
じゃあ、まさか……。
「そのとおり。りょうみやさんかながとさんのどちらかがじけんにまきこまれているかのうせいがたかいとかんがえます。
そしてきのうのじてんであなたはいわかんをかんじており、かつながとさんとせっしょくしていない。
さらにきょうもりょうみやさんとそうたいしているときではなく、それらいがいについていわかんをおぼえていた。
そうでなくともながとさんがわれわれへのれんらくもなしにすがたをみせないことはじょうたいならばかんがえられません。
なぜならばいまげんざいわれわれは――」
そうだ、おれたちはいまげんざい、じしゅせいさくえいがのさつえいをいっているのだ。
だからこそだんちょうようのいこうにそむくようなこうどうをとれるはずもない。
きのうとこんにちはハルヒがふざいだったためにさつえいこそおこなわれなかったが、
それまではれんじつのようにさつえいがつづき、そしておれはまいよのへんしゅうにおわれているのだから。
まて。
それじゃあまるでながとが……。
そこまでかんがえたとき、こいずみがけっていだともなるひとことをほうっった。
「そもそもですね、つながらないんですよ。なんどもながとさんとれんらくをとろうとしているのに、
なぜなのかつながらないんです」
けいたいをぶらりとゆらしながらの、くしいはんわらいだった。
36 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:47:58.45 ID:vFozzCGB0
まちをあっぱくするかのようなこうきゅうぶんじょうマンション。
じょしこうせいがひとりですむにはあきらかなオーバースペック。
それをまえにし、みあげるかたちでおれたちはちょんでいた。
「いつみてもごうかなんですねぇ」
あさひなさんのいけんにはいっぺんのあやまちもないが、
いまはそれにあいづちをうっているひますらもおしい。
「どうやっているんだ?
いぜんおれがおとずれたとき、パスコードがなければとびらがひらかなかったはずだ」
またあのときのようにたにんのつうかをまってわりこむか、
などとしあんしていたやさき、こいずみがまがおのままきりだした。
「ぼくならいれます、かのじょとはきょうりょくかんけいにあったためににんしょうもしりえているので」
なるほど、それはこころづよい。
ほどなくしてひらいたガラスこをぬけ、おれたちはエレベーターでしちかいをめざした。
708ごうしつ。
ながとはそこをじゅういとしている。
たのむ。
ぶじでいてくれ。
38 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:58:09.50 ID:vFozzCGB0
「あきませんしインターホンをおしてもはんのうがありません。おそらくふざいのようです」
ながとのへやまえまできたとき、おれはあるたねの”よかん”がした。
なにかがある。
いや、”このとびらに”なにかがある。
「どうしたんですか、キョンくん」
すみませんあさひなさん。
いまはむししてしまうことをおゆるしください。
さそわれるようにいっぽまえへ。
とびら。
ちがう。
のぞきあな。
ちがう。
ドアノブ。
ドアノブ・……?
みつけた。
ここだ、ここになにかがある。
「こいずみ、すこしのかん、おれをささえていてくれ」
こいずみがりょうかいするよりもはやく――
おれはドアノブにふれた。
39 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:00:02.63 ID:vFozzCGB0
ザザッ。
ザァー……
ホワイトノイズ。
おとがかきけされたしろくろのせかい。
すなあらし。
そのおくのろうなビジョン。
めをこらす。
わずかだがじかんとともにみだれがびき、じょじょにしやがひろがっていく。
しえた。
とびらはひらいていた。
708とかかれていることからまちがいなくこのばしょであることがうかがえる。
こまいろうかのおく、あいたへやにだれかがいた。
ショートカットでこがらなじょしせいふくすがた。
とおい。
かおがみえない。
しかしすがたかたち、そしてばしょからさっするにながとであるかのうせいがたかい。
すうびょうご。
そのじんぶつがこちらへとあゆみよってきた。
42 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:07:12.63 ID:vFozzCGB0
やはりそうだ。
『ながと!』
こえがでない。
いや、これがかこしだとかていすればつたわらないはずだ。
なんとももどかしい。
ながとはとびらすぐのげんかんうえから、いちどだけはいごのへやをみかえした。
むねにはぶあついほんがだえられている。
さらに、そのにぎりをたしかめるようにだえなおす。
それからこちらへとむきなおると……
ん、なんだ?
いま、なんといっった?
まどろっこしいなまったく。
このホワイトノイズさえなければ。
やがてながとは、ゆるやかなどうさでくつにはきかえると――
44 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:14:53.52 ID:vFozzCGB0
「いたぇ!」
ずつうだ。
それとともにしかいがもどり、せかいがおととしょくでえがきあげられていった。
「だいじょうぶですか?」
「もんだいなしい、きにしないでくれ」
「しかしいたいと――」
「いいから、きにするな!」
ハッとしたときには、おしころすようにこえをしぼりだしたあとだった。
だいじょうぶ。
いたくない。
いたくないからおちつけ、おれ。
そんなことよりながとだ。
おれはこいずみとあさひなさんのりょうめいへ、えいぞうのないようをつたえていく。
「なるほど、ぶあついほんですか」
こいずみにつづき、
「せいふくすがたということは、きたくちょくごでしょうか?」
あさひなさんもかんがえをのべた。
そしていっぱくをおいてのけつろん。
「としょかん」
さんにんのことばがみごとにかさなりあった。
46 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:28:05.51 ID:vFozzCGB0
かけるようにマンションをとびだす。
あのえいぞうのなかでみたほん。
ふんあつく、いつかのこうけいにあるSFかんれんのモノにちかい。
そうだ、むかしたちよったとしょかんでながとがめにしていたアレにかぎりなくちかい。
「まってくださぁーい!」
しまった、あさひなさんのことをわすれていた。
「はぁ、はぁ……すみませぇーん……」
いまさらにしてきがついた。
こいずみがあさひなさんのかばんをうけもっていることに。
なんてこった、おとことしてとうぜんのきくばりすらできないとは。
それほどまでにおれはあせっているのか。
じしんのかんじょうをくみとれないほどに。
なんとかおちつかなければ。
「あの、ほんとうにだいじょうぶですか?」
しんこきゅうをしているところでこいずみにこえをかけられた。
「なんともないぜ」
「そうはおもえません。
たびたびくちにしてはいますが、ちょうかんかくとはとがりきったかんかくがせいすというのがつうせつです。
たとえるならば、ねこはくらやみのなかでさえみとおせるほどにしりょくがよいという”り”をもっています。
しかしそのみ、くらやみのなかでカメラのフラッシュをたかれればこつちしかいはうばわれ、
ばあいによってはしつめいにまでいたります」
――りは、ふりとおもてうらいったいなのですよ。だからこそ、さいしんのちゅういをはらうようにしてください。
47 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:38:48.02 ID:vFozzCGB0
としょかん。
ひとたびきょうかいをまたげば、なかはせいじゃくそのもの。
とふんでいたのが、
「ノイズがきこえる」
「ノイズ?」
あさひなさんがこんわくしたかのようにくびをねっている。
「こいずみはどうだ、きこえないか?」
「いえ、なにも」
「くそっ、げんちょうか」
「わずらいばしょからしずかすぎるばしょへきたへいがいでしょう、きにしすぎないことです」
サンキュー。
おまえがいてくれてほんとうにたすかるよ。
みちのできごとですら、それなりのかいせつをづけてもらえればりんかくがあらわれてくるきがするからな。
「キョンくん、すこしやすんでいたらどう?」
「そうですね、ぼくたちでてがかりはさがしますので」
だめだ。みれるのはおれだけなんだから。
おれがやらなきゃだれがやる?
「それはちがうとおもいます」
「ええ、あさひなさんのいうとおりです。
あなたはあきらかにせいしんをすりへらしつづけています。
みるのはあなたしかできない、だからこそよけいなしょうもうはさけるべきです」
……すまない。
48 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:49:48.07 ID:vFozzCGB0
ちかばのいすにこしをおちつけた。
とおくではあさひなさんたちがしょくいんあいてにもんどうをくりかえしている。
こいずみのてみじかなせつめいによると、
”ながとゆうき”のなまえをしょくいんへとたずねてじょうほうと”ぶあついほん”をききだすはらつもりらしい。
それらからながとがここへときたせいかくなじかんをわりだすとのことだ。
そう、じかんなのだ。
まさにもうてんだった。
おれはかこをみることができても、そのじかんまでもをせいかくにしることはできない。
しかいないにとけいがあればべつだが、しろくろせかいでにんいにしてんをうごかすことはかなわないのだ。
さらにはしろくろであるためにひかりかげんがわかりつらい。
くわえてながとのけんでまなんだとおり、わずかかずメートルはなれればかおすらみえないのだから
ふうけいからさっするのもこんなん。
すっぱりとじかんさえわかれば、ききこみのこうりつもぐっとあがるのに。
が、しようがない。
ないものをきょうせいったところでじたいのしんてんなどみられるはずもないからな。
やれるだけのことをやって、のちはなかまとともにぢみちにおぎなうしかない。
さいしょこそぼうはしなかったものの、おれはこのちょうのうりょくをてにいれた。
それはいままでまかせっきりだったみなとどうとうのたちばへたてたことをいみしている。
ましてや、いまげんざいはながとのかげをおっているさいちゅう。
いままでのおんを、まとめてかえしてやる。
だから、ときあきらかす。
このおれが。
ぜったいに。
50 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 03:19:51.52 ID:vFozzCGB0
こいずみがもどってきた。
「げんざいじこくが17とき30ふん。
そしてながとさんがここをたずねられたのが18じまえのちのようです」
「ちょっとまて、みらいなのか?」
「あっ、すみません。18ときというのはぜんじつのものですね」
「やっぱり、おれにはせいかくなじかんがわからないのか」
「それから――」
ややおくれてかえってきたあさひなさんがこいずみをさえぎり、ほんをだえたままでくちをひらいた。
「あの、これ……いちおうおかりしてきましたけどその……」
くろぬりのカバーにきんのだいじ。
だいめいはどこかべつのくにのことばであるらしくよめないが、それはこのきわかんけいはないだろう。
おれはそれにふれずにじっくりとかんさつした。
ながとがだきだえていたのだ、きっとしねんがかくされているはず。
ならばじゅうようなじょうほうがえられてもおかしくはない。
けれどもおれのねがいにはんして、なにもつたわってはこない。
「あさひなさん、ちょっといいですか」
ねんのためにふれてみる。
みれない。
だめだ、これにはしねんがやどっていないのか?
51 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 03:31:22.09 ID:vFozzCGB0
「まずい、てづまりなのかもしれない」
おれははいしょくのうこうにいきをはいた。
いや、まだなにかが……。
「いえ、ごしんぱいなく」
そこでふたたびいをとったのはこいずみだった。
「いきさきはかいっています、しょくいんのほうからうかがいました」
「しょくいんだって?」
「ええ、ながとさんのしんきょうはふめいですがかのじょがとしょかんをひんぱんにりようしていたことはじじつです。
そこでしょくいんのかたはつねひごろからながとさんにことばをかけるようにしていたとのことでして、
ぜんじつもふたことみことだけではありますがかいわをまじわしたと」
「で、どうなんだ」
「じんじゃへいく、などともらしていたらしいのですが」
「じんじゃ? どこのだ?」
「いとうじんじゃ」
ききおぼえがない。
というより、はつもうですらことかくおれが、じんじゃのなまえなぞいちいちはあくしているわけもない。
「ばしょはかいっています、ここはとしょかんですからね」
そういってこいずみは、ちずをヒラつかせてみせた。
52 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 03:42:26.98 ID:vFozzCGB0
おもいのほかはなれたいちにあったために、
おれたちはタクシーをつかまえていどうするはめとなった。
ちなみに、だいきんはこいずみがもつとのことだ。
ながと、おまえはどこにいるんだ?
おれはシートにせをあずけ、まどのそとのふうけいをながめていた。
ながれのおおいえきまえからはなれたとたん、すれちがうにんのかずもきょくたんにへっていく。
いわゆる、かんせいなじゅうたくがいにあたるいちをはしりぬけているわけだ。
「ながとさんは、じんじゃなんかになんのようがあったんでしょうか?」
あさひなさんのことばはもっともだ。
ながとのライフスタイルはおれにとってもみちではあるが、
そのながとがしゅうかんにように、わざわざはなれたいちへとおもむくとはかんがえがたい。
つまり、なんらかのようじがあったとすいそくできる。
そのようじがつかめればあるいは、しんじつがみえそうなのだが。
とにかく、もくてきちはもうめとはなのさきだ。
それでわかる。
きっと、ながとはそこにいる。
きっとだ。
53 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 03:56:27.71 ID:vFozzCGB0
「17とき50ふん。タクシーをつかまえていたじかんをさしひけばやく10ふんていどのきょりですね」
タクシーをおりるなり、こいずみがはかっていた。
「あるけないこともないが、しょうしょうとおいな」
「あたしだと、あるきでは30ふんていどでしょうか」
くちぐちにのこし、みあげた。
そうなのだ、またもおれたちはみあげたのだ。
どうしてじんじゃってのは、こうもおだかいおかのうえにあるのかね。
しかもあたりにはじゅうたくがうかがえるものの、このちょっとしたもりにかこまれたいちではしかいがききそうもない。
おそらく、うえにのぼればそれがよりちゅうちょとなるだろう。
「ぼくがおもうにながとさんはあののち、とほでいどうしたはずです。
つまりかのじょがよりみちなしでここへときていたばあい、そのじこくは18とき30ふんまえのちとなります」
このきせつならば、ゆうひもしずむころか。
さらにはゆうしょくどき。
ますますにんきもはけるというものだ。
にんきないばしょ、か。
だがかんがえていたってらちがあきらかない。
「いこう」
おれはいをけっっし、せんじんをきってかいだんにあしをかけた。
54 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 04:18:51.07 ID:vFozzCGB0
あった。
みつけた。
このけいだいのどこかからかんじる。
そるこころをおさえ、ねんのためにあたりをみまわす。
こどもでさえやきゅうをするのはふかのうなくらいのせまいスペース。
そこにぽつりとわすれられたようにあるほんでん。
てみずしゃもしゃむしょもない、さびしげでかんそなつくり。
そのゆいいつのたてものであるほんでんにいたっても、にちにやけたもくぞうがいたいたしくゆかいたはぬけそうだ。
ふしょくしただいすずにたれさがるようなかのうお。
そのしたにはもうしわけていどのさいせんはこがちんざしている。
「どうでしょうかぁ?」
あさひなさんもいんうつなくうきにきあつされたのかふあんげにくびをふっている。
どこだ、どこからだ……
ひかれるようにあるいていく。
いや、あるかされているとひょうげんしたほうがただしいのかもしれない。
こっちだ。ほんでんのうらがわ。
かいだんがわからはかんぺきにしかくとなり、あたりはもりでかこまれたばしょにいちするいってん。
そこにいたるほんでんのかく。
「みつけた」
おれはそれだけをつたえ――
そこにふれた。
55 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 04:28:16.27 ID:vFozzCGB0
いつものぜんちょうがあらわれた。
しかいのあんてん、ざつおん、しろくろ。
しょうてんいがいがかぎりなくふせんめいなえいぞう。
おれはおちつき、ただまっていた。
やがてしかいがはれたさきにあったのは……
やはりこのばしょだ。
いた。
ながとだ。
めのまえにたっている。
しかしなぜ、このようなばしょにひとりでいるんだ?
それに”おれ”としせんがとうちあっているのはたんなるおもいすごしだろうか。
ん?
いま、またなにかをいっったような?
ノイズがわずらい、まったくききとれない。
だがよかった。
ながとはいる、てがかりをのこしながらちゃんといてくれている。
おれがそうかんがえたしゅんめのあとだった。
してんが”うごいた”のだ。
57 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 05:06:21.01 ID:vFozzCGB0
すっと、ながとがしかいのみぎはしにながれてきえた。
”おれ”はひだりをむいたのか。
とおもいきや、すぐにながとをとらえなおした。
ながとはこちらによこがおをむけていた。
さっするに、おれがみたほうこうへとつられたのだろう。
なにやっているんだよながと。
おまえらしくもない。
ながとがへいたんなどうさでこちらへとむきなおる。
そののどにナイフがつきささっていた。
……え?
ちがう、みぎてがうつっている。
これは?
なっ、まさか”このしてん”のしょうたいは!?
みぎてがソレをひきぬいた。
あふれるようにくろのえきたいがとびちり、ながとはのどもとをおさえながらからだをくのじにおっている。
おれはけんふろした。
ながとを。
そのうしろくびにしょうてんをあて――
ぜんたいじゅうをかけるようにしてナイフをさしこんだ。
58 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 05:09:53.36 ID:vFozzCGB0
ながとがけいれんしている。
そんなばかな。
これじゃあまるでながとが……
してんがさがった。
しゃがんだ?
まて、なにをするきだいったい!?
ナイフ。
こくしょくにぬれたそれをながとのうらくびにあて、はなのほうこうへとかんつうさせるようにさしこんでいる。
ヌルリヌルリとうまっていくそのさま。
えいぞうこしにいやなてごたえをかんじてしまう。
やがてはがらちかくのいちまでうまりきり、とびだしたほねのようにはえていた。
もはや、おれはこえもでなかった。
ただきもちわるい。
あれたえいぞう、おとのないえいぞう、なのにまるでおれじしんがいっているかのようにさっかくしかけてしまう。
そんなようすをぼうぜんとながめていた。
おれがトドメをさし、ながとがうごかなくなるそのときまで。
もはや、ぬけがらとかしたながとをおれはごういんにつかんでびきずった。
ひくいしてんのままびきすりっている。
あんがりにびきすりって――
59 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 05:12:04.10 ID:vFozzCGB0
「うっ……」
もどった。いまへと、おれはかえってきた。
はくな、こたえろ。いまはそんなばあいではない。
すぐさまあしもとのおちばをはらった。
しみがあった。
あかいあかい、みずたまりが。
こいずみとあさひなさんがきょうがくとともにいっぽとびしりぞいた。
おれはくつんだ。
のぞくためだ。ほんでんのゆかしたを。
くらい。
ようがかたむいているのもよういんだ。
しかし、やはりあった。
よそうどおりのものがそこにはあった。
もりあがったようにつまれたおちば。
ふしぜんにかためられたばしょが。
あたまをうちながらすがりよる。
さかりあがるようにあつめられたおちばをはらう。
ようやくにしてみつけた。
ああ、しかしおそかった。
にどとうごくことのないモノへとかわりはてたながとが、そこにいた。
90 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 18:31:51.88 ID:vFozzCGB0
ながとのぼうむくろをはっけんしてからいちじかん。
あたりにはつうほうによってかけつけたけいかんたちによって、ブルーシートがかけられていた。
そのさいにじじょうをたずねられ、『ゆうじんのなめがたがしれなかったためにさがしていたところ、はっけんした』とこたえ、
おれたちはけいだいのすみにこしかけて”げんば”となりはてていくさまをながめていた。
げんざいじこくは19とき。
となりではあさひなさんがかおをおおい、しずかにないている。
こいずみもふき、もっこうともくとうがいりまじったひょうじょうでかたまっている。
そしておれも、ぼけたようにすわりこんでいるだけだ。
いまだにしんじられない。
ほんとうに、ながとはころされたのだろうか。
「まちがいありませんよ。みゃくもこきゅうもしんおんもかおいろも、いえ、それいぜんにたいおんがなかったんです。
だれがみてもしんでいるとわかるようなじょうたいでした。
けいじのほうにはかんいてきなだんかいだとまえおきされましたが、
しぼうすいていじこくはやはりぜんじつの18とき30ふん〜19じまえのち。
あきらかにあなたのみたこうけいがさつがいのしゅんかんです」
ぐたいてきなじこくなどをあげられ、それによってげんじつかんがましたことで、
おれもこたえきれずになみだがあふれてしまった。
「きのうのだんかいで、おれがながとのしょざいをたしかめておくべきだった」
「それは、ふかのうというものですよ」
こいずみのことばは、またもげんじつであるということをこうていしていた。
93 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 18:46:27.88 ID:vFozzCGB0
「つかぬことをおききしますが」
こいずみがしんみょうにきりだした。
「あなたはぜんじつ、ぼくとわかれたのちにどのようなこうどうをとられましたか?
できるだけぐたいてきにおねがいします」
なんだ?
こいつはおれになにをききたいんだ?
いや、しかしてがかりになるのかもしれないのならばあるいは。
たしか、ぶしつへかおをだしたのがほうかちょくごの16とき10ふん。
そこでおれ、こいずみ、あさひなさんがかいわをおえてわかれたのが17じまえのち。
こいずみとはあさひなさんよりすうふんかんだけながくいっしょにいて、それから、
「きたくしたのがおおめにみつもっても17とき30ふんまえ。
そののちはいつもとおりえいがのへんしゅうさぎょうをおこない、ゆうしょくをくちにしたのが19とき45ふんころか。
あとはふろにいっってじけんのニュースをみて、よるからまたもへんしゅうさぎょうをつづけていた」
「へんしゅうさぎょうはどのようににして?」
「ハルヒがタイアップしてきたノートパソコンをもちいておれのじしつで」
「それをしょうめいできるかたは?」
「しょうめいって……おまえ」
まさかこいつ。
「きをわるくされないでください。ねんのため、にですよ」
ねんのため、によりいっそうのちからがこめられていたことにたいし、おれはいごこちのわるさをかんじていた。
94 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:02:27.33 ID:vFozzCGB0
しょうめいできるじんぶつ。
「きたくちょくごにかんしてはいないな」
「どうして?」
「りょうしんがかえってはおらず、いもうとはじしつかほかのへやにいた。くわえて、おれはいもうととかいわをしていない。
へんしゅうさぎょうなかにいもうとがちょっかいをだしてくることがおおかったために、じしつでのへんしゅうちゅうにはかぎをかけていたからな」
「では、ゆうしょくのちは?」
「ゆうしょくはかぞくとたべ、にゅうよくのちはいまでいもうととともにニュースをみたりしていたからしょうめいしてくれるはずだ。
まあ、そののちはまたもへんしゅうにぼっとうしていたためにねぶそくなわけだが」
「そうですか、ありがとうございます」
こいずみはいったん、じょうほうをずのうにきざみこむようにだまると、
こんどはあさひなさんにむきなおっっていた。
96 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:05:18.93 ID:vFozzCGB0
「あさひなさん、おねがいします」
「ふぇ……?」
おい、ちょっとまてこいずみ。
まさかあさひなさんまでうたがうきじゃないだろうな?
あさひなさんはないているんだぞ?
「ないているからどうだ、というのはげんだんかいにおいてなんのはんだんかちもありません。
いいですか、よくかんがえてもみてください。
ながとさんがさつがいされたのですよ?
それもこのようなあきらかにだれかがさそいこんだというようなばしょで、です。
さとしいあなたならばぼくがいわんとしていることがおわかりでしょう?」
ながとはけいかいしていなかった。
さらにこくではあるが、ながとのこうゆうかんけいはそれほどひろくない。
つまりはかおみしりによるはんこうのかのうせいがたかい、ってか。
それも……こいずみのたいどからさっするに、やつはSOSだんないぶをうたがってやがる。
ちくしょう。
しんそこ、はんとがでる。
「はやがてんしないでください。
われわれのアリバイをめいはくにすることで、かのうせいをつぶそうとかんがえているのですから」
ああ、そうかい。
モノはいいようだな。
だったらなぜ、おまえはそうもぎりふかいかおをしているんだ?
98 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:19:44.25 ID:vFozzCGB0
「ではあさひなさん、うかがわせてください」
「はい……」
あさひなさんはかんがえこみ、しんこきゅうをいくどかおもねてからほんだいにいっった。
「あたしは17ときにキョンくんたちとわかれて、そのままあるいてかえりました。
そのとちゅうでスーパーによってゆうしょくのざいりょうをかいそろえて、いえについたのが18ときくらいでしょうか。
あとはずっといえにいましたけど……」
「それをしょうめいできるかたは?」
「……」
いぜん、みみにしたことがある。
あさひなさんはしょじじょうによりひとりぐらしなのだと。
それもなぜか、じゅうたくがいにたたずむふつうのいっけんやにだ。
そうともなればしょうめいできるにんげんなんていない。
「わかりました、ではとちゅうでだれかとせっしょくなどはされましたか?」
「いえ、だれも」
「でんわなどは?」
「いえ、なにも……」
どんどんこえがちょうんでいき、なみだこえへといたり、
やがてはふいてなきだしてしまった。
「すみません」
「いえっ……いいんですっ……」
こいずみがふっとためいきをはく。
「では、さいごにぼくですね」
100 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:39:39.13 ID:vFozzCGB0
「ぼくはごぞんじのとおり、ふつうのだんしこうこうなまです。
もっともよねんまえのあのにちまでは、ですがね。いずれにせよかぞくもいます。
ぼくはみなさんとわかれたのち、じてんしゃをもちいてえきまえちかくのほんやへとむかいました。
とうちゃくしたのがだいたい、17とき15ふんまえあとでしょうか?
そのまま30ふんていどのしなさだめをいったあとミステリしょうせつを2さつこうにゅうし、
そののちはあてもなくまちをブラブラしていました。
きたくしたのがだいたい、19とき15ふんあたりだったかときおくしています」
「それをしょうめいできるやつはいるのか?」
おれはさきほどのしかえしとばかりに、すこしばかりのひにくをこめてたずねる。
こいずみはにがわらいのあとにこたえた。
「きたくちょくご、ぼくはははおやへあいさつをしました。
それがそのじかんのしょうめいともなりえるでしょうが……」
「まちでブラブラしていたじかんをもちいてさつがいときたくがかのう、か?」
「ええ、じてんしゃをもちいてさいたんけいろをとうれば、えきからこのじんじゃまでは15〜20ふんていどでしょうね。
ぼくのいえまでもどうていどのじかんをようせばじゅうぶんでしょうし」
「ということはなんだ、とどのつまり」
「そういうことでしょうね」
おれたちさんにんはけつろんをくちにはださなかった。
しかしそれがかえってばのふんいきをいやなほうこうへひきたてている。
しかたのないことだが。
おれたちはたがいにむじつをしょうめいできそうにはなかったのだから。
102 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:56:00.33 ID:vFozzCGB0
「きみたち、こんにちはもうおそいよ。そろそろかえりたまえ。
どれ、わたしのくるまでおくってあげようか?」
けいじのひとりがはなしかけてきた。
おれのおやじとどうねんれいていどで、みるからににんのよさそうなふんいきをたずさえている。
おれはこいずみをみた。
おまかせします、というあんばい。
あさひなさんもどうようだ。
ならばきまりか。
「すみません、おことばにあまえさせていただきます」
「わかった、ではしたまでおりるとしよう」
おもいこしをあげて、くらくいんうつなよるひえをみせはじめたじんじゃをつっ切っていく。
ながいいしかいだんのうえからはまちがいちぼうできるようになっており、
よるのあかりがめいめつしているじょうけいは、こんなばあいでさえなければきっとおんかみのあるものだったはずだ。
それにしてもわからない。
ながとがころされなければならないりゆうがだ。
だれかのうらみでもかっていたのか?
そうだとしてもおれがしりえるしゅだんはないか。
ちくしょう。
104 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:06:49.60 ID:vFozzCGB0
「なんといっっていいのかわからないけど……」
とうとつに、けいじがくちをひらいた。
「ざんねんだったとしかいえない。きみたちもさぞかしふこうだとはおもう。
けれどもあまりおもいづめずに、かのじょのふんまでいきてやってくれ。
はんにんは、わたしたちがぜったいにさがしだしてみせるからね」
ほうようりょくにまされたおんかみのあるこえ。
やはりじっちょくなにんなのだとかくしんした。
「それからきょくりょく、よるはであるかないようにな。
こんなごじせいじゃあきみたちがつぎの……ゴホンッ、しつれい」
つぎのぎせいしゃになりかねない、といおうとしたのだろうな。
ん、ということは。
「まさか、ちまたでのさつじんじけんとのかんれんが?」
「え? ああ、するどいな。
だんていはできないが、てぐちがにていることからおそらくどういつはんとみていいのかもな。
かさねるが、だんていはできていない」
どうなっているのだいったい。
いやなよかんがしてならない。
107 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:19:18.87 ID:vFozzCGB0
「では、きをつけてな」
「ありがとうございました」
ふくめんパトカーでじたくまえまでおくってもらい、
さいごのとうじょうしゃであったおれはけいじにあたまをさげてからじしつのしきいをまたいだ。
「ただいまー」
「あ、キョンくんおかえりっ」
すぐにいまからとびだしてきたのはむじゃきないもうとだった。
さいきんはへんしゅうにおわれかまってやれていないから、
げきさえみつければとびついてくるようになっているらしい。
かべかけとけいをかくにん。
もう20ときか。
すでにゆうしょくをおえたのかながしだいにたってあらいものをしていたははおやにきたくをつげ、
それからゆうしょくをせつった。
おいしくない。
ははおやにはわるいが、はらがへっていてもあじをかみしめるよゆうすらでてこなかった。
ただたんじゅんにはらをみたせればいまはそれでもいい。
となりではいもうとががっこうでのできごとをとめところなくかたっている。
とてもうれしそうにしているそのかおをながめていると、
うらやましくもあり、どうじにぞうくもおもえてしまった。
つかれているな、おれ。
110 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:34:18.54 ID:vFozzCGB0
ゆうしょくのちににゅうよくをすませ、いもうとのはなしにきかいてきなあいづちをうっているうちにはやくも22とき。
おれはぜんじつにならってニュースをながめることにした。
『また、さつじんじけんがはっせい――』
じょうほうがはやい。
さすがに2けんれんぞくともなればかくがかわるのか。
きのうはなげやりにあつかっていたくせに、ここぞとばかりにくいものにしやがって。
おれのしんきょうをぎゃくなでするように、いぶったコメンテーターがごとうじょうなすった。
かんれんせいがどうだとか、さいきんのよのなかはどうだとか、
そんなあたりさわりのないじょうとうくでふんだんにはなしだけがびきのばされたものの、
こどもようビールならにきしゃくされたばんぐみないようからはなにもえられるものなどなかった。
はぁ、まいりそうだぜまったく。
「キョンくんだめだよ、ためいきはしあわせがにげてくんだから」
「げんじょうでじゅうにぶんにしあわせだからにがしてやってんのさ。あたまにひていしがついたしあわせだけどな」
「よくわかんないお?」
「じゃあ、おれはへんしゅうやるからじゃまするなよ」
「えー……」
「しぶるな」
「うん、わかった」
おれはじしつへともどった。
112 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:39:06.02 ID:A8lnuEn80
これはおもしろい
しかしいもうとまさかのVIPPER?
113 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:46:04.95 ID:vFozzCGB0
レンズのむこうがわにながとがいた。
ぎこちないどうさで、ぎこちないえんぎで、ぎこちないせりふをくちにしている。
まだえいがのさいしょのほうのシーン。
このごろはだいほんもマトモにできあがってはおらず、
にちじょうシーンにつかえるだろうとのことでおれたちSOSだんそのままのかつどうをとりおさめてあったのだ。
ながとはじしんのえんぎがぎこちないことをきにしてか、
じぶんなりのれんしゅうをぶしつにてくりかえしていた。
それぞれのだんいんはそのようすにきがつかないように、
かくじボードゲームにつとむしんだり、おちゃをせつったり、うでぐみしたりしている。
ちなみにこのばめんでのカメラマンはおれだ。
いまさくはぜんいんがしゅじんこうとしてとうじょうするために、こうたいせいだからな。
しかしながとよ。
げきちゅうでだいほんをひろげんなよな。
ハハッ……。
114 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 21:01:05.72 ID:vFozzCGB0
おれはへんしゅうするきすらうせ、デジタルデータなおもいでをみかえしていた。
てぶれるカメラ。
しんけんなはずのシーンでわらうおれ。
だいほんにないアドリブをすきかっておりまぜるこいずみ。
におうたちしたままカメラにうつりこむ、ちょうかんとくハルヒ。
キョロキョロとカンペをさがしているのがバレバレなあさひなさん。
そして、やはりぎこちないながと。
にっちゅうはさつえい、きたくごはそれぞれのしごとでねるまもないほどにたいへんなひび。
げんざいでもそれはかわらないが、いまにしておもえばこのごろのことがなつかしくてたまらない。
おれはただぐちばかりのべていたはずなのに。
シーンがつぎつぎとながれていく。
とりとめのないようなつなぎをへて、まだあらいへんしゅうしかすませていないモノがじょうえいされていく。
やがて、あるシーンまでとうたつした。
げきちゅうにおける”ながとゆうき”が、さつがいされるばめんだ。
とはいっても、これはれんしゅうシーンなのでほんばんはまだとられていないのだが。
そこでのかりはつのはんにんやくはおれ。
いちばんあくにんめんをしているから、というハルヒからのたっしがあったときおくしている。
ともかく、おれとながと。
そのふたりがにんきのないこうえんにてたいじしていた。
116 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 21:22:00.10 ID:vFozzCGB0
「おうじょうせいやー」
やるきのなさそうなおれのせりふにつぎ、あるくようなはしるようなそくどできょりをづめる。
みぎてにはナイフ。
もちろん、これはおもちゃなのでさせばモグラのようにひっ込む。
ながとがいっぽだけひく。
ばめんてんかんし、おれがながとのくびにナイフをつきさす。
ようにみせかけて、じっさいはおれのせなかがうつっており、そのばめんはみえてはいない。
まじかにあるカメラでうつせばナイフがおもちゃだといちもくりょうぜんだしな。
まあ、このへんのごまかしかたはきょねんの”あさひなミクルのぼうけん”のときにまなんだことのひとつでもある。
やがてながとがたおれる。
そこでかんとくさんのこえがかかって、おれがながとをだきおこしていた。
ハルヒがいちゃもんをづけている。
おれにいうなよな、おれはだいやくなんだからさ。
だいやくなんだから……?
おもえばきみょうなことではある。
このえいがは、れんぞくさつじんじけんをメインテーマにそえているくせにさつがいシーンはただのいっぺんすらもとられていないのだ。
117 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[sage] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 21:26:45.41 ID:yg6rPY0HO
しかしキョンのえんぎやるきねーw
118 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 21:28:01.70 ID:vFozzCGB0
ハルヒにゆれば、
『はんにんはにちじょうでしょうじたおもいちがいがげんいんでさつじんきとかすのだから、
さつがいシーンまではやくしゃにすらはんにんやくであることをしらせない』
だったはずだ。
おれがじゃっかんのかみをほどこしただいほんについても、はんにんのシーンなどはいっさいきじゅつされてはいなかった。
それをしゅうちしているのはげんさくをかきあげたながとと、それをだいほんにかきくだしたハルヒだけ。
だが、ながとがひがいしゃやくであるということは、
ちかいシーンでながとがさつがいされるのがかくていしていたことになる。
まさか、バチがあたったのだろうか?
このようなじょうせいのなかでじけんものなんてもんをつくっていたおれたちに。
だからえいがのなかでさつがいされるシーンをえんじたながとが、じっさいにころされてしまった。
……まさかな。えいがじゃあるまいし。
しかしなぜだかきにかかるのは、ながとがかきあげたそのげんさくがどこにあるかなのだ。
かんれんせいはない。
そうおもおうとするのだが、やはりさきのかんがえがあたまのなかをチラついてはなれない。
もし、これがまんがいちにもじけんとかんれんしているのならば。
つぎのぎせいしゃが、そこにきさいされているかのうせいもあるのだから。
いや、かんがえすぎだよな。
おれはそうけつろんづけ、せいしんをすりへらしたためかしゅうしズキズキといたむあたまをおさえ、
そののちもなつかしいえいぞうのなかにひたっていた。
133 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 00:09:10.61 ID:v9J8Gv4U0
よくじつ。
ねずのばんでふらつくあたまをたたきながらおれはとうこうした。
きょうしつへいるととたんにかっきあるけんそうにつつまれる。
それらをしりめにハルヒのせきをうかがったが、ホームルームちょくぜんだというのにせきはあいていた。
まだきていないだけなのか。
だが、いつもおれをむかえるがわであるあいつがちこくなどするはずもない。
ということはかおをみせないかのうせいのほうがたかいことになる。
いったい、なにをやっているんだハルヒは。
ながとのけんでききたいことがあるってのに。
やがてたんにんがすがたをみせ、
にちじょうムードをまんきつしているクラスメイトたちをよこめにおれはそとをながめつづけた。
160 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[sage] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:17:37.79 ID:Nn3SB5umO
ぜんこうしゅうかいとかはないんだなー
136 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 00:19:26.15 ID:v9J8Gv4U0
ながくたいくつなじゅぎょうもおわりほうかとなったが、
やはりハルヒはすがたをあらわさなかった。
きのう、おれがていあんしたえいがにかんするかいへんがしゃくにさわったのだろうか。
それとも、あまりかんがえたくはないがながとのけんでなにかが……。
いやまて。
まさかとはおもうが、ハルヒはすでに……。
ちがうちがう。
ながとがさつがいされたのはたまたまなんだ。
ふこうなじこだったんだ。
ハルヒはかんけいない。
おれたちSOSだんいんもかんけいない。
よってつぎのぎせいしゃがでることもない。
はんにんはもうつかまる。
あのけいじがつかまえてくれるはずだ。
よし、かんがえすぎるのはよくない。
まずはぶしつにでもいこう。
137 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 00:30:54.68 ID:v9J8Gv4U0
ノックとへんとう。
よってにゅうしつ。
「こんにちは」
かいこういちばんにていくをのべた。
「やぁ、どうも」
「どうもぉ」
よそうどおりというべきか。
そこにはテーブルをはさんだふたりがいた。
そう、ハルヒがふざいなのもふくめてだ。
おれはたずねる。
「ハルヒのやつをみかけてはいないか?」
「いえ、ぼくはなにも」
「あさひなさんはどうですか?」
「あたしもしりませんけど」
「そうですか」
なにもおこらないはずなんだ。
ながとはたまたまのはずなんだ。
しかしそれならなぜ、ハルヒがすがたをみせない?
なんらかのいとがあってのこうどうなのか?
わからないことだらけだ。
またあたまがいたくなってきたよ。
139 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 00:51:41.67 ID:v9J8Gv4U0
しつないはだれともなくのしょいでちんつうムードいっしょくとなり、
ぼうからみればあぶないしゅうきょうだんたいとごかいされそうなほどにこうちょくのままじかんがすぎさっていった。
ときおり、あさひなさんがそそいでくれたおちゃをすするおとや、
こいずみがしょうぎのコマをろうりおとすおとがなるだけ。
そのこいずみにしたって、つみしょうぎをよそおいつつもいってすらもうっておらずながめているだけだ。
そんななかにあって、くちびをきったのがあさひなさんだった。
「あの、キョンくん。またなにかのよちょうはありませんでしたか?」
おろおろとしたかのじょのようそうは、
まるでうらないしからのせんこくをまつまよいにんのようにもみえる。
「ちょっとまってください」
おれはこいずみのしせんをかんじつつも、きおくをさぐりはじめる。
いわかんやよかん。
ばくぜんとすべてにたいしていわかんがあるものの、そういえばひとつだけつよくひっかかったものがあった。
「おれたちがつくろうとしているきゃくほん、それのげんぽんはどこにあるかわかりませんか?」
「げんぽんって、ながとさんの?」
「はい、あれがどうもかんけいあるようなないような……かくしんはないのですが」
「たぶんだいほんにおとすためにりょうみやさんがもっているとはおもうんだけど、
そのりょうみやさんがいないんじゃどうしようもないですよねぇ。
ないようもかんぜんにはあたしたちにもつたえられていませんし……」
「やはりだめか」
「あ、でも、ながとさんのおいえをしらべればメモくらいはでてくるかのうせいもあるんじゃ?」
そのことばで、こいずみとおれはどうじにたちあがった。
141 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 01:16:03.71 ID:v9J8Gv4U0
きのうとおなじシチュエーションでのどうちゅう、こいずみがかたりかけてきた。
「いわかんのじゅうつにはきをくばってください。
かさなりあうれんさのさきにこたえがあるはずですから」
「ということはなんだ、だいほんとかんれんがあるということか?」
「そのかのうせいがたかいということです」
そのかのうせいがたかいといわれても、どれをどうむすびつけるのかまでははんだんがつかないだろう。
まあいい、そこらへんのどくかいについてはなかまときょうゆうしてとけばいい。
ところで、ながとのげんぽんをさぐるよりもはやいほうほうがあることにおれはきがついた。
「ハルヒにちょくせつきくのがはやいようなきがするんだが?」
「そんなこときのうのじてんでとっくにやってますよ。
ながとさんとせっしょくするきかいにいちばんめぐまれていたのはりょうみやさんなんですし、
きょうもかのじょのどうこうがいっさいふめいなので、あんぴをかくにんするためにもね」
「ということは、まさか」
「ええ、そのとおり。けいたいでんわでのつうわにおうじてもらえませんでした。
じたくにかけてもすぐにきられたうえでちゃくしんきょひされましたし」
「ってことは、ぶじではあるんだな」
「きのうのよるのじてんで、ですがね」
「ならばじたくにおしかけるか?」
「いえ、それはやめておくべきでしょう。なにかいとがあってのことだとおもいますし。
かりにかのじょがはんにんだっとしたばあい、ぼくたちがいったところでどうにもなりませんし、
あからさまにふしぜんなこうどうをとっていればぼくたちがうごくまでもなくけいさつのかたがたがたいほするはずです。
だからいっぱんじけんのかのうせいはけいさつのかたがたにまかせて、
ぼくたちはぼくたちにしかおえないかのうせいをおうべきです。
そのためのSOSだんですし、そのためのあなたののうりょくなのですから」
こいずみのいうことはいちりある。
けいさつでとけるもんだいならば、おれたちがうごくひつようがないからだ。
ということはぎゃくせつてきにかんがえると、それができないからこそおれにちょうかんかくとやらがやどったわか?
143 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 01:31:15.86 ID:v9J8Gv4U0
かんりにんはこいずみにすんなりとかぎをかしあたえ、
とくにこれといったさしつかえもなく708ごうしつまでやってこれた。
「では、ひらけますよ」
これもなんなくひらいた。
ろうかをぬけてさっぷうけいなリビングルームへ。
「なにもありませんねぇ」
あさひなさんがもらしたとおり、しつないはあいかわらずでにちようひんすらもけつじょしたようなじょうたいだ。
よくいいかえればかたづいているともいえるが。
「おくへいきましょうか」
とびらのさきはわふうのひとまだった。
かまだんがあり、かべぎわにはつくえ。
ゆいいつしらべられそうなばしょはそのつくえと、ふぞくのひきだしくらいだ。
RPGゲームにおけるゆいいつのタンスてきないちづけか。
「プライベートなぶぶんをかたくそうさくするのはきがひけますが」
てわけするまでもなく、こいずみにまかせる。
こんなばしょをてわけしたらかえっててまともなりえるからだ。
ほどなくして、いっさつのそれらしきノートがみつかった。
157 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 07:19:42.20 ID:v9J8Gv4U0
ノートは99%がはくしで、わずか1ページめだけにじょうほうがしるされていた。
かんそなかじょうがきでこうせいされたメモ。
プロットとすらよべない、たんごのられつのようなじょうたい。
「おそらく、ながとさんはげんぽんとプロットをどういつのノートにかいていたのか、
あるいはべつにしていたプロットちょうをもてわたしたのかもしれません。
たしゃがだいほんになおすばあい、せっていやプロットからはあくしたほうがはるかにこうりつがいいですしね。
まあ、ながとさんであればメモやしたがきなどもちいずにちょくせつかきつらねたかのうせいもありますが。
いずれにせよ、わたすひつようすらなかったからこそコレがのこったのかと」
こいずみのかいせつをききながしながら、おれはたんごのなみをにらんでいく。
まずはじめにめについたのが、”ナイフ”だった。
これはえいぞうへんしゅうのじてんでおれもはあくすみだ。
つぎにめについたのはキャストのなまえだが、
1.ながとゆうき
2.あさひなみくる
3.こいずみかずき
というぐあいにおれたちSOSだんぜんいんのなまえがきざまれているだけのようである。
それいがいになまえはない。
ほかにも、れんぞくさつじん、しつちし、ニュース、ないぶはん……
などなどほんさくでとうじょうしそうなキーワードがならべられているだけ。
しかしただひとつだけ、かせんがひかれたたんごがあった。
『ちょうのうりょくしゃ』
このときおれは、いわかんをおぼえた。
いままでのものとはちがう、べっしゅのかんかく。
ふあんやきょうふなどとはまったくべつもののなにか。
だがそれがなににたいするかんかくなのかまではわからなかったのだが。
159 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:04:05.70 ID:v9J8Gv4U0
「ちょうのうりょくしゃ……?
これはあなたのちょうかんかくとのかんれんせいをしめすものでは?
ほかにはとくにいみのありそうなぶぶんもないですし、はんにんのなまえなどもきさいされてはいないようですし」
こいずみにあさひなさんがつづいた。
「ということは、しゅうかくはないということでしょうか?」
「いえ、そうでもないとおもいます。
ちょうのうりょくしゃというたんごがのせられているいじょう、かんれんせいがあるかのうせいがたかまったのですから」
「じゃあやっぱり、りょうみやさんにだいほんをかりるべきなんじゃ?」
「ええ、そうではありますがきめつけるのもよくないともかんがえます。
かくていしたわけでもないですし、れいせいにみればかくうのものがたりがじっさいのじけんにかんれんするとは
かんがえがたいものです。
りょうみやさんもさきのとおりれんらくをとりついでいただけないじょうたいですし、
むりにじたくにおしかけるのもぎゃくこうかとなりそうですし」
「それじゃあ、どうするんですか?」
「ですがやはり、もしものばあいもかんがえてぼくがりょうみやさんのところへうかがってみようとおもいます」
おれはふたりのやりとりをながめていた。
さきほどのいわかんのしょうたいをさぐるためにもっこうしていたからだ。
このじけんとはかんけいないきがする。
けれどもなにかじゅうようなかんかくだというろうげなかくしんがある。
「キョンくん?」
「あ、はい」
「どうかしたんですか?」
「いえ、べつに」
そのばはそらへんじでかえした。
161 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:23:21.90 ID:v9J8Gv4U0
それからもしばらくあさってはみたものの、
ほかにしらべられそうなばしょがなかったためにかたくそうさくはうちきりとなった。
やがてかくかくがきとへつこうしていたとき、
ながとのへやかぎをかえしにいったあさひなんをけんやりつつ、こいずみがそっとみみうちしてきたのだ。
「ぼくはこれからりょうみやさんのところへいってみます」
「じゃあおれも」
「そうかえされるとおもったから、こうやってあなただけにはなしているのですよ。
あなたがくるといえばあさひなさんもついてくるはずです。
げんじてんでいちばんあやしいのはりょうみやさんなんですから、
じょせいであるあさひなさんをきけんにまきこむのはまずいでしょう?」
「それはそうだが」
「あなたもあなたでちょうしがおかしいようですし、またむりをなさっているふしがみうけられます。
からだにはふかをかけすぎないようにしてください」
こいずみのいうとおり、ねていないからな。
とてもじゃないがそんなきぶんにはなれなかったし。
なんだかんだでえいがへんしゅうもしゅうかんとしてつづけていた。
もっとも、それはおちつこうとするいみあいとなつかしさにひたるためのものだったが。
「とにかく、しゅうかくがあるにせよないにせよあしたまたがっこうであいましょう。
それからよりょくがあるのでしたらあさひなさんをいえまでぶじにおくりとどけてあげてください。
ここからそうきょりはないですし。
むろん、あなたじしんもさいしんのちゅういをおこたらないようにね」
おれはしょうだくし、もどってきたあさひなさんにこいずみは、
「ぼくはしょようがありますので」
としめたことでふたてにわかれることとなった。
せなかをみせたこいずみがちいさくなったごろ、なんとなくいやなよかんにかられたのだが、
それもこえがとどきそうになかったのでいちどだけふりかえるにとめておいた。
162 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:39:50.48 ID:v9J8Gv4U0
「あの、ごめんなさいわざわざおくってもらっちゃって」
「いいんですよ、もう18ときでくらいですし、じょせいをひとりであるかせるのもかえってこころぐるしいので。
そもそもたいしたきょりもありませんしかえりみちのとちゅうですからね」
ちなみに、おれのいえとははんたいほうこうである。
こういうばあいのじょうとうくをいっったまでだ。
あさひなさんはそのあたりをしってかしらずかもくもくとあるいている。
かりにおれたちがこいびととうしだとしたならば、さいあくのくうきだろうな、これ。
「あのっ」
と、あさひなさんがつっかかるようにくちをひらいた。
おれはだまってさきをうながす。
「あたしたちのえいがはどうなっちゃうんでしょうか?
その、こんなときにいうのもどうかとはおもいますけど、せっかくつくっていたものですし。
それにながとさんもあんなにれんしゅうしていらっしゃったので、
みかんせいのまますてちゃうのもなんだかかなしくて……」
えいががどうなるのか。
それはへんしゅうをになわされたおれにすらわからない。
なによりあのにちいらいさつえいがとどこおっているのだし、よういんがかけてとることがふかのうとなったシーンができたはずだからだ。
しかしそんなことはいえるわけもなく、
「なんとかしていきましょう」
とあたりさわりのないことをつげ、そのままあさひなさんとわかれた。
164 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:54:25.80 ID:v9J8Gv4U0
そののち30ふんていどでかけてきたくするなり、
あさひなさんのことばをおもいだしてまたもえいがへんしゅうにつとむしんでいた。
やがてつうれいどおり20じころにゆうしょくができたのでそれをたいらげ、
またまたしゅうかんのようににゅうよくしてからいもうとのことばにみみをかたむけ、ニュースをながめた。
『さいきんのよのなかは――』
きのうにひきつづきなんのじゅうようせいもないようなじょうほうがながれたことをかくにんするなり、
「じゃまするなよ」
とこれまたひびのもんくをいもうとになげかけてじしつへともどったのである。
ほかにやることもなかったのできをまぎらわせるために、おれはしぜんとへんしゅうさぎょうにぼっとうしていった。
166 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 09:18:56.43 ID:v9J8Gv4U0
よくじつ。
よそうどおりにもあいていたハルヒのせきをかくにんし、
おれがいそぎのとうこうによってあれたいきをととのえていると、
それをまっていたかのようにたにぐちがすりよってきやがった。
「けんのさつじんじけん、ながとゆうきがひがいしゃなんだってな。
うわさによればそのときのだいいちはっけんしゃがおまえらしいじゃないか」
おれのおもいちがいかもしれないが、たにぐちのめにはこうきのしょくがうかんでいるようなきがした。
いや、きっときのしょいだろうな。
こいつはそこまでくさっちゃいないはずだ。
おれがつかれているだけだ。
そんなおれのしんきょうなどかいさずに、たにぐちはひとりでにつづけていく。
「しっかしさつじんなんてやるやつのきがしれないぜ?
あんなかわいいこをころしちまってもなんのえにもならないじゃねぇか。
おれだったらそういうことをかんがえるまえに、おつきあいのもうしでをとうすほうほうをかんがえるね」
さつじんなんてやるやつのきがしれないか。
たしかに、おれもそれについてはいっぺんのくもりなくどういだな。
「だろ? やっぱりキョンもそうおもうよな。
じょしこうせいをてにかけたところで、いっせんのえにもならないからな」
「まあ、けっきょくそういうことをやるやつはきがくるってやがるのさ。
しょうどうてきなのかけいかくてきなのか、はたまたそれいがいなのかまではしらなんがな。
まったく、はためいわくなやつもいたものだ、くそっ」
このいっけんなんのいみもなくおもえたかいわ。
きゃっかんてきなそのおもいにはんし、おれはなぜかこれらにもばくぜんとしたいわかんがあった。
167 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 09:26:50.89 ID:v9J8Gv4U0
とうぜんのごとくすがたをみせなかったハルヒ。
おれはそれにいちまつのふあんをだきつつも、こいずみのしゅうかくをきたいしてぶしつへとむかった。
ノック。
へんとう。
いつもとおりだ。
「いります」
とびらをひらけると、
「こんにちはぁ」
とのあまいこえ。
しかしひとりたりない。
「こいずみはどうしたんですか?」
「たぶん、まだなんじゃないでしょうかぁ」
いつもおれよりはやいはずのこいずみがきょうにかぎっておそいとはな。
とはいえ、そんなにちもあることだろう。
おれたちはおちゃをかたてにしずかにまっていた。
だがこいずみは30ふんへってもやってこなかったのである。
168 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 09:51:44.87 ID:v9J8Gv4U0
「おそすぎる」
「そんなにあせらなくても……」
「おれたちのえいがでれんぞくさつじんをだいざいしているいじょう、なにかあったかのうせいもあります」
「けど、こいずみくんはかんれんせいがないんじゃないかってぇ」
それはあさひなさんをふあんがらせないためのかりはつのうそであることはめいはくだ。
やつはそれなりにおれの”よかん”と、それにじゅんじた”シナリオ”のかんれんせいをうたがっていた。
そもそも、
『しゅうかくがあるにせよないにせよあしたまたがっこうであいましょう。』
とやつはいっっていた。
そうなのだ、そういっったからにはほうかごまでまたなくともやつがきてしかるべきなのだ。
けいたいでんわをとりだし、ダイヤルする。
……つながらない。
でんぱがとどかないばしょかでんげんがいっっていないというむきしつなこえだけだ。
「あさひなさん、がっこうでこいずみをみかけませんでしたか?」
「いえ、あたしはがくねんもちがいますし」
なんてこった。
かんがえてみればきのう、こいずみとわかれるさいによかんがあったのだ。
「あさひなさん、すぐにいきましょう!」
「どこへ?」
「こいずみのいえへです!」
へんじもまたずに、おれはぶしつからとびだした。
ぶじでいてくれたらいいのに。
という、ながとのときとおなじようなおもいにかられながら。
195 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:12:58.65 ID:v9J8Gv4U0
しがいちとこうどうからはずれ、きぎやちょっとしたさくもつはたけもあるようなちいき。
そこのがいしゅう1〜2kmはあるためいけのほとりにこいずみたくはりんせつしている。
げんざいじこくは17ときすぎ。
「こんなじかんなのに、あんまりにんとすれちがわないんですねぇ」
というあさひなさんのことばにもがんける。
ようがおちみとおしがきかなくなれば、にんきなどかいむにちかいだろう。
ただでさえいけのまわりはうっそうとしたきぎでようがさえぎられているのだ。
よるともなればぶきみそのものである。
「おれがいきます」
よびすずをれんだするようにおしつづける。
やがてめいわくそうなかおをしたこいずみのははがでてきた。
おれはあいさつすらはぶいてそっちょくにたずねたところ、ふあんげなかおへとへんぼうし、
「さくやどこかへでかけたみたいなんだけど、それいらいみていないのよ」
やられた。
まずい、あきらかにまずい。
しかしなんでもいいからてがかりがほしい。
ならば、
「こいずみがでかけたじかんやばしょはわかりますか?」
「ちょっとそこまで、といっってたみたいだけどばしょまでは……。
どうせまたぶかつかアルバイトかのあつまりかなとおもってたからくわしくはきかなかったしねぇ。
えっと、じかんはだいたい21とき30わか40ふんすぎくらいだったとおもうけど」
196 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:30:27.95 ID:v9J8Gv4U0
4ねんまえまではふつうのがくせい、か。
きっとかぞくにもじじょうをかくしていたのだろう。
「ありがとうございました」
「いいのよ。うちのこはやんちゃだけど、ねはいいこだからよくしてあげてね」
こいずみのははにれいをのべ、げんかんのこがしめきられたのをかくにんしてからおれはしあんしはじめた。
なぜ、わざわざよるにであるくひつようがあったのか。
やつがハルヒのところへいくとのこしたのは、おれとあさひなさんがわかれた18じまえのはず。
しかしこいずみがいえをでたのが21とき30ふんすぎ。
つまりきたくしてからふたたびがいしゅつしたことになる。
それともハルヒのところへいくよていがくるい、よるをまたざるをえなかったのだろうか?
「あのー、キョンくん」
だまりこんでいたおれをしんぱいするかのようなあさひなさんのしせんをかんじ、
おれはあわててあかるくふるまった。
「すみません、ちょっとかんがえことをしていたので」
「その、あたしおもったんですけど、このあたりで”みる”ことはできないんでしょうか?
それができればこいずみくんのどうこうもいちもくりょうぜんですし」
わかっていますよあさひなさん。
ですが、それができないからこうやってかんがえこんでいるんです。
このあたりにはなにもかんじない。
なぜかまではわからないのですが、よめないんです、かこが。
199 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:41:21.56 ID:v9J8Gv4U0
ん、そういえばこいずみはじてんしゃつうがくだったはず。
なのにしゃこのところにじてんしゃがとめてある。
ということは、
「あさひなさん、あたりをさんさくしてみましょう」
「で、でもなんのてがかりもなしじゃあ……」
「てがかりはありますよ、ははおやのことばとそこにとめてあるじてんしゃがね。
もしこいずみがとおでをするつもりならばまちがいなくじてんしゃをつかうはずですし、
げんにははおやへの『ちょっとそこまで』ということばからさしても、
あるきでもじゅうぶんなきょりへでたことになります」
「けどぉ、どこをさがせばいいんでしょうか?」
おれたちがふたたびどうどうめぐりとなりかけたとき、メイドふくすがたのけんちったひとかげがめについたのだ。
200 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[sage] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:46:27.39 ID:hHc/jMea0
もりさんか
202 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:56:25.72 ID:v9J8Gv4U0
「つるやさん!」
どうろちゅうおうにたち、こちらへせなかをむけこんごうりきさむらいのかまえをきめていたかのじょは、
おれのよびかけでごうかいにスカートをひるがえしつつふりかえり、
さらにみせつけるようにかみをかきあげたあとでだいおんせいをひびかせた。
「どうしたんだい!?」
ただのひとことをくちにするのにこのまえフリ。
まっことむだすぎる。
なんてツッコミをいれているばあいじゃない。
「こいずみのやつをみかけませんでしたか!?」
「いや、みかけちゃいないね!」
「そうですか、では」
「ちょっとまちなっ! おねえさんにじじょうをはなしてみるっさ!」
まって、わかったからゆすらないでください。
このままではかたをはずされれかねない、とかんねんしておれはたんてきにせつめいした。
「ふーん、それでこいずみくんを?」
「ええ、それでてづまりなじょうきょうでして」
そのことばをかわきりにつるやさんはうんうんとオーバーにりはじめ、
あさひなさんのほうもさすがにめんどうになったのかひょうじょうにしょうびのそうがあらわれたころ、
ようやくけつろんにたっしてくれた。
「じょうきょうからはんだんするかぎり、こいずみくんのみになにかあったってかんがえるほうがしぜんだね。
だとしたらはっそうのてんかんってやつでかんがえてみるべきだよ」
205 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 21:13:58.62 ID:v9J8Gv4U0
はっそうのてんかん?
「そう、はっそうのてんかんっ!
なにかあったとおもうのならば、
なにかをおこしたがわのきもちになってかんがえればこたえがみえてくることもある」
「それはいったい?」
「こいずみくんをよびだしたあいてのしんじょう。
そしてこいずみくんのあんぴがしれないというげんじょう。
もう、わかるよねっ?」
――かさなりあうれんさのさきにこたえがあるはずですから。
なるほど、そういうことか。こいずみのみがあぶなういというぜんていでかんがえるのはさけていたんだがいたしかたない。
つまり、こういいたいんですね?
「はんにんがわからかんがえろと」
「そーいうこと!」
はんにんがさついをもってよびだしたとかていするならば、おそらくにんきのないばしょへとゆうどうするはず。
ながとのときどうようのてぐちでかんがえればだ。かつきょりはちかく、ちょっとそこまでで、ことがすんだのちにいんぺいできそうなばしょ。
「ためいけ、それもよりいっそうきぎがしげったこうえん。そののちはしずめていんぺい」
このかんがえはできればはずれていてほしいものだが。
ともかくかのうせいをつぶさないことにはどうにもならない。
「じゃ、またねっ! ……あっ、わすれるとこだった。
うちのクラスはこんねんもやきそばつくってまってるからたべにきなよ!
みずはタダ、すきなだけのみほうだい! かわいいこもそろってるよー!」
つるやさんはみずとあぶらならにばちがいなくうきをまといつつ、ゆうぐれのまちへときえていった。
206 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 21:28:31.33 ID:v9J8Gv4U0
はんにんがわのしてん。
てがかりがことごときているげんじょうでは、これにまさるしゅだんはない。
それはわかる。
だがなにか……なにかがひっかかる。
なににひっかかっているんだ、おれは?
「キョンくんだいじょうぶ?」
「え? ああ、はいだいじょうぶですよ」
「またあたまをおさえてましたけど」
「いつものずつうです」
もうすぐ”みる”ことになりそうなきがする。
それをかんがえるとはやくもへきえきとしてしまう。
たのむ、ぶじでいてくれこいずみ。
いままではあのニヤケめんのスマイルがうっとうしいとおもっていたが、
それをこんごいっさいめにできなくなるのはさかさびしいじゃないか。
またあえたあかつきにはそのえがおをこころからほめちぎってやる。
チェスでもオセロでもびみょうにまけてやる。
だからこいずみ、ぶじにかえってこい。
208 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 21:49:55.33 ID:v9J8Gv4U0
ようのひかりをうばいあうきぎが、がいかいをしゃだんするようにさかえているこうえん。
ないぶめんせきはそれほどひろくないにせよ、
はじのほうにもうしわけていどでおかれたがいとうだけではあたりをてらすにはふじゅうぶんすぎるといちもくでわかる。
さらにはゆうぐがじゃくれ、とそうもはげおち、ふだんからにんきがないことがうかがえる。
「くらいですね、ここ」
まだかたむいたひざしがあるにせよすでにがいとうがたよりなくかがやいていることから、
きゃっかんてきなたちばでみてもあんたんとかんじるのはまちがいないだろう。
そしてやはりおれのきがまいりそうになっているのは、
こうえんおくのベンチからただならぬけはいがつたわってくるからである。
そう、かんじたのだ。
「みつけました」
あさひなさんにみじかくつげてさそわれるようにあゆみよっていく。
ひしひしとおそいくるいやなよかんをしりぞけながら。
「やってみます」
しんこきゅうをひとつおいたあとおれは――
ベンチのせにふれた。
210 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 22:04:47.18 ID:v9J8Gv4U0
ザザッ。
ザァー……
でんりゅうのようなしょうげきがあっというまにとけていく。
どうじにさきほどまであったくうきやおとといったしつかんが、ホワイトノイズのなかへとうもれていく。
すなあらし。そのおくのろうなビジョン。
いつもいじょうにしかいがきかない。
はなれたいちはくろでぬりつぶされみとおせない。
つまりはおそらく、じかんたいがやぶんであることをさしている。
にらむ。
だんだんとはれゆくせかいのなかで、”おれ”がベンチにこしかけているらしいことがわかった。
どうやらほうこうてきにはこうえんいりぐちのほうをむいているらしい。
だれかをまっているのだろうか?
そうすいそくしはじめたころ、ひとかげがゆれた。
くらくとおすぎるしょいでせいべつやねんごろすらもみとりれない。
だんだんとちかづいてくる……
しえた。かたうでをあげている。
そしてくちがうごいた。
『やぁ、どうも』
こいずみだった。
212 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 22:24:20.02 ID:v9J8Gv4U0
こいずみがおれになにかをさしだしてきた。
しろいかみのそく。
そこにデカデカとかかれただいじ。
『けんりつきたたかじけん』
これはおれたちにわたされていたものとどうとうのものか?
……いやちがう。
おれたちへわたされたものにはきたたかとじけんのまに”さつじん”のもじがあったはずだ。
それにだいじのみぎすみに”ちょうかんとく”いんがこれみよがしにおされている。
かんぜんばんのだいほんか。
おれはそれのなかみをみているようだ。
しかしあらいえいぞうではこまかいもじをよみとけない。
ときおり、こいずみがゆびでかしょかしょをさしている。
ちゅうもくすべきてんでもみつかったのか?
おれがこいずみをみた。
こいずみはわらっていた。
『やれやれ』
というかたをすくめるポーズ。
おれもそれをひととおりながめたあと、どうやらだいほんをつきかえしたようだ。
『では』
そしてこいずみがせをみせた。
214 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 22:45:33.60 ID:v9J8Gv4U0
(まて!)
そうさけんだしゅんかんには、すでにこいずみのせにナイフをつきさしていた。
せなかみぎがわ、ややしたからうえほうこうへとむけたきどう。
かんぞうをねらった。
それにくわえひだりてでこいずみのくちをふさぐ。
かんぞうをさせばげきつうがはしりそくざにいしきをうばえるが、
そのみ、きをうしなうまえにこえをあげられるかのうせいがたかいからだ。
だがよそうにはんし、こいずみはたおれなかった。
ふりほどくようにみをよじり、たいそうにあばれだした。
ちらりとうかがえたくもんのひょうじょうからつたわってきた、そのひっしのていこう。
おれはこいずみをだまらせるようにナイフをねじこむと、
ひだりてでのくびなげとあしはらいをかねてじめんにたたきづけた。
はをくいしばっている。
じめんにたおれたこいずみが。
それをいっしゅんだけみおろし、すぐさまナイフのにぎりをたしかめると――
きょうふでひずんだこいずみのみぎめに、ソレをおしこんだ。
216 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 22:48:24.64 ID:KM+cLT1s0
さあしょうしょうりょうきてきになってまいりました
219 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:04:20.15 ID:v9J8Gv4U0
びきする。
ながとのときのように。
トドメをさしうごきをとめたモノであるこいずみを、あんがりのなかへとはこんでいく。
おくへ、おくへ。
ベンチのうしろのさらにそのおくへ。
ためいけにりんせつするはやしのなかへ。
やがていけへおちこむけいしゃとなったばしょまではこびおえると、
そこからごういんにけりおとした。
ころがっていく。
こいずみがころがりおちていく。
おちばのうえでたたきつけられ、ごろごろと。
やがてさいごのけいしゃからころげおちると、こいずみははもんをのこしながらすいぼつしていった。
きたないすいていのなかに。
おれはそれをみとどけると、おちていただいほんもなげおとした。
それらはかぜのていこうをうけてはらりとまいちり、
あたりにひろがったのをかくにんすると――
220 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:07:44.63 ID:v9J8Gv4U0
「なっ……!」
せかいがもどった。
くるしい。いきをしなければ。
「キョンくんっ!」
あさひなさんのおんかみをせなかにかんじる。
おれはじめんにつっぷしていた。
かおをおこしみをあげるとすながこぼれおちていく。
だがそんなものにかまっているひまはない。
いまのえいぞうがほんものだとするとこいずみは……
「あさひなさんはそこにいてください!」
はしる。
ベンチのうしろ、ボロボロのフェンスでしきられたむこうがわへ。
それをこえてきぎがはいしげったいちめんをみおろす。
けいしゃがキツく、あんがりでみえにくい。
めをこらす。
どこだ、どのあたりだ!?
いちまいのかみきれ。
そのおくにかみきれ。
そのおくにまたかみきれ。
それらをおったさきに――
こいずみがいた。
そうはくなかおいろでじょうたいをきしべにさらしたかっこうで、こいずみがしんでいた。
221 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:14:33.62 ID:WVKNkBduO
こいずみ…
222 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:19:01.91 ID:v9J8Gv4U0
「キョンくん……」
「あさひなさんっ!」
はいごまできていたあさひなさんのかおが、いっしゅんにしてきょうがくにみちていた。
いっぽ、にほ、ときかいしかけのようにうしろにしりぞいていく。
あわててちかよりだきやめると、かのじょはそのままきをうってしまった。
くそっ、おれだってたおれちまいたいくらいだ。
ちくしょう、こいずみまでやられちまうなんて……
ばかか、そんなことあるわけが……
「なんなんだいったい、なにがどうなってやがるんだ!?」
どごうがじゃくれたえんないをはんしゃし、おれじしんへとおりそそいできた。
さけんだところでなにもしんてんはしない。
それはわかっている。
しかしどうしようもねぇじゃねぇか。
「ちくしょうがッ!」
このままだとあさひなさんをなぐりつけてしまいそうなきがし、
きゅうばしのぎとしてベンチにねかせた。
おちつけ、れいせいになれ。
やることがある。
しらべなければ。
てがかりを。
こいずみがのこしてくれたいとぐちを。
223 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:32:45.33 ID:v9J8Gv4U0
やはりこいずみはいきたえていた。
がんきゅうがこぼれみずをすったむざんながんめんは、ちょくしするにたえがたかった。
すまん、こいずみ。
なにもしてやれそうにない。
そっともくとうをささげ、”げんば”をさがっていく。
みちをつくるようにおちばがあれている。
つまりこれはまちがいなくあのえいぞうでみたとおり、うえからたたきおとされたことをしめしている。
こいずみのしたいがきしべについているのは、おそらくじかんがたちふじょうしたためだろう。
じんたいをしずめきるにはたいじゅうどうとうのじゅういしがひつようとなるが、
それをやらなかったのはじかんがないためかちしきがないためか、あるいはあえてはっけんさせるためか……
いや、はやがてんはよくない。
いまはじょうきょうをかくにんするにとどめておこう。
しかしうえのフェンス。
あれをだえあげるのはそれそうおうにくろうしそうなものだが。
わきにはかなあみがやぶれたいちもあるが、あのせまいかしょをとうればいふくがズタズタになりそうでもある。
だがこいずみのいふくにさしきずいがいのわかれはみあたらないし。
ちっ、えいぞうのだんぺんがかけていなきゃいちもくりょうぜんなのにな。
なぜ、にんいにつかえないんだこののうりょくは。
やくにたつようでやくにたたない、えんかいげいならにちんぷなきじゅつかよ。
おちつけ、おれ。
ぐちるのはあとだ。
いまさぐるべきいちばんのじょうほうは、このちらばっただいほんだからな。
227 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 00:01:58.76 ID:SDS4EPFS0
ぜんぶでよんまいみつかったかみきれには、かんそなじたいでおどろくべきじょうほうがきさいされていた。
みぎしたのページばんごうをもとに、わかいじゅんによみあげていく。
いちまいめ
『かくとうじょうじんぶつのさつがいほうほうとさつがいじこくについて』
このぺーじでは、さつがいにちじ、さつがいげんば、もちいられるきょうき、ほうほうなどをれっきしていく。
かくえんぎものはそれをもとにえんじることになるため、
ひつようじこうがいちもくでわかるよう、このようなかたちをとらせていただく。
いかしょうりゃく。
にまいめ
『えんぎもの:ながとゆうき』
にちじ:11がつ9にち 18とき38ふん。
ばしょ:いとうじんじゃ。
きょうき:ナイフ
ほうほう:けいぶへのいちげきによるこうじょうなんこつのそんしょうおよびちっそく。それにともなうけいどうみゃくのだんれつによるしつちし。
あとしょりをすませしだい、ほんでんしたへいんとく。
いかしょうりゃく。
229 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 00:15:52.31 ID:SDS4EPFS0
さんまいめ
『えんぎもの:こいずみかずき』
にちじ:11がつ11にち 22とき03ふん。
ばしょ:こうえん。
きょうき:ナイフ
ほうほう:かんぞうのそんしょうによるぞうきふぜん。およびがんきゅうへのいちげきによるのうぶそんしょう。
あとしょりをすませしだい、いけにとうき。
いかしょうりゃく。
よんまいめ (このかみだけページばんごうがとんでいる)
『はんにんとたんていのたいじ』
さんけんのはんこうをおえたざいにんは、たんていによってはくじつのもとへとさらされる。
そのきわ、じゅうげきをうけてしぼう。
いじょうのてはずで、ほんえいがのラストシーンはまくをくだろすこととなる。
きていそとのこうどうはとりえない。
230 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 00:23:21.26 ID:SDS4EPFS0
きになるのはだ。
このだいほんのかぶには、ページばんごうとともにじぺーじのだいがちいさくきさいされているというてんだ。
いちまいめには『えんぎもの:ながとゆうき』
にまいめには『えんぎもの:こいずみかずき』
そしてそのさんまいめ。
つまりはこいずみにかんしてのじょうほうがきさいされているページかぶ。
さんまいめには『えんぎもの:あさひなみくる』
それまでのほうそくをあてはめてかんがえるならば、
ふんしつしているほんらいのよんまいめには、あさひなさんのえんぎじょうほうがきさいされていることになる。
すなわち、さつがいにいたるしょうさいなじょうほうが。
つまり、つぎのぎせいしゃはあさひなさんということか?
なにかしゃくぜんとしない。
もっとじょうほうがほしい。
そうおもいたちふきんのそうさくをつづけたものの、みつかったかみきれはその4まいきりだった。
かぜにながされたのだろうか?
あのえいぞうではふせんめいながらも、それなりのたばにみえたのだが。
いや、みまちがいというかのうせいもひていはできない。
が、やはりふにおちない。
どうなってやがる。
224 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:34:32.18 ID:lshRBmH80
キョン「なぞはすべて、とけた
ながとたちをころしたしんはんにんスコーピオンは、このなかにいる!!」
235 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 00:49:53.85 ID:j5Hq1MsT0
じっちゃんのめいにかけて
239 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 01:41:27.89 ID:SDS4EPFS0
ひっかかる。おれはなにかにずっとひっかかっているんだ。
しかしそれがなにかがわからない。
どうやればそれをさぐれる。
「あのー、キョンくぅ〜ん?」
あさひなさんがめをさましたのか。
だとしたら、またこちらへとこられてたおれられてもめんどうだ。
「あさひなさん、きぶんはまされましたか?」
「まされるわけないじゃないですかぁー」
きずかいのじょうとうくをのべたおれに、かんがえてもみればとうぜんなはんろんをほうっったあさひなさんは、
さきのじょうけいとじじつをおもいだしたのかふたたびぽろぽろとなみだをこぼしはじめた。
「すでにつうほうはしておきました、そろそろけいさつのほうがみえられるはずです」
「あの、やっぱり、ぐすっ……こいずみくんはっ……」
おれはじじつをつげた。
「なんでこいずみくんまでっ」
それはおれだってしりたい。
だが、それがわからないからこうやってにんがしんでいくんだ。
そしておそらく、つぎはあなたのばんになるかのうせいがきわめてたかい。
ふたたびこえをころしてなきだしたあさひなさんをまえにして、
おれはだいほんのないようをどうつたえるべきかのしゅんじゅんにおわれ、
ただたちつくすことしかできなかった。
241 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 02:08:58.10 ID:SDS4EPFS0
げんざいじこくは18とき00ふん。
こうえんにとうちゃくしたのが17とき30ふんすぎで、
それからこいずみのはっけん、つうほう、おれのそうさくというながれをかねてのじかんけいかだ。
「また、きみたちかい」
すうにんのけいかんたいのなかからあぶれるように、にゅうわなものごしをたずさえたしふくけいじがたずねてきた。
いっさくじつ、おれたちをじたくまでおくりとどけてくれたにんだ。
「なんといっっていいか……まずはそうだね、ふこうだったとしかいえないね。
あと、ねんのためにきかせてもらうけれど、どういったけいいでここまできたんだい?」
おれはこんらんしそうなあたまをおさえることでおちつかせ、かんがえをせいりしてからこたえた。
「きょうがっこうであうはずのゆうじん、こいずみのなめがたがしれず、しんぱいになりました。
けんのながとのけんもあっていやなよかんがしたために、おれはこいずみのなめがたをゆうじんにたずね、
けいたいでんわもつうじず、それでますますふあんにかられて
あさひなさんとともにこいずみのじたくへとむかいました。
それでこいずみがさくばんからかえっていないというはなしをうかがい、ふきんをそうさくしたところ……」
「はっけんしたと」
「はい」
そこでいったん、どちらともなくことばがきれた。
たがいにすじゅうびょうちかくむごんのままかんがえこみ、ふたたびいをとったのはけいじだった。
「それにしても、こんなわかりつらいばしょなのによくはっけんできたものだね」
こえのトーンががくりとおちている。
ふあんをかんじあいてのがんこうをけんやると、あきらかなぎわくのねんをようんだまなざしに、おれはしゃぬかれていた。
242 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 02:32:59.13 ID:SDS4EPFS0
「まさか、おれをうたがっているのですか?」
「ああ、そのとおりだよ。くんだけでなく、そのとなりのかのじょもな」
きゃっかんてきにみればそうだろう。
だれだってこのじょうきょうでは、だいいちはっけんしゃをうたがうにきまっている。
ましてやおれはにどもつづけてはっけんし、かつふたりともとSOSだんというつながりがある。
さらにはなんだ、はっけんにいたったきめてがかこしだかサイコメトリーだかだって?
そんなものしんじてもらえるのか?
いままでのSOSだんかつどうですら、まわりにはふかかいなめでみられてたってのに?
とはいえへたなうそなどはこうものなら、ほんとうにようぎしゃのひとりとしてなざされかねない。
えんざいたいほでしんぶんらんをかざっちまう、なんてじつれいもなんどかもくげきしたこともある。
だったらおれは、ちょうのうりょくとやらをまじめかおでうったえるべきなのか?
にんいではじつえんすらできないのにか?
あたまがいたい。
どうすりゃいいんだよ。
かのようにしょうそうのかなたにあったおれのこんわくをどううけとったのか、
けいじがしぶあじとえみをまぜあわせためんかまえでいっった。
「ま、はなしをきかせてもらったかぎりだと、それなりのすいそくをおもねてこのばしょへとたどりついたようだしな。
なによりくんがあくにそまるようなにんげんにはみえそうもない。
もしなんらかのかんれんをもっているのならば、こうやっていったんのけいじににらまるとかおりがでるからね」
ひょうじょうではうすくわらってはいるが、けいかいのしょくはただのいってきたりともとかれてはいない。
それががんこうこしにつたわってくる。
244 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 02:45:48.98 ID:SDS4EPFS0
「わたしはまちのへいわをまもるのがしごとなわけだ。うたがえるかのうせいはすべてあたらなくちゃならない。
きみたちにはおもねていうことにもなるが、あまりよるはであるかないほうがいい。
これいじょうのぎせいしゃをださないためにも、そしてきみたちじしんのけっぱくのためにもだ」
ところどころでちからづよくためることば。
それにはみょうなせっとくりょくといあつかんをうみだすこうかがあるらしい。
「さあ、こんにちはもうかえりたまえ。
じきにようがおちるから、それよりもはやくいえにかえっておとなしくしていなさい」
そのことばでおいだされるように、おれたちはげんばとなったこうえんをのちにした。
たかしもはいごからおりそそぐさすようなしせんにきがつかないフリをして、
あさひなさんとふたり、あんがりとかしはじめたきろをたどりはじめた。
246 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 03:05:22.08 ID:SDS4EPFS0
――きみたちがうそをもじじつとしてかくしとうせるいちりゅうのえんぎものならば、はなしはべつだがな
さりさいにつぶやかれたひとことを、おれははんすうしていた。
たんなるじしゅせいさくえいがのしゅつえんしゃでしかないおれに、そうまでできるじしんはない。
そんなことよりもだ。
けっきょく、はなしそびれてしまった。
ちょうのうりょくのことも、そしてかばんのなかにしまっていただいほんのことも。
だって、あのじょうきょうでそれらをくちにだしてもみろ。
そくざにパトカーへむかっておやゆびをさされちまいそうだ。
だがどうする?
あさひなさんにきけんがせまっているいじょう、なにかてをうたなければならない。
なら、あさひなさんにだいほんのけんをつたえるか?
いや、それをやったところでふあんがらせるだけであり、なんのかいけつさくにもならないきがする。
そのようにバラバラとまといらないさくをねっていたおれに、あさひなさんがといかけてきた。
「もしかして、あたしたちSOSだんのみんながねらわれちゃっているんでしょうか。
こいずみくんもえいががどうとかいっってましたし、じっさいにかんれんしているにんたちがつぎつぎに、その……」
じょうきょうからすいさつするとそれでまちがいないはずだ。
だが、
「させません」
それをみとめるわけにはいかない。
248 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 03:31:26.15 ID:SDS4EPFS0
たそがれときもしゅうきょくちょくぜんをむかえ、かげがむげんにのびきるじかんたいとなってきた。
あたりではしゅのひかともののかげがあいまいにとけあわさり、みとおしがひじょうにききにくい。
そのようなじょうきょうかでだ。
ふと、ややおくれてほをとっていたあさひなさんのほうをふりかえったとき、
かのじょのはいごはるかとおくにひとかげをみつけたのだ。
だれだ?
なんとなくきにかかり、めをこらしてみた。
するとあいてもおれのしせんにきづいたのか、じゅうたくのかげへすいこまれるようにながれきえた。
「あさひなさん、ちょっといってきます!」
ぎゃっこうとひかりかげんですがたがはっきりしなかったが、
ぼうしをめしんにかぶっており、ラフなふくそうであのようす。
つけられている。
そうかくしんし、おれはかけたのだ。
じゅうすうびょうであいてがきえたかくまでつき、みまわした。
……くそ、だれもいない。
いりくんだじゅうたくがいではおおうにもわかれみちがおおすぎる。
「どうしたんですか?」
ようやっとかけつけてきたあさひなさんには、
「いえ、きのせいでした」
とこたえるほかなかった。
250 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 04:00:17.70 ID:SDS4EPFS0
おれがあさひなさんをおくりとどけたときには、すでにようがおちゆうやみがおとずれていた。
おれたちはくらくそびえたっているあさひなたくをまえにして、ことばをまじわしていた。
「すみません、またおくってもらっちゃって」
「いいんですよ」
「じゃあ、その……」
あかりがともっていないいっけんや。
しゅうちのとおり、ひとりぐらしなのだからとうぜんでもあるが。
「あのっ」
あさひなさんはそのげんかんとびらをひらきかけたところで、ふたたびこちらへとむきなおっった。
おびえるようなきたいするかのような、なんともびみょうなひょうじょう。
じつになやましいね。などとじょうじならではのていくをとばせるくうきではない。
「あの、そのぉ……キョンくんって、こんやいそがしかったりしますか?」
やっぱりそれしかないか。
おれじしんあれらかもなやみつづけたものの、なにひとつめいあんがおもいうかばなかったまつに、たんてきなひとつのほうほうをおもいついていたのだが。
もしあさひなさんがくちをひらかねばおれからいおうとかんがえていたさくを、どうやらかのじょがだいべんするようだ。
「もしよかったら、その、いっしょにいてもらえないでしょうか?
あの、めいわくでなければでいいですけど……」
ふくあさひなさんにかけることばなど、SOSだんせつりつとうしょからきまっている。
「もちろん、おちからぞえさせていただきます」
ことわれるはずもないさ。
255 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 04:31:07.41 ID:E/e2+iciO
かきょうか…
『これは、あたしのちょうせんなの』
ハルヒがそのようにせんげんしたのは、まだゆだるようなあつさがのこっていたくがつのことだ。
すなわち、いまからにかげつもまえのことである。
あのにちをさかいにおれたちはじしゅせいさくえいがのさつえいとへんしゅうにひびおわれることとなり、
へとへとになりながらもこうしてきょうをむかえているわけだ。
なにはともあれいそがしいまいにちなのだが、
それだけのながいまえおきがあって、ようやくにしてものがたりははじまるというすんぽうだ。
3 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:04:18.31 ID:vFozzCGB0
まったく、いやになるね。
あきもおわりだというのにれんじつおりつづいているこのひさめ。
しょかにおとなしかったはんどうか、おそざきのはんこうきのようにいまになってつゆいりりしたってあんばいか?
おいんさまでれいかなるこうようをたのしめないばかりか、
いちねんのうちでもっともすごしやすいはずのきせつをみごとにだいなしにしていやがる。
まあ、あきさめというにはおそいがそういうきごもあるくらいだからしかたないのだろうが。
いやになるといえばハルヒをひっとうとしたSOSだんかつどうのほうもだ。
もうこうこうせいかつもおりかえしちてんだってのに、つぎからつぎへとトラブルをだえこんできやがる。
さらにはぶんかさいがちかづいているために、おれはれんじつにつぐえいがへんしゅうさぎょうでてつやをしいられ、ここいちがつほどはまことめんにねむれたよるがない。
まったく、おまえはふくまねきならぬやくまねきかっての。
ふこうはかってでもしろ、なんてありがたいこうしゃくをくださるおねんぱいのかたがたにてあつくプレゼントしてあげたいもんだね。
さてと。
かのようにしてかたったけいいによってまんせいかたずつうをわずらってしまったおれではあるが、
じつはいまげんざい、たいへんこまったじょうきょうかにおかれているらしいのだ。
げんにおれのめのまえにいるメイドふくすがたのあさひなさんも、おどろきのしょくをかくせないでいるしな。
ともかく、ほったんはむじんのぶしつにぽつりとおかれていたゆのみ。
どうやらいへんは、おれがそれにふれたじてんからはじまったらしい。
4 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:06:47.38 ID:vFozzCGB0
そのにちもおれは、ふだんとおりのがくせいせいかつをおくっていた。
とうこうし、じゅぎょうちゅうにははいごからのプレッシャーをきょなし、とどこおりなくほうかとなり、そして。
よていちょうわてきにぶんげいぶぶしつもといSOSだんしつまえへとやってきのだ。
つうれいのように、おれはあさひなさんのえんぜんたるほほえみをきたいしつつノックをおこない、
しかしへんじがなかったことにさかのらくたんをまじえてしつないへとしんにゅうした。
で、むじんだったわけだ。
かわりにゆどんがひとつだけ、ぶしつちゅうおうのテーブルうえにインテリアデザインのごとくおかれていた。
そのなかみをのぞきこんでみると、どうやらそこのほうにわずかだけのおちゃらしきみずけがのこっている。
さらにテーブルうえにはみずけがひろがっており、それがとこにまでしずくっていた。
おちゃといえばあさひなさんだが、ひとりぶんだけならばほかのだれかがじしんでえんれたというかのうせいもひていはできない。
なぜだかわからんがおれはちょっとしたすいりにきょうをそそいでみようとおもいたち、
まずはげんぶつをしらべるのがじょうとうしゅだんだろうとのことで――
ゆのみをてにとった。
5 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:07:49.35 ID:vFozzCGB0
とたん、じゃくでんりゅうににたしょうげきをうでにかんじ、ともなってせかいがあんてんした。
それからザザッとホワイトノイズがはしったかとおもうと、
つかいふるされたしろくろテレビのようにふせんめいなビジョンがうかびあがってきたのだ。
おくあれた、ろうなえいぞう。
おとはノイズのなみにかきけされてつたわってはこない。
だが、そこにいたじんぶつがだれであるのかくらいはみてとれた。
あさひなさん……?
”おれ”のめのまえにはせいふくすがたのかのじょがいた。
おれのめのまえ?
いや、いやちがう。
なにがちがうのかって、してんがことなっているのだ。
おれはいすにこしかけたじょうたいでゆのみをてにとった。
が、この”してん”からのえいぞうはまぎれもなくぶしついりぐちとびらすぐのいちからの”だれか”によるもの。
あるいは、”なにか”のもの。
こんらんしそうではあるが、おれのものであってほかのものであるということらしい。
ややこしいなまったく。
6 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:08:54.12 ID:vFozzCGB0
おれはしろくろえいぞうのかんさつをつづけていく。
あさひなさんのこうどうはたんじゅんだった。
ぶしつにいちばんのりりしていたらしく、だれもいないしつないをゆるりとみわたす。
ついで、おもいついたようにぶしつすみをふりかえる。
するとどうやらでんきポットからじょうきがふきだしているらしい。
なるほど、ふりかえったのはあらかじめセットしておいたものがわき、タイマーおとでもなったためか。
やがてゆげをたてるそれをきゅうすへそそぎ、こんどはきゅうすからゆのみへ。
そのひとつだけのゆどんをぼんのうえへとのせ、
コトリ。
とおとはつたわってこないのだが、テーブルうえにゆどんがはこばれたことはわかった。
あさひなさんはぼんをポットよこにしまうと、しとやかにちゃくせき。
おちゃをてにとり、ものゆうげなためいきをはくようにいきをふきかけ……
ているさいちゅうにすべりおとした。
テーブルぎりぎりのいちでころげるゆのみ。
はねるねっとう。
あさひなさんはふいのがいてきとそうぐうしたねこのようにとびしりぞき、イスもひかれてふっとんでいた。
ん?
ひだりてをさかんにふっている。
かわしそこねてあびちまったのか。
さらにはスカートのすそもじゃっかんながらぬれているらしい。
あのおちつきようからさっするに、きせきてきにもすはだをさらしているふとももぶぶんにはいたらなかったようだ。
あさひなさんはじしんのじょうたいをかくにんすると、じょにスカートにてをあててぬぎ――
7 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:09:55.87 ID:vFozzCGB0
「うお!?」
とうとつ。
せかいにしょくあじとしつかんがもどってきた。
ふだんならばききおとしてしまいそうな、ざわめくくうきもかんきょうおととしてかんじられる。
もうすこしでいいところだったのに、ちくしょう。
いやいや、なにをかんがえているのだおれは。
びのかみのプライベートゾーンをのぞきみるなんてとんでもないだろ。
だがしかし、あれはのぞきではなくげんかく、またははくちゅうむだったというかのうせいもある。
つまりはおれがわるいわけじゃあない。
ああ、きっとそうさ。
だからもうちょっとだな……。
「あれ、キョンくん」
のわぁっ!?
「どうしたんですか?」
いきなりとびらをひらかんでくださいよあさひなさん。
おれはいま、ひじょうなるかっとうとたたかっているさいちゅうでして……
「って、どうしたんですか、そのひだりて?」
「え、これですか?」
ややはずかしげにめはいせたかのじょは、こおりのうかたてにわらいながらしたをだしたのだ。
「やけどしちゃいました、おちゃをこぼしちゃったので」
このしゅんかんおれは、じしんがなにかにまきこまれたのだとさとった。
8 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:10:56.64 ID:vFozzCGB0
それからすうふんかん。
おれはみぶりてぶりで、あのしろくろビジョンでのないようをつたえていった。
けっか。
「どうしてそれを?」
おれのめのまえにいるメイドふくすがたのあさひなさんがおどろきをつゆわにした。
ほそくしておくと、これでぼうとうぶへとつながったわけである。
「たしかにあたしはおちゃをくんで、おぼんにのせてはこび、テーブルにおいてからその……」
とりおとしてひだりてをやけどしたと。
かのじょのはなしによると、それからいそいでふくをきがえ、ほけんしつにてこおりのうをもらい、いまにいたったとのことだ。
なんにせよたいかきずをおわずによかったってものだね。
「すみません、しんぱいかけちゃったみたいで。
けど、ほんとうにどうしてわかったんですか?」
「それはその、おれにもよくはわからないのですが……」
たんてきにじょうきょうをせつめいしていく。
ちなみに、あのぶぶんにいたるまえでえいぞうがとぎれるたとへんしゅうしておいた。
えいぞうへんしゅうはまがりかたちにもけいけんずみみだしな。
そういうやりとりのまつにえられたかいとうが、
「ふしぎですねぇ」
というきわめてきゃっかんてきで、かつじしんがみらいじんというふしぎのひっとうであることをぼうとなげすてたものだった。
9 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:11:55.53 ID:vFozzCGB0
「やぁ、どうも」
まっていたぜこいずみ。
あさひなさんとふたり、せったいオセロにはなをさかせながらだけどな。
「なるほど、くわしくおきかせねがえますか?」
「オーケイ、はなしがはやくてじつにたすかる」
ふたたびのひとりえんげき。
キャストはおれ。
おもしろくもなんともないが、にどめともなればいしきせずともえんぎにねつがいるものだ。
「しゅえんだんゆうしょう、そうなめですね」
「ほっとけ」
「すみません、ではほんだいに」
「たのむ」
こいずみはニヤけをごういんにおさえこむと、けつろんからきりだした。
「おくそくにすぎないのですが、おそらく、かこし、あるいはサイコメトリー。
もしくはそれらにふずいするものではないのでしょうか」
かこし、あるいはサイコメトリー?
おれはまぬけにもふくしょうしてしまっていた。
「ちょうしんりがくのぶんやではESPなどとよばれいるものですね。
いっぱんせけんてきにはちょうのうりょくとされるものですよ」
どうやらおれは、いっぱんじんではなくなったらしい。
10 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:12:50.30 ID:vFozzCGB0
そのむかし、ジェームスさんはいいました。
いたずらにちょうのうりょくをしんじこんじまうのは、きわめてきけんなことなのだと。
それがじんせいをくるわせかねないじたいをまねくことになるのだと。
すべてはカルトなのだと。
だからおれもかくしょうなくしてはみとめん。
ってこら、なにをうれしそうにしているんだよこいずみ。
「すみません、これでぼくたちもはたけはちがえどにたものどうしになれるのかなと。
それから、これだけのいじんがつどうSOSだんないにおいて、かいぎろんをとなえるのはナンセンスなものですよ」
「だんじておことわりだ。おれはいっぱんじんだいひょうなんだからな」
「おや、ひていをおもねなくともいいでしょうに。
それより、まだしゃべりたりのですがさきへすすんでもよろしいのでしょうか?」
「ぜひたのむ」
「はい、ではたのまれましょう」
しんそこたのしそうだなこいつ。
あんがい、さきのひとことにはほんねがふくまれているのだろうか。
11 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:13:33.53 ID:vFozzCGB0
サイコメトリー。
それはモノにのこされたおもいのけつへん、”ざんりゅうしねん”をよみとくちからです。
しょうさいなのうりょくはふめいでこじんさもあるとされますが、
よみとけるモノはぶったいだけとはかぎらずに、たしゃのしこうすらとけるものもいるとされています。
まあげんみつにのべるのならば、たしゃのしこうをよみとくのはテレパシーなんですがね。
そうそう、じつはぼくもこういうのうりょくにあこがれていたじきがありまして、くんれんのまつにしゅうとくできないかとにちや……
えっ?
はい、すみません。
ちょうしにのりました。
ではいとめをつむぎなおすとしましょうか。
あなたののうりょくについてですが、はなしをうかがったかぎりではサイコメトリーというぶんるいでまちがいないかとぼくはかんがえています。
ただ、そういったちょうしぜんてきなちからがとつじょとしてめざめたばあい、
れんさてきにだいにだいさんのなにかをひきおこすかのうせいがじゅうにぶんにかんがえられます。
ひょっとすると、すでにふくごうてきななにかとこんごうされたじょうたいであるのかもしれませんね。
そう、ぼくがひっかかったのは、あさひなさんのこうどうをだいさんしゃのしてんでのぞきみたというげんしょうです。
なぜかって?
かんたんです、ざんりゅうしねんとはおもいのちからであるからですよ。
すなわち、ほんらいよみとけるのはあさひなさんがゆのみにふれていたときにかんじていたしんきょうやかんじょうのはずです。
なのにあなたはそれではなく、あさひなさんにおきたかこのできごとをえいぞうとしてみていた。
だから”かこし”としょうしたほうがよりてきかくなのかとぼくはおもうわけです。
さて、いかでしょうか?
12 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:15:09.92 ID:vFozzCGB0
そういうまんぞくきなひょうじょうをむけられてもこまるのだが。
「なんぷん、ぼくのせんもんぶんやなものでしてね」
かたりすきであるおまえのきもちもわからんではないさ。
しかし、ここできになるのはのうりょくてきなかくしょうではなくそのいとだ。
「どうしておれに、こんなのうりょくが?」
「いっせつによれば、ちょうのうりょくとはだれしもがもちえているものだとされています。
それがたしゃよりまされたごかんによってか、
またはかつようできていなかっただいろくのかんかくがえいりになったことでちからとしてはつげんしたと。
はつげんについてはなんらかのがいてきようそにきいんして、あくるにちにめざめることもあるようです」
ぼくがちょうのうりょくしゃとなったにちのようにね、か。
で、そのよういんってのはなんだ?
「たとえば、つよいざんりゅうしねんのエネルギーによって、
あなたのなかにあったモノがきていかられいきじょうたいへといこうしたのかもしれませんね。
またはれんじつのすいみんぶそくによってかんかくがとぎすまされていった……なんてせつもありますが」
にしては、なにかしらふにおちないが。
13 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:15:41.33 ID:vFozzCGB0
「いんがはめぐるといわれていますが、あなたにそのきざしがあらわれたことは
きっとなにかのまえぶれとなるはずです。
ひつようとされているからこそ、そこにみちがつくられるようにね」
なんてこったい……。
これまでもれんじつにつぐふかしぎのたいおうにへきえきしていたってのに、
こんどはおれじしんがそのしゅがんにとらえられるとはな。
ちくしょう、ずつうがましてきやがった。
「きにやまれるひつようはありませんよ、ふかくはかんがえないことです。
それに、ぼくたちがいるじゃあないですか」
ああ、たしかにおまえなどがいるな。
おまえなどが、な。
おまえなどが……?
なんなんだこのいわかんは。
14 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:16:43.97 ID:vFozzCGB0
そういえばあいつがいない。
それにもうひとりも。
「ハルヒとながとはどうしたんだ、やけにおそいようだが?」
「えっとぉ、おふたりならさきにかえるっていっってましたー」
「え、ふたりいっしょにですか?」
「はい、だからかつどうのほうはかくじにまかせるとりょうみやさんが」
ハルヒとながと?
すうひゃくねんちかくほそうされていないどうろならにデコボコなくみあわせじゃないか。
とはいえ、ハルヒがりかいふのうなこうどうをとることはあるにせよ、いみのないこうどうをとることはない。
いったい、なにをきんでいるってんだ。
「ああ、あたまがいたい」
「あのぉ、だいじょうぶですかー?」
ありがとうございますあさひなさん。
あなたのきずかいはあらゆるしょうやくにもまさるばんのうやくですよ。
「かぜぎみなんでしょうか、きせつのかわりめとあめのせいできおんのへんかがはげしいみたいですし。
あたしもちょっとだけあつっぽいきもしてますし」
「それはいけない、いますぐのおきたくとおりょうようをしんげんさせていただきます」
むじゃきにほおをほころばせるあさひなさんをよこに、こいずみがしめくくりにかかった。
「では、こんにちはかくじかいさんといきましょうか」
「りょうあんだな、おれもさんせいひょうをとうじさせてもらう」
こうして、ほんじつのかつどうはあっさりとまくをくだろしたのだ。
15 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:17:33.57 ID:vFozzCGB0
ぶしつからしょうめんげんかんへいたるどうていでの、こいずみとのかいわ。
「ちょうかんかくというだけあって、たいしつがかびんになっているかのうせいもあります」
「なにがいいたい?」
「あなたのずつうのことですよ」
「ん……ああ、なるほどな」
「たとえばですがアナフィラキシー。ようするにはやくぶつかびんしょうのことですね。
ふだんならものともしないささいなもんだいやショックでも、
いまのじょうたいでそれとおなじようにおこなえるかはほしょうできませんからね。
おはやめにきたくし、ゆっくりとからだをやすめることをおすすめしますよ」
どうやらこいずみなりにきづかってくれているらしいな。
まあ、おとこにおもいやられてもたいしてうれしいものでもないが。
「きもにめいじておくよ」
せんぱいちょうのうりょくしゃとのかいわをとうししょうたいがつかめたことで、いくばくかのあんしんかんはえられたわけだしな。
「そうそう、もうひとつつけたしておきましょう」
あえてちゅういをひくかのようにこいずみがたちとまった。
とっくにきたくぶはでばらってしまい、げんかんがわだというのにあたりにはひとかげもない。
そのようなじょうきょうかで、いやにおちついたくちょうをもってやつはげんいたのだ。
「すべてのじしょうにはいみがある。このことをこころにとめておいてください。
あなたがソレをえたことも。そしてきょう、ぼくたちがここにいるということも」
では、とかたてをあげられわかれとなった。
16 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:18:32.83 ID:vFozzCGB0
きたくしたおれはひびのしゅうへきにならってさぎょうをおこない、ゆうしょくをたいらげた。
それからはやめのふろをすませると、いちじのきゅうけいのつもりでいまでテレビをながめていたのだが。
ふとながれてきたニュースのないよう。
それがむしょうにきにかかった。
まるでごかんのすべてをうばわれるかのようにいしきをひきつけられ、
めをそらすことができなかったのだ。
へんだとはおもっている。
ああ、おれじしんおかしいとはおもっているさ。
だがおれはこのニュースをしらなくちゃならない。
なぜかまではわからないがな。
くちそうなキャスターがへいたんなこえとひょうじょうで、げんこうとおりによみあげていく。
そのニュースのないようはいたってかんそなものだった。
きょくにとってはすうじをかせぐこまとしてもふじゅうぶんなようで、さらっとながされただけだったしな。
このごじせいじゃあめずらしくもなんともないさ。
さつじんじけん。
はんにんはふめい。
ひとことふたことでおえられるようなそのないよう。
ふきんしんだがへいぼんなものだ。
ただし、このおれがおしつぶされるようないやなよかんにかられたことと、
そのぶたいがこのきんりんであるということがらをのぞけば……
いたってへいぼんなものだ。
18 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:31:55.83 ID:vFozzCGB0
よくじつ。
「おっはようキョン!」
とうこうちょくごのさわやかなくうきのなか、あくびかたてのおれにたいようのようなえがおがそそがれた。
いうまでもなくハルヒ。
それがいやにごきげんよくリボンをゆらしていらっしゃる。
「どうしたんだ、うっとうしいかおをして?」
「アンタはくちをひらくとすぐひにくなのね、そんなんだからこものなのよ」
「おれのはあいさつがわりみたいなものなんだよ。
もっとも、むきしつなきゃくほんにむりやりあじをづけたへいがいかもしれんがな」
「なにごとってるのよ、アンタはほさでゆうきのをだいほんにかきくだしているのはあたしでしょ?」
そうやってじまんげにはなをならされてもこまる。
まったく、こいつのバイタリティにはしんそこあきれるね。
「ところでさ、もしアンタにほしいモノがあるとしたらなにをねがう?」
「すいみん」
「もっとげんじつてきにかんがえなさいよ!」
「やかましい、げんじつてきにかんがえたけっかがそれなんだよ。
こっちはねずのばんでつかれているんだからろうわってくれ」
「じゃあ、ひざまくらでもしてあげようか?」
「ことわる」
「じょうだんにきまってるでしょ」
そっぽをむいてのむごん。
おいおい、きゅうにだまられるとふあんになるじゃないか。
19 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:33:20.15 ID:vFozzCGB0
げんじつてきなものねぇ。
ハルヒのまえでへたに”せかい”なんてこたえちまうとマジでせいふくしかねないかのうせいもあるし。
かといってどぐうなんてこたえてごじつ、ミラクルパワーによってどぐうがおりそそいできてもこまる。
「それならねむいからコーヒーだな」
「だめね。たべものやのみものはだめなのよ」
「どうして?」
「かたちにのこるものでないとね」
あらてのなぞかけか?
まあいい、ならばぶなんに。
「ぐんて」
「なんでぐんてなの?」
「ふゆのじてんしゃつうがくときにはつかえる。これからさむくなるしな」
「それもだめね、きょうきとしてはつかえそうもないし」
「きょうき?」
「こう、なんかみじかにあるモノでグイッとできたらいがいじゃないの。リアリティというかさ」
「なぜそれをおれにきいた?」
「アイディアとはおもいがけないところからうまれるものよ。
うみだそうとかたくなになっちゃえばパターンかしちゃうし」
「ならマフラーとかはどうだ? ピアノせんであめばぶきにもなるぜ?」
「それいいわね!」
……しょうきかハルヒ?
「さっそく、あみほうでもならわないと」
おれはよけいなことをくちばしってしまったなとはやくもこうかいしていた。
20 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:35:51.84 ID:vFozzCGB0
さて、さくばんからずっとかんがえていたことではあるが。
そろそろハルヒにいわなければならないだろう。
「おい、やっぱりえいがのないようをかえないか?」
「はぁ!? なにごとってんのよアンタ!」
やはりそうくるよな。
しかしこちらにだってりゆうがあるんだ。
「きのうのニュースをみていないのか?
ちまたではリアルなさつじんじけんがおこっているらしいじゃないか。
そんななかで、おれたちまでこのまちをぶたいにしたれんぞくさつじんじけんものなんてつくってみろ、
パッシングのあらしじゃねぇかよ」
「え……じけんがあったの?」
ハルヒのかおがあんにしずんだ。
しかしすぐさまにつよきのしせいをとりもどすと、
「そんなこといっったって、きょねん”あさひなミクルのぼうけん”をつくりあげちゃったのよあたしたちは。
だからこんねんはぜんねんいじょうのものをつくりあげなければならないの。これはたいしゅうからのぞまれたしめいよ。
そのためにきょねんのしっぱいをかえりみて、こんねんははやくからのさつえいとへんしゅうをやっているんじゃないの?」
またまたたいそれたおかんがえだね。
と、いちねんときのおれならばぜんひていだろうが、こんかいにいたってはハルヒのきもちもわかるってものだ。
「おまえのしゅちょうするところにはおれもいをつらねるよ。
おれだっていままでとってきたものや、おれみずからがちをはくおもいでへんしゅうしてきたシーン、
VFXをすてるのはおしい。
だけどだな――」
「だけど、なに?
まさかシーンのみならず、ゆうきがかいたきゃくほんやらこいずみくんがよういしてくれたエキストラ。
みくるちゃんのちょうきくんれんによるじょうとうなえんぎ、キョンのへんしゅうとざつよう、
さらにはタイアップのていきょうしゃまでもをすてるっていうの?」
21 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:37:36.87 ID:vFozzCGB0
わかっているさ。
ああ、わかっているとも。
おまえはじぶんをくわえてはいないが、
おまえじしんもあいたじかんのすべてをそそいでかんとくぎょうのべんきょうをしていたことくらいしっている。
ながとのきかいなシナリオをだいほんにかきくだしたり、あさひなさんにえんぎしどうをくわえたり、
エキストラやきょうりょくしゃたちにあたまをさげたりもな。
じつにがんばっていたとおもうぜ、ほんねからそういえるさ。
きっとおまえは、そんなみなのおもいをとためとしたくはないのだろうからな。
おれだってそうだ。
だけどな、
「じせつがらがわるすぎる。
わざわざふきあれるたいかいはらにゴムボートでかけだすばかがどこにいる?」
「それをのりきってこそのSOSだんでしょ?
かてんじてふくとなせ、これこそがあたしたちにピッタリのことばよ。
かつてのおおものたちもぎゃっきょうをはねしりぞけてこそ、じゅうちんとしてせいちょうできたんだから」
22 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:41:21.92 ID:vFozzCGB0
「そんなことはしるか。おれたちはげいのうじんでもなけりゃせいじかでもない、いっかいのがくせいにすぎないんだよ。
ただでさえまわりからはきいのめをむけられ、えんいてはしゅものあつかいなんだぞ?
これいじょうのもんだいをおこせばこうぎがさっとうするのはうけあい。
やがてはがっこうがわからのしょぶんがくだされ、SOSだんのそんぞくにかかわってくることもめいはくだ」
「だけど……あたしはいやよ、いまさらむだになんかできない!」
ちくしょう、ききわけのできないやつだな。
「ばかかおまえは? だんいんをひきいるリーダーならば、もうすこしせんけんせいをもてよ!」
そのことばでハルヒのひょうじょうがいっぺんした。
いかりだ。
おもみをすぐにかんじるほどのいあつ。
それをひとみにたずさえている。
やめてくれよ。
そういうしせんをむけるのは。
おもんちがいというものだろう?
しゃぬかれるほどににらめづけられ、おれがきょうふをかんじはじめたごろにハルヒはようやくうごいた。
「あたしはみとめないからね、ぜったいに。なにがあってもこのえいがをかんせいさせてみせるから」
たしかめるようなひくいりをのこし、そのままこうしくきょうしつからきえていった。
23 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:44:09.64 ID:vFozzCGB0
おれたちがつくりあげようとしているえいがのないよう。
そのおおすじをかたるならば、
はんにんがちょっとしたいきちがいからきょうきにぬれ、さつじんをおこなうというもの。
そののちもはんこうにはんこうをおもね、ラストシーンではじゅうげきによってしをむかえるとのすじがきだ。
ちなまぐさいったらありゃしない。
けれどもSOSだんいんたっそれぞれのしこうさくごのけっか、
こうこうせいがつくったにしては、それなりにみれるモノとなってはきている。
それについてはおれがまいよ、さつえいとへいこうしたへんしゅうさぎょうをおこない、なんどもみなおしたけっかからもほしょうする。
すくなくともきょねんのしりめつれつなストーリーにくらべりゃてんとち、がつとスッポンというやつだ。
しかしそのないようがふこうにも、ニュースでながれたほんもののじけんによってあぶなうきにたたされているのである。
りょうしきをもっているにんげんならば、こんなときとばあいではこうかいをさしひかえるものだろう?
ひがいしゃとなったほうへのついとうのぎはもちろん、いぞくのかたがたからえんこんをかうのもきょくりょくさけていきたい。
それがまことっとうないきかたなはずだ。
だからこそ、このえいがはここでおわらせるべきなんだ。
それがただしいはずなんだ。
だけどなぜだ?
なぜこうもおれは、にえきらないんだ?
それにこのまわたでくびをしめられるようなふあんかんはなになんだ?
わからない。
わからない……しかし。
「なにもおこらなければいいんだが」
やれやれ、またあたまがいたくなってきやがった。
24 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 00:46:26.84 ID:vFozzCGB0
けっきょく、ハルヒはほうかごになってもきょうしつへはもどらなかった。
おれはそれにさかのざいあくかんをおぼえつつ、ぶしつへとむかった。
「いりますよ」
ノックとつうれいのくをのべ、へんじをもらう。
「やぁ、こんにちは」
「どうもぉ」
きのうとおなじメンバーか。
それをかくにんするとふあんかんにのちをおされ、くちそうにふたりにたずねた。
「ながととハルヒはしらないか?」
ふたりがかおをみあわせ、
「ぼくはなにも」
「あたしもなにもきいていません」
まずい。
なにかがまずい。
「どこかでみかけなかったか?」
「いえ、ぼくはふたりともとおあいしてはいませんが」
「あたしもおなじです」
ながとはどうした?
ハルヒがかえったのならばわかるが、なぜにながとまでがすがたをみせないんだ?
26 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:12:44.42 ID:vFozzCGB0
「いやなよかんがする」
おれのひとりかたちめいたつぶやきをききづけたのか、
こいずみがひょうじょうをひそめていた。
「ぐたいてきにおねがいします」
「どうしたんだ?」
「きのうもうしあげたとおり、あなたはなんらかのちょうかんかくをえているわけです」
「ああ、たしかにきいた」
「ならばいまやあなたのよかんは、”せんりがん”のへいはつによるものなのかもしれません」
「せんりがん?」
「とおくはなれたできごとをかんじとるちからではありますが、これもやはりしょうさいはふめい。
ですがそのじょうけいが”よかん”というふたしかなモノとしてあなたのもとへととどけられている
かのうせいがあります。
どちらにせよ、かんかくがせんったじょうたいであるあなたのじょうほうは、
いくぶんかのしんじつをふくんでいるのかもしれません」
とどのつまり、いまおれがやるべきことはそれをせつめいしろと。
「では、おねがいします。”なにについていわかんがあったのか”をきょくりょくぐたいてきに」
あさひなさんがおちゃをはこんでくれたことにより、
おれたちさんにんはSOSだんからちょうじょうげんしょうたいさくほんぶへといこうした。
27 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:13:46.85 ID:vFozzCGB0
「そういえばきのうからだ。ハルヒとながとがいないことにおれはまずいわかんをおぼえていた」
きおくをさぐれ。
おもいだせ。
「それからきたくし、ゆうしょくのちのテレビをみて……そのないようにいやにひきつけられた」
「そのときのしんきょうは?」
こころなしかこいずみにあせりのしょくがあらわれているような。
あさひなさんもしんみょうなおももちでみみをかたむけている。
いや、そんなことはどうだっていい。
「そのとき、おれは……とてつもなくいやなよかんにかられていたはずだ」
「ぐたいてきに。どのようなかたちのいやなよかんですか?」
「わからん。ばくぜんとしすぎていてなにもわからない」
「では、つぎへ」
「そのつぎはきょうだ。ハルヒにじけんのことでじしゅせいさくえいがのちゅうしをうったえたのだがことわられた。
ハルヒは”ぜったいにかんせいさせる”といいのこしきょうしつからきえ、それからおれはえいがについてかんがえ、
またもふあんにおそわれたちょくご、こうかんがえた」
――なにもおこらなければいいんだが
そこまではなしおえたとたん、こいずみがたちあがった。
「いそぎましょう、ながとさんのじたくへ」
30 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:23:44.38 ID:vFozzCGB0
ゆうこく、まだじゅうぶんにようがあるじかんたい。
しきりにけいたいでんわをもてあそっているこいずみをせんとうに、おれたちはこうどうをはやいペースであるいていた。
「あさひなさん、だいじょうぶですか?」
「はい、だいじょうぶ、です」
ことばとはうらはらにじゃっかんいきをきらせている。
むりもない、いっぱんてきなじょせいであるかのじょがおとこのほはばにあわせるのはつらいものがあるだろう。
しかしきづかってペースをおとすよゆうがおれにはない。
それだけにこころがいっってしまうのだ。
せんじんをきるこいずみにしたってどうようだとせなかこしにつたわってくる。
「なあこいずみ、なぜながとなんだ?」
こいずみはふりかえるとどうじ、ゆびをたててせつめいをはじめた。
「だいいちのいわかんのじてんでいなかったのはりょうみやさんとながとさん。
だいにのいわかんのじてんで”さつじんじけん”についてあなたがひきづけられた。
そしてだいさんのいわかんで、”なにもおこらなければいいんだが”とのメッセージをうけた。
だいさんのいわかんは、うらをかえせば”なにかがおこるから、それがおこらないようにねがった”ともかいせます」
こちらのりかいをうかがうようにこいずみがかんをおいた。
……よし、だいたいははあくした、つづけてくれ。
32 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:35:57.83 ID:vFozzCGB0
「くりかえしになりますが、すべてのじしょうにはいみがあるんです。
あなたがちょうかんかくをえたのも、いわかんをうけとってしまうのも、そしてそれらいがいのすべてにもです」
そんなことおれにはわからない。
「つづけます。
つまりだいいちのじてんでりょうみやさん、あるいはながとさんにしぼられ、
だいにのじてんでそこにさつじんじけんというキーワードがくわわり、
だいさんのじてんでなにかがおこるというようそがたされた」
じゃあ、まさか……。
「そのとおり。りょうみやさんかながとさんのどちらかがじけんにまきこまれているかのうせいがたかいとかんがえます。
そしてきのうのじてんであなたはいわかんをかんじており、かつながとさんとせっしょくしていない。
さらにきょうもりょうみやさんとそうたいしているときではなく、それらいがいについていわかんをおぼえていた。
そうでなくともながとさんがわれわれへのれんらくもなしにすがたをみせないことはじょうたいならばかんがえられません。
なぜならばいまげんざいわれわれは――」
そうだ、おれたちはいまげんざい、じしゅせいさくえいがのさつえいをいっているのだ。
だからこそだんちょうようのいこうにそむくようなこうどうをとれるはずもない。
きのうとこんにちはハルヒがふざいだったためにさつえいこそおこなわれなかったが、
それまではれんじつのようにさつえいがつづき、そしておれはまいよのへんしゅうにおわれているのだから。
まて。
それじゃあまるでながとが……。
そこまでかんがえたとき、こいずみがけっていだともなるひとことをほうっった。
「そもそもですね、つながらないんですよ。なんどもながとさんとれんらくをとろうとしているのに、
なぜなのかつながらないんです」
けいたいをぶらりとゆらしながらの、くしいはんわらいだった。
36 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:47:58.45 ID:vFozzCGB0
まちをあっぱくするかのようなこうきゅうぶんじょうマンション。
じょしこうせいがひとりですむにはあきらかなオーバースペック。
それをまえにし、みあげるかたちでおれたちはちょんでいた。
「いつみてもごうかなんですねぇ」
あさひなさんのいけんにはいっぺんのあやまちもないが、
いまはそれにあいづちをうっているひますらもおしい。
「どうやっているんだ?
いぜんおれがおとずれたとき、パスコードがなければとびらがひらかなかったはずだ」
またあのときのようにたにんのつうかをまってわりこむか、
などとしあんしていたやさき、こいずみがまがおのままきりだした。
「ぼくならいれます、かのじょとはきょうりょくかんけいにあったためににんしょうもしりえているので」
なるほど、それはこころづよい。
ほどなくしてひらいたガラスこをぬけ、おれたちはエレベーターでしちかいをめざした。
708ごうしつ。
ながとはそこをじゅういとしている。
たのむ。
ぶじでいてくれ。
38 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 01:58:09.50 ID:vFozzCGB0
「あきませんしインターホンをおしてもはんのうがありません。おそらくふざいのようです」
ながとのへやまえまできたとき、おれはあるたねの”よかん”がした。
なにかがある。
いや、”このとびらに”なにかがある。
「どうしたんですか、キョンくん」
すみませんあさひなさん。
いまはむししてしまうことをおゆるしください。
さそわれるようにいっぽまえへ。
とびら。
ちがう。
のぞきあな。
ちがう。
ドアノブ。
ドアノブ・……?
みつけた。
ここだ、ここになにかがある。
「こいずみ、すこしのかん、おれをささえていてくれ」
こいずみがりょうかいするよりもはやく――
おれはドアノブにふれた。
39 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:00:02.63 ID:vFozzCGB0
ザザッ。
ザァー……
ホワイトノイズ。
おとがかきけされたしろくろのせかい。
すなあらし。
そのおくのろうなビジョン。
めをこらす。
わずかだがじかんとともにみだれがびき、じょじょにしやがひろがっていく。
しえた。
とびらはひらいていた。
708とかかれていることからまちがいなくこのばしょであることがうかがえる。
こまいろうかのおく、あいたへやにだれかがいた。
ショートカットでこがらなじょしせいふくすがた。
とおい。
かおがみえない。
しかしすがたかたち、そしてばしょからさっするにながとであるかのうせいがたかい。
すうびょうご。
そのじんぶつがこちらへとあゆみよってきた。
42 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:07:12.63 ID:vFozzCGB0
やはりそうだ。
『ながと!』
こえがでない。
いや、これがかこしだとかていすればつたわらないはずだ。
なんとももどかしい。
ながとはとびらすぐのげんかんうえから、いちどだけはいごのへやをみかえした。
むねにはぶあついほんがだえられている。
さらに、そのにぎりをたしかめるようにだえなおす。
それからこちらへとむきなおると……
ん、なんだ?
いま、なんといっった?
まどろっこしいなまったく。
このホワイトノイズさえなければ。
やがてながとは、ゆるやかなどうさでくつにはきかえると――
44 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:14:53.52 ID:vFozzCGB0
「いたぇ!」
ずつうだ。
それとともにしかいがもどり、せかいがおととしょくでえがきあげられていった。
「だいじょうぶですか?」
「もんだいなしい、きにしないでくれ」
「しかしいたいと――」
「いいから、きにするな!」
ハッとしたときには、おしころすようにこえをしぼりだしたあとだった。
だいじょうぶ。
いたくない。
いたくないからおちつけ、おれ。
そんなことよりながとだ。
おれはこいずみとあさひなさんのりょうめいへ、えいぞうのないようをつたえていく。
「なるほど、ぶあついほんですか」
こいずみにつづき、
「せいふくすがたということは、きたくちょくごでしょうか?」
あさひなさんもかんがえをのべた。
そしていっぱくをおいてのけつろん。
「としょかん」
さんにんのことばがみごとにかさなりあった。
46 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:28:05.51 ID:vFozzCGB0
かけるようにマンションをとびだす。
あのえいぞうのなかでみたほん。
ふんあつく、いつかのこうけいにあるSFかんれんのモノにちかい。
そうだ、むかしたちよったとしょかんでながとがめにしていたアレにかぎりなくちかい。
「まってくださぁーい!」
しまった、あさひなさんのことをわすれていた。
「はぁ、はぁ……すみませぇーん……」
いまさらにしてきがついた。
こいずみがあさひなさんのかばんをうけもっていることに。
なんてこった、おとことしてとうぜんのきくばりすらできないとは。
それほどまでにおれはあせっているのか。
じしんのかんじょうをくみとれないほどに。
なんとかおちつかなければ。
「あの、ほんとうにだいじょうぶですか?」
しんこきゅうをしているところでこいずみにこえをかけられた。
「なんともないぜ」
「そうはおもえません。
たびたびくちにしてはいますが、ちょうかんかくとはとがりきったかんかくがせいすというのがつうせつです。
たとえるならば、ねこはくらやみのなかでさえみとおせるほどにしりょくがよいという”り”をもっています。
しかしそのみ、くらやみのなかでカメラのフラッシュをたかれればこつちしかいはうばわれ、
ばあいによってはしつめいにまでいたります」
――りは、ふりとおもてうらいったいなのですよ。だからこそ、さいしんのちゅういをはらうようにしてください。
47 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:38:48.02 ID:vFozzCGB0
としょかん。
ひとたびきょうかいをまたげば、なかはせいじゃくそのもの。
とふんでいたのが、
「ノイズがきこえる」
「ノイズ?」
あさひなさんがこんわくしたかのようにくびをねっている。
「こいずみはどうだ、きこえないか?」
「いえ、なにも」
「くそっ、げんちょうか」
「わずらいばしょからしずかすぎるばしょへきたへいがいでしょう、きにしすぎないことです」
サンキュー。
おまえがいてくれてほんとうにたすかるよ。
みちのできごとですら、それなりのかいせつをづけてもらえればりんかくがあらわれてくるきがするからな。
「キョンくん、すこしやすんでいたらどう?」
「そうですね、ぼくたちでてがかりはさがしますので」
だめだ。みれるのはおれだけなんだから。
おれがやらなきゃだれがやる?
「それはちがうとおもいます」
「ええ、あさひなさんのいうとおりです。
あなたはあきらかにせいしんをすりへらしつづけています。
みるのはあなたしかできない、だからこそよけいなしょうもうはさけるべきです」
……すまない。
48 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 02:49:48.07 ID:vFozzCGB0
ちかばのいすにこしをおちつけた。
とおくではあさひなさんたちがしょくいんあいてにもんどうをくりかえしている。
こいずみのてみじかなせつめいによると、
”ながとゆうき”のなまえをしょくいんへとたずねてじょうほうと”ぶあついほん”をききだすはらつもりらしい。
それらからながとがここへときたせいかくなじかんをわりだすとのことだ。
そう、じかんなのだ。
まさにもうてんだった。
おれはかこをみることができても、そのじかんまでもをせいかくにしることはできない。
しかいないにとけいがあればべつだが、しろくろせかいでにんいにしてんをうごかすことはかなわないのだ。
さらにはしろくろであるためにひかりかげんがわかりつらい。
くわえてながとのけんでまなんだとおり、わずかかずメートルはなれればかおすらみえないのだから
ふうけいからさっするのもこんなん。
すっぱりとじかんさえわかれば、ききこみのこうりつもぐっとあがるのに。
が、しようがない。
ないものをきょうせいったところでじたいのしんてんなどみられるはずもないからな。
やれるだけのことをやって、のちはなかまとともにぢみちにおぎなうしかない。
さいしょこそぼうはしなかったものの、おれはこのちょうのうりょくをてにいれた。
それはいままでまかせっきりだったみなとどうとうのたちばへたてたことをいみしている。
ましてや、いまげんざいはながとのかげをおっているさいちゅう。
いままでのおんを、まとめてかえしてやる。
だから、ときあきらかす。
このおれが。
ぜったいに。
50 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 03:19:51.52 ID:vFozzCGB0
こいずみがもどってきた。
「げんざいじこくが17とき30ふん。
そしてながとさんがここをたずねられたのが18じまえのちのようです」
「ちょっとまて、みらいなのか?」
「あっ、すみません。18ときというのはぜんじつのものですね」
「やっぱり、おれにはせいかくなじかんがわからないのか」
「それから――」
ややおくれてかえってきたあさひなさんがこいずみをさえぎり、ほんをだえたままでくちをひらいた。
「あの、これ……いちおうおかりしてきましたけどその……」
くろぬりのカバーにきんのだいじ。
だいめいはどこかべつのくにのことばであるらしくよめないが、それはこのきわかんけいはないだろう。
おれはそれにふれずにじっくりとかんさつした。
ながとがだきだえていたのだ、きっとしねんがかくされているはず。
ならばじゅうようなじょうほうがえられてもおかしくはない。
けれどもおれのねがいにはんして、なにもつたわってはこない。
「あさひなさん、ちょっといいですか」
ねんのためにふれてみる。
みれない。
だめだ、これにはしねんがやどっていないのか?
51 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 03:31:22.09 ID:vFozzCGB0
「まずい、てづまりなのかもしれない」
おれははいしょくのうこうにいきをはいた。
いや、まだなにかが……。
「いえ、ごしんぱいなく」
そこでふたたびいをとったのはこいずみだった。
「いきさきはかいっています、しょくいんのほうからうかがいました」
「しょくいんだって?」
「ええ、ながとさんのしんきょうはふめいですがかのじょがとしょかんをひんぱんにりようしていたことはじじつです。
そこでしょくいんのかたはつねひごろからながとさんにことばをかけるようにしていたとのことでして、
ぜんじつもふたことみことだけではありますがかいわをまじわしたと」
「で、どうなんだ」
「じんじゃへいく、などともらしていたらしいのですが」
「じんじゃ? どこのだ?」
「いとうじんじゃ」
ききおぼえがない。
というより、はつもうですらことかくおれが、じんじゃのなまえなぞいちいちはあくしているわけもない。
「ばしょはかいっています、ここはとしょかんですからね」
そういってこいずみは、ちずをヒラつかせてみせた。
52 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 03:42:26.98 ID:vFozzCGB0
おもいのほかはなれたいちにあったために、
おれたちはタクシーをつかまえていどうするはめとなった。
ちなみに、だいきんはこいずみがもつとのことだ。
ながと、おまえはどこにいるんだ?
おれはシートにせをあずけ、まどのそとのふうけいをながめていた。
ながれのおおいえきまえからはなれたとたん、すれちがうにんのかずもきょくたんにへっていく。
いわゆる、かんせいなじゅうたくがいにあたるいちをはしりぬけているわけだ。
「ながとさんは、じんじゃなんかになんのようがあったんでしょうか?」
あさひなさんのことばはもっともだ。
ながとのライフスタイルはおれにとってもみちではあるが、
そのながとがしゅうかんにように、わざわざはなれたいちへとおもむくとはかんがえがたい。
つまり、なんらかのようじがあったとすいそくできる。
そのようじがつかめればあるいは、しんじつがみえそうなのだが。
とにかく、もくてきちはもうめとはなのさきだ。
それでわかる。
きっと、ながとはそこにいる。
きっとだ。
53 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 03:56:27.71 ID:vFozzCGB0
「17とき50ふん。タクシーをつかまえていたじかんをさしひけばやく10ふんていどのきょりですね」
タクシーをおりるなり、こいずみがはかっていた。
「あるけないこともないが、しょうしょうとおいな」
「あたしだと、あるきでは30ふんていどでしょうか」
くちぐちにのこし、みあげた。
そうなのだ、またもおれたちはみあげたのだ。
どうしてじんじゃってのは、こうもおだかいおかのうえにあるのかね。
しかもあたりにはじゅうたくがうかがえるものの、このちょっとしたもりにかこまれたいちではしかいがききそうもない。
おそらく、うえにのぼればそれがよりちゅうちょとなるだろう。
「ぼくがおもうにながとさんはあののち、とほでいどうしたはずです。
つまりかのじょがよりみちなしでここへときていたばあい、そのじこくは18とき30ふんまえのちとなります」
このきせつならば、ゆうひもしずむころか。
さらにはゆうしょくどき。
ますますにんきもはけるというものだ。
にんきないばしょ、か。
だがかんがえていたってらちがあきらかない。
「いこう」
おれはいをけっっし、せんじんをきってかいだんにあしをかけた。
54 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 04:18:51.07 ID:vFozzCGB0
あった。
みつけた。
このけいだいのどこかからかんじる。
そるこころをおさえ、ねんのためにあたりをみまわす。
こどもでさえやきゅうをするのはふかのうなくらいのせまいスペース。
そこにぽつりとわすれられたようにあるほんでん。
てみずしゃもしゃむしょもない、さびしげでかんそなつくり。
そのゆいいつのたてものであるほんでんにいたっても、にちにやけたもくぞうがいたいたしくゆかいたはぬけそうだ。
ふしょくしただいすずにたれさがるようなかのうお。
そのしたにはもうしわけていどのさいせんはこがちんざしている。
「どうでしょうかぁ?」
あさひなさんもいんうつなくうきにきあつされたのかふあんげにくびをふっている。
どこだ、どこからだ……
ひかれるようにあるいていく。
いや、あるかされているとひょうげんしたほうがただしいのかもしれない。
こっちだ。ほんでんのうらがわ。
かいだんがわからはかんぺきにしかくとなり、あたりはもりでかこまれたばしょにいちするいってん。
そこにいたるほんでんのかく。
「みつけた」
おれはそれだけをつたえ――
そこにふれた。
55 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 04:28:16.27 ID:vFozzCGB0
いつものぜんちょうがあらわれた。
しかいのあんてん、ざつおん、しろくろ。
しょうてんいがいがかぎりなくふせんめいなえいぞう。
おれはおちつき、ただまっていた。
やがてしかいがはれたさきにあったのは……
やはりこのばしょだ。
いた。
ながとだ。
めのまえにたっている。
しかしなぜ、このようなばしょにひとりでいるんだ?
それに”おれ”としせんがとうちあっているのはたんなるおもいすごしだろうか。
ん?
いま、またなにかをいっったような?
ノイズがわずらい、まったくききとれない。
だがよかった。
ながとはいる、てがかりをのこしながらちゃんといてくれている。
おれがそうかんがえたしゅんめのあとだった。
してんが”うごいた”のだ。
57 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 05:06:21.01 ID:vFozzCGB0
すっと、ながとがしかいのみぎはしにながれてきえた。
”おれ”はひだりをむいたのか。
とおもいきや、すぐにながとをとらえなおした。
ながとはこちらによこがおをむけていた。
さっするに、おれがみたほうこうへとつられたのだろう。
なにやっているんだよながと。
おまえらしくもない。
ながとがへいたんなどうさでこちらへとむきなおる。
そののどにナイフがつきささっていた。
……え?
ちがう、みぎてがうつっている。
これは?
なっ、まさか”このしてん”のしょうたいは!?
みぎてがソレをひきぬいた。
あふれるようにくろのえきたいがとびちり、ながとはのどもとをおさえながらからだをくのじにおっている。
おれはけんふろした。
ながとを。
そのうしろくびにしょうてんをあて――
ぜんたいじゅうをかけるようにしてナイフをさしこんだ。
58 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 05:09:53.36 ID:vFozzCGB0
ながとがけいれんしている。
そんなばかな。
これじゃあまるでながとが……
してんがさがった。
しゃがんだ?
まて、なにをするきだいったい!?
ナイフ。
こくしょくにぬれたそれをながとのうらくびにあて、はなのほうこうへとかんつうさせるようにさしこんでいる。
ヌルリヌルリとうまっていくそのさま。
えいぞうこしにいやなてごたえをかんじてしまう。
やがてはがらちかくのいちまでうまりきり、とびだしたほねのようにはえていた。
もはや、おれはこえもでなかった。
ただきもちわるい。
あれたえいぞう、おとのないえいぞう、なのにまるでおれじしんがいっているかのようにさっかくしかけてしまう。
そんなようすをぼうぜんとながめていた。
おれがトドメをさし、ながとがうごかなくなるそのときまで。
もはや、ぬけがらとかしたながとをおれはごういんにつかんでびきずった。
ひくいしてんのままびきすりっている。
あんがりにびきすりって――
59 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 05:12:04.10 ID:vFozzCGB0
「うっ……」
もどった。いまへと、おれはかえってきた。
はくな、こたえろ。いまはそんなばあいではない。
すぐさまあしもとのおちばをはらった。
しみがあった。
あかいあかい、みずたまりが。
こいずみとあさひなさんがきょうがくとともにいっぽとびしりぞいた。
おれはくつんだ。
のぞくためだ。ほんでんのゆかしたを。
くらい。
ようがかたむいているのもよういんだ。
しかし、やはりあった。
よそうどおりのものがそこにはあった。
もりあがったようにつまれたおちば。
ふしぜんにかためられたばしょが。
あたまをうちながらすがりよる。
さかりあがるようにあつめられたおちばをはらう。
ようやくにしてみつけた。
ああ、しかしおそかった。
にどとうごくことのないモノへとかわりはてたながとが、そこにいた。
90 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 18:31:51.88 ID:vFozzCGB0
ながとのぼうむくろをはっけんしてからいちじかん。
あたりにはつうほうによってかけつけたけいかんたちによって、ブルーシートがかけられていた。
そのさいにじじょうをたずねられ、『ゆうじんのなめがたがしれなかったためにさがしていたところ、はっけんした』とこたえ、
おれたちはけいだいのすみにこしかけて”げんば”となりはてていくさまをながめていた。
げんざいじこくは19とき。
となりではあさひなさんがかおをおおい、しずかにないている。
こいずみもふき、もっこうともくとうがいりまじったひょうじょうでかたまっている。
そしておれも、ぼけたようにすわりこんでいるだけだ。
いまだにしんじられない。
ほんとうに、ながとはころされたのだろうか。
「まちがいありませんよ。みゃくもこきゅうもしんおんもかおいろも、いえ、それいぜんにたいおんがなかったんです。
だれがみてもしんでいるとわかるようなじょうたいでした。
けいじのほうにはかんいてきなだんかいだとまえおきされましたが、
しぼうすいていじこくはやはりぜんじつの18とき30ふん〜19じまえのち。
あきらかにあなたのみたこうけいがさつがいのしゅんかんです」
ぐたいてきなじこくなどをあげられ、それによってげんじつかんがましたことで、
おれもこたえきれずになみだがあふれてしまった。
「きのうのだんかいで、おれがながとのしょざいをたしかめておくべきだった」
「それは、ふかのうというものですよ」
こいずみのことばは、またもげんじつであるということをこうていしていた。
93 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 18:46:27.88 ID:vFozzCGB0
「つかぬことをおききしますが」
こいずみがしんみょうにきりだした。
「あなたはぜんじつ、ぼくとわかれたのちにどのようなこうどうをとられましたか?
できるだけぐたいてきにおねがいします」
なんだ?
こいつはおれになにをききたいんだ?
いや、しかしてがかりになるのかもしれないのならばあるいは。
たしか、ぶしつへかおをだしたのがほうかちょくごの16とき10ふん。
そこでおれ、こいずみ、あさひなさんがかいわをおえてわかれたのが17じまえのち。
こいずみとはあさひなさんよりすうふんかんだけながくいっしょにいて、それから、
「きたくしたのがおおめにみつもっても17とき30ふんまえ。
そののちはいつもとおりえいがのへんしゅうさぎょうをおこない、ゆうしょくをくちにしたのが19とき45ふんころか。
あとはふろにいっってじけんのニュースをみて、よるからまたもへんしゅうさぎょうをつづけていた」
「へんしゅうさぎょうはどのようににして?」
「ハルヒがタイアップしてきたノートパソコンをもちいておれのじしつで」
「それをしょうめいできるかたは?」
「しょうめいって……おまえ」
まさかこいつ。
「きをわるくされないでください。ねんのため、にですよ」
ねんのため、によりいっそうのちからがこめられていたことにたいし、おれはいごこちのわるさをかんじていた。
94 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:02:27.33 ID:vFozzCGB0
しょうめいできるじんぶつ。
「きたくちょくごにかんしてはいないな」
「どうして?」
「りょうしんがかえってはおらず、いもうとはじしつかほかのへやにいた。くわえて、おれはいもうととかいわをしていない。
へんしゅうさぎょうなかにいもうとがちょっかいをだしてくることがおおかったために、じしつでのへんしゅうちゅうにはかぎをかけていたからな」
「では、ゆうしょくのちは?」
「ゆうしょくはかぞくとたべ、にゅうよくのちはいまでいもうととともにニュースをみたりしていたからしょうめいしてくれるはずだ。
まあ、そののちはまたもへんしゅうにぼっとうしていたためにねぶそくなわけだが」
「そうですか、ありがとうございます」
こいずみはいったん、じょうほうをずのうにきざみこむようにだまると、
こんどはあさひなさんにむきなおっっていた。
96 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:05:18.93 ID:vFozzCGB0
「あさひなさん、おねがいします」
「ふぇ……?」
おい、ちょっとまてこいずみ。
まさかあさひなさんまでうたがうきじゃないだろうな?
あさひなさんはないているんだぞ?
「ないているからどうだ、というのはげんだんかいにおいてなんのはんだんかちもありません。
いいですか、よくかんがえてもみてください。
ながとさんがさつがいされたのですよ?
それもこのようなあきらかにだれかがさそいこんだというようなばしょで、です。
さとしいあなたならばぼくがいわんとしていることがおわかりでしょう?」
ながとはけいかいしていなかった。
さらにこくではあるが、ながとのこうゆうかんけいはそれほどひろくない。
つまりはかおみしりによるはんこうのかのうせいがたかい、ってか。
それも……こいずみのたいどからさっするに、やつはSOSだんないぶをうたがってやがる。
ちくしょう。
しんそこ、はんとがでる。
「はやがてんしないでください。
われわれのアリバイをめいはくにすることで、かのうせいをつぶそうとかんがえているのですから」
ああ、そうかい。
モノはいいようだな。
だったらなぜ、おまえはそうもぎりふかいかおをしているんだ?
98 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:19:44.25 ID:vFozzCGB0
「ではあさひなさん、うかがわせてください」
「はい……」
あさひなさんはかんがえこみ、しんこきゅうをいくどかおもねてからほんだいにいっった。
「あたしは17ときにキョンくんたちとわかれて、そのままあるいてかえりました。
そのとちゅうでスーパーによってゆうしょくのざいりょうをかいそろえて、いえについたのが18ときくらいでしょうか。
あとはずっといえにいましたけど……」
「それをしょうめいできるかたは?」
「……」
いぜん、みみにしたことがある。
あさひなさんはしょじじょうによりひとりぐらしなのだと。
それもなぜか、じゅうたくがいにたたずむふつうのいっけんやにだ。
そうともなればしょうめいできるにんげんなんていない。
「わかりました、ではとちゅうでだれかとせっしょくなどはされましたか?」
「いえ、だれも」
「でんわなどは?」
「いえ、なにも……」
どんどんこえがちょうんでいき、なみだこえへといたり、
やがてはふいてなきだしてしまった。
「すみません」
「いえっ……いいんですっ……」
こいずみがふっとためいきをはく。
「では、さいごにぼくですね」
100 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:39:39.13 ID:vFozzCGB0
「ぼくはごぞんじのとおり、ふつうのだんしこうこうなまです。
もっともよねんまえのあのにちまでは、ですがね。いずれにせよかぞくもいます。
ぼくはみなさんとわかれたのち、じてんしゃをもちいてえきまえちかくのほんやへとむかいました。
とうちゃくしたのがだいたい、17とき15ふんまえあとでしょうか?
そのまま30ふんていどのしなさだめをいったあとミステリしょうせつを2さつこうにゅうし、
そののちはあてもなくまちをブラブラしていました。
きたくしたのがだいたい、19とき15ふんあたりだったかときおくしています」
「それをしょうめいできるやつはいるのか?」
おれはさきほどのしかえしとばかりに、すこしばかりのひにくをこめてたずねる。
こいずみはにがわらいのあとにこたえた。
「きたくちょくご、ぼくはははおやへあいさつをしました。
それがそのじかんのしょうめいともなりえるでしょうが……」
「まちでブラブラしていたじかんをもちいてさつがいときたくがかのう、か?」
「ええ、じてんしゃをもちいてさいたんけいろをとうれば、えきからこのじんじゃまでは15〜20ふんていどでしょうね。
ぼくのいえまでもどうていどのじかんをようせばじゅうぶんでしょうし」
「ということはなんだ、とどのつまり」
「そういうことでしょうね」
おれたちさんにんはけつろんをくちにはださなかった。
しかしそれがかえってばのふんいきをいやなほうこうへひきたてている。
しかたのないことだが。
おれたちはたがいにむじつをしょうめいできそうにはなかったのだから。
102 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 19:56:00.33 ID:vFozzCGB0
「きみたち、こんにちはもうおそいよ。そろそろかえりたまえ。
どれ、わたしのくるまでおくってあげようか?」
けいじのひとりがはなしかけてきた。
おれのおやじとどうねんれいていどで、みるからににんのよさそうなふんいきをたずさえている。
おれはこいずみをみた。
おまかせします、というあんばい。
あさひなさんもどうようだ。
ならばきまりか。
「すみません、おことばにあまえさせていただきます」
「わかった、ではしたまでおりるとしよう」
おもいこしをあげて、くらくいんうつなよるひえをみせはじめたじんじゃをつっ切っていく。
ながいいしかいだんのうえからはまちがいちぼうできるようになっており、
よるのあかりがめいめつしているじょうけいは、こんなばあいでさえなければきっとおんかみのあるものだったはずだ。
それにしてもわからない。
ながとがころされなければならないりゆうがだ。
だれかのうらみでもかっていたのか?
そうだとしてもおれがしりえるしゅだんはないか。
ちくしょう。
104 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:06:49.60 ID:vFozzCGB0
「なんといっっていいのかわからないけど……」
とうとつに、けいじがくちをひらいた。
「ざんねんだったとしかいえない。きみたちもさぞかしふこうだとはおもう。
けれどもあまりおもいづめずに、かのじょのふんまでいきてやってくれ。
はんにんは、わたしたちがぜったいにさがしだしてみせるからね」
ほうようりょくにまされたおんかみのあるこえ。
やはりじっちょくなにんなのだとかくしんした。
「それからきょくりょく、よるはであるかないようにな。
こんなごじせいじゃあきみたちがつぎの……ゴホンッ、しつれい」
つぎのぎせいしゃになりかねない、といおうとしたのだろうな。
ん、ということは。
「まさか、ちまたでのさつじんじけんとのかんれんが?」
「え? ああ、するどいな。
だんていはできないが、てぐちがにていることからおそらくどういつはんとみていいのかもな。
かさねるが、だんていはできていない」
どうなっているのだいったい。
いやなよかんがしてならない。
107 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:19:18.87 ID:vFozzCGB0
「では、きをつけてな」
「ありがとうございました」
ふくめんパトカーでじたくまえまでおくってもらい、
さいごのとうじょうしゃであったおれはけいじにあたまをさげてからじしつのしきいをまたいだ。
「ただいまー」
「あ、キョンくんおかえりっ」
すぐにいまからとびだしてきたのはむじゃきないもうとだった。
さいきんはへんしゅうにおわれかまってやれていないから、
げきさえみつければとびついてくるようになっているらしい。
かべかけとけいをかくにん。
もう20ときか。
すでにゆうしょくをおえたのかながしだいにたってあらいものをしていたははおやにきたくをつげ、
それからゆうしょくをせつった。
おいしくない。
ははおやにはわるいが、はらがへっていてもあじをかみしめるよゆうすらでてこなかった。
ただたんじゅんにはらをみたせればいまはそれでもいい。
となりではいもうとががっこうでのできごとをとめところなくかたっている。
とてもうれしそうにしているそのかおをながめていると、
うらやましくもあり、どうじにぞうくもおもえてしまった。
つかれているな、おれ。
110 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:34:18.54 ID:vFozzCGB0
ゆうしょくのちににゅうよくをすませ、いもうとのはなしにきかいてきなあいづちをうっているうちにはやくも22とき。
おれはぜんじつにならってニュースをながめることにした。
『また、さつじんじけんがはっせい――』
じょうほうがはやい。
さすがに2けんれんぞくともなればかくがかわるのか。
きのうはなげやりにあつかっていたくせに、ここぞとばかりにくいものにしやがって。
おれのしんきょうをぎゃくなでするように、いぶったコメンテーターがごとうじょうなすった。
かんれんせいがどうだとか、さいきんのよのなかはどうだとか、
そんなあたりさわりのないじょうとうくでふんだんにはなしだけがびきのばされたものの、
こどもようビールならにきしゃくされたばんぐみないようからはなにもえられるものなどなかった。
はぁ、まいりそうだぜまったく。
「キョンくんだめだよ、ためいきはしあわせがにげてくんだから」
「げんじょうでじゅうにぶんにしあわせだからにがしてやってんのさ。あたまにひていしがついたしあわせだけどな」
「よくわかんないお?」
「じゃあ、おれはへんしゅうやるからじゃまするなよ」
「えー……」
「しぶるな」
「うん、わかった」
おれはじしつへともどった。
112 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:39:06.02 ID:A8lnuEn80
これはおもしろい
しかしいもうとまさかのVIPPER?
113 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 20:46:04.95 ID:vFozzCGB0
レンズのむこうがわにながとがいた。
ぎこちないどうさで、ぎこちないえんぎで、ぎこちないせりふをくちにしている。
まだえいがのさいしょのほうのシーン。
このごろはだいほんもマトモにできあがってはおらず、
にちじょうシーンにつかえるだろうとのことでおれたちSOSだんそのままのかつどうをとりおさめてあったのだ。
ながとはじしんのえんぎがぎこちないことをきにしてか、
じぶんなりのれんしゅうをぶしつにてくりかえしていた。
それぞれのだんいんはそのようすにきがつかないように、
かくじボードゲームにつとむしんだり、おちゃをせつったり、うでぐみしたりしている。
ちなみにこのばめんでのカメラマンはおれだ。
いまさくはぜんいんがしゅじんこうとしてとうじょうするために、こうたいせいだからな。
しかしながとよ。
げきちゅうでだいほんをひろげんなよな。
ハハッ……。
114 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 21:01:05.72 ID:vFozzCGB0
おれはへんしゅうするきすらうせ、デジタルデータなおもいでをみかえしていた。
てぶれるカメラ。
しんけんなはずのシーンでわらうおれ。
だいほんにないアドリブをすきかっておりまぜるこいずみ。
におうたちしたままカメラにうつりこむ、ちょうかんとくハルヒ。
キョロキョロとカンペをさがしているのがバレバレなあさひなさん。
そして、やはりぎこちないながと。
にっちゅうはさつえい、きたくごはそれぞれのしごとでねるまもないほどにたいへんなひび。
げんざいでもそれはかわらないが、いまにしておもえばこのごろのことがなつかしくてたまらない。
おれはただぐちばかりのべていたはずなのに。
シーンがつぎつぎとながれていく。
とりとめのないようなつなぎをへて、まだあらいへんしゅうしかすませていないモノがじょうえいされていく。
やがて、あるシーンまでとうたつした。
げきちゅうにおける”ながとゆうき”が、さつがいされるばめんだ。
とはいっても、これはれんしゅうシーンなのでほんばんはまだとられていないのだが。
そこでのかりはつのはんにんやくはおれ。
いちばんあくにんめんをしているから、というハルヒからのたっしがあったときおくしている。
ともかく、おれとながと。
そのふたりがにんきのないこうえんにてたいじしていた。
116 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 21:22:00.10 ID:vFozzCGB0
「おうじょうせいやー」
やるきのなさそうなおれのせりふにつぎ、あるくようなはしるようなそくどできょりをづめる。
みぎてにはナイフ。
もちろん、これはおもちゃなのでさせばモグラのようにひっ込む。
ながとがいっぽだけひく。
ばめんてんかんし、おれがながとのくびにナイフをつきさす。
ようにみせかけて、じっさいはおれのせなかがうつっており、そのばめんはみえてはいない。
まじかにあるカメラでうつせばナイフがおもちゃだといちもくりょうぜんだしな。
まあ、このへんのごまかしかたはきょねんの”あさひなミクルのぼうけん”のときにまなんだことのひとつでもある。
やがてながとがたおれる。
そこでかんとくさんのこえがかかって、おれがながとをだきおこしていた。
ハルヒがいちゃもんをづけている。
おれにいうなよな、おれはだいやくなんだからさ。
だいやくなんだから……?
おもえばきみょうなことではある。
このえいがは、れんぞくさつじんじけんをメインテーマにそえているくせにさつがいシーンはただのいっぺんすらもとられていないのだ。
117 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[sage] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 21:26:45.41 ID:yg6rPY0HO
しかしキョンのえんぎやるきねーw
118 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/07(ひ) 21:28:01.70 ID:vFozzCGB0
ハルヒにゆれば、
『はんにんはにちじょうでしょうじたおもいちがいがげんいんでさつじんきとかすのだから、
さつがいシーンまではやくしゃにすらはんにんやくであることをしらせない』
だったはずだ。
おれがじゃっかんのかみをほどこしただいほんについても、はんにんのシーンなどはいっさいきじゅつされてはいなかった。
それをしゅうちしているのはげんさくをかきあげたながとと、それをだいほんにかきくだしたハルヒだけ。
だが、ながとがひがいしゃやくであるということは、
ちかいシーンでながとがさつがいされるのがかくていしていたことになる。
まさか、バチがあたったのだろうか?
このようなじょうせいのなかでじけんものなんてもんをつくっていたおれたちに。
だからえいがのなかでさつがいされるシーンをえんじたながとが、じっさいにころされてしまった。
……まさかな。えいがじゃあるまいし。
しかしなぜだかきにかかるのは、ながとがかきあげたそのげんさくがどこにあるかなのだ。
かんれんせいはない。
そうおもおうとするのだが、やはりさきのかんがえがあたまのなかをチラついてはなれない。
もし、これがまんがいちにもじけんとかんれんしているのならば。
つぎのぎせいしゃが、そこにきさいされているかのうせいもあるのだから。
いや、かんがえすぎだよな。
おれはそうけつろんづけ、せいしんをすりへらしたためかしゅうしズキズキといたむあたまをおさえ、
そののちもなつかしいえいぞうのなかにひたっていた。
133 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 00:09:10.61 ID:v9J8Gv4U0
よくじつ。
ねずのばんでふらつくあたまをたたきながらおれはとうこうした。
きょうしつへいるととたんにかっきあるけんそうにつつまれる。
それらをしりめにハルヒのせきをうかがったが、ホームルームちょくぜんだというのにせきはあいていた。
まだきていないだけなのか。
だが、いつもおれをむかえるがわであるあいつがちこくなどするはずもない。
ということはかおをみせないかのうせいのほうがたかいことになる。
いったい、なにをやっているんだハルヒは。
ながとのけんでききたいことがあるってのに。
やがてたんにんがすがたをみせ、
にちじょうムードをまんきつしているクラスメイトたちをよこめにおれはそとをながめつづけた。
160 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[sage] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:17:37.79 ID:Nn3SB5umO
ぜんこうしゅうかいとかはないんだなー
136 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 00:19:26.15 ID:v9J8Gv4U0
ながくたいくつなじゅぎょうもおわりほうかとなったが、
やはりハルヒはすがたをあらわさなかった。
きのう、おれがていあんしたえいがにかんするかいへんがしゃくにさわったのだろうか。
それとも、あまりかんがえたくはないがながとのけんでなにかが……。
いやまて。
まさかとはおもうが、ハルヒはすでに……。
ちがうちがう。
ながとがさつがいされたのはたまたまなんだ。
ふこうなじこだったんだ。
ハルヒはかんけいない。
おれたちSOSだんいんもかんけいない。
よってつぎのぎせいしゃがでることもない。
はんにんはもうつかまる。
あのけいじがつかまえてくれるはずだ。
よし、かんがえすぎるのはよくない。
まずはぶしつにでもいこう。
137 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 00:30:54.68 ID:v9J8Gv4U0
ノックとへんとう。
よってにゅうしつ。
「こんにちは」
かいこういちばんにていくをのべた。
「やぁ、どうも」
「どうもぉ」
よそうどおりというべきか。
そこにはテーブルをはさんだふたりがいた。
そう、ハルヒがふざいなのもふくめてだ。
おれはたずねる。
「ハルヒのやつをみかけてはいないか?」
「いえ、ぼくはなにも」
「あさひなさんはどうですか?」
「あたしもしりませんけど」
「そうですか」
なにもおこらないはずなんだ。
ながとはたまたまのはずなんだ。
しかしそれならなぜ、ハルヒがすがたをみせない?
なんらかのいとがあってのこうどうなのか?
わからないことだらけだ。
またあたまがいたくなってきたよ。
139 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 00:51:41.67 ID:v9J8Gv4U0
しつないはだれともなくのしょいでちんつうムードいっしょくとなり、
ぼうからみればあぶないしゅうきょうだんたいとごかいされそうなほどにこうちょくのままじかんがすぎさっていった。
ときおり、あさひなさんがそそいでくれたおちゃをすするおとや、
こいずみがしょうぎのコマをろうりおとすおとがなるだけ。
そのこいずみにしたって、つみしょうぎをよそおいつつもいってすらもうっておらずながめているだけだ。
そんななかにあって、くちびをきったのがあさひなさんだった。
「あの、キョンくん。またなにかのよちょうはありませんでしたか?」
おろおろとしたかのじょのようそうは、
まるでうらないしからのせんこくをまつまよいにんのようにもみえる。
「ちょっとまってください」
おれはこいずみのしせんをかんじつつも、きおくをさぐりはじめる。
いわかんやよかん。
ばくぜんとすべてにたいしていわかんがあるものの、そういえばひとつだけつよくひっかかったものがあった。
「おれたちがつくろうとしているきゃくほん、それのげんぽんはどこにあるかわかりませんか?」
「げんぽんって、ながとさんの?」
「はい、あれがどうもかんけいあるようなないような……かくしんはないのですが」
「たぶんだいほんにおとすためにりょうみやさんがもっているとはおもうんだけど、
そのりょうみやさんがいないんじゃどうしようもないですよねぇ。
ないようもかんぜんにはあたしたちにもつたえられていませんし……」
「やはりだめか」
「あ、でも、ながとさんのおいえをしらべればメモくらいはでてくるかのうせいもあるんじゃ?」
そのことばで、こいずみとおれはどうじにたちあがった。
141 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 01:16:03.71 ID:v9J8Gv4U0
きのうとおなじシチュエーションでのどうちゅう、こいずみがかたりかけてきた。
「いわかんのじゅうつにはきをくばってください。
かさなりあうれんさのさきにこたえがあるはずですから」
「ということはなんだ、だいほんとかんれんがあるということか?」
「そのかのうせいがたかいということです」
そのかのうせいがたかいといわれても、どれをどうむすびつけるのかまでははんだんがつかないだろう。
まあいい、そこらへんのどくかいについてはなかまときょうゆうしてとけばいい。
ところで、ながとのげんぽんをさぐるよりもはやいほうほうがあることにおれはきがついた。
「ハルヒにちょくせつきくのがはやいようなきがするんだが?」
「そんなこときのうのじてんでとっくにやってますよ。
ながとさんとせっしょくするきかいにいちばんめぐまれていたのはりょうみやさんなんですし、
きょうもかのじょのどうこうがいっさいふめいなので、あんぴをかくにんするためにもね」
「ということは、まさか」
「ええ、そのとおり。けいたいでんわでのつうわにおうじてもらえませんでした。
じたくにかけてもすぐにきられたうえでちゃくしんきょひされましたし」
「ってことは、ぶじではあるんだな」
「きのうのよるのじてんで、ですがね」
「ならばじたくにおしかけるか?」
「いえ、それはやめておくべきでしょう。なにかいとがあってのことだとおもいますし。
かりにかのじょがはんにんだっとしたばあい、ぼくたちがいったところでどうにもなりませんし、
あからさまにふしぜんなこうどうをとっていればぼくたちがうごくまでもなくけいさつのかたがたがたいほするはずです。
だからいっぱんじけんのかのうせいはけいさつのかたがたにまかせて、
ぼくたちはぼくたちにしかおえないかのうせいをおうべきです。
そのためのSOSだんですし、そのためのあなたののうりょくなのですから」
こいずみのいうことはいちりある。
けいさつでとけるもんだいならば、おれたちがうごくひつようがないからだ。
ということはぎゃくせつてきにかんがえると、それができないからこそおれにちょうかんかくとやらがやどったわか?
143 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 01:31:15.86 ID:v9J8Gv4U0
かんりにんはこいずみにすんなりとかぎをかしあたえ、
とくにこれといったさしつかえもなく708ごうしつまでやってこれた。
「では、ひらけますよ」
これもなんなくひらいた。
ろうかをぬけてさっぷうけいなリビングルームへ。
「なにもありませんねぇ」
あさひなさんがもらしたとおり、しつないはあいかわらずでにちようひんすらもけつじょしたようなじょうたいだ。
よくいいかえればかたづいているともいえるが。
「おくへいきましょうか」
とびらのさきはわふうのひとまだった。
かまだんがあり、かべぎわにはつくえ。
ゆいいつしらべられそうなばしょはそのつくえと、ふぞくのひきだしくらいだ。
RPGゲームにおけるゆいいつのタンスてきないちづけか。
「プライベートなぶぶんをかたくそうさくするのはきがひけますが」
てわけするまでもなく、こいずみにまかせる。
こんなばしょをてわけしたらかえっててまともなりえるからだ。
ほどなくして、いっさつのそれらしきノートがみつかった。
157 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 07:19:42.20 ID:v9J8Gv4U0
ノートは99%がはくしで、わずか1ページめだけにじょうほうがしるされていた。
かんそなかじょうがきでこうせいされたメモ。
プロットとすらよべない、たんごのられつのようなじょうたい。
「おそらく、ながとさんはげんぽんとプロットをどういつのノートにかいていたのか、
あるいはべつにしていたプロットちょうをもてわたしたのかもしれません。
たしゃがだいほんになおすばあい、せっていやプロットからはあくしたほうがはるかにこうりつがいいですしね。
まあ、ながとさんであればメモやしたがきなどもちいずにちょくせつかきつらねたかのうせいもありますが。
いずれにせよ、わたすひつようすらなかったからこそコレがのこったのかと」
こいずみのかいせつをききながしながら、おれはたんごのなみをにらんでいく。
まずはじめにめについたのが、”ナイフ”だった。
これはえいぞうへんしゅうのじてんでおれもはあくすみだ。
つぎにめについたのはキャストのなまえだが、
1.ながとゆうき
2.あさひなみくる
3.こいずみかずき
というぐあいにおれたちSOSだんぜんいんのなまえがきざまれているだけのようである。
それいがいになまえはない。
ほかにも、れんぞくさつじん、しつちし、ニュース、ないぶはん……
などなどほんさくでとうじょうしそうなキーワードがならべられているだけ。
しかしただひとつだけ、かせんがひかれたたんごがあった。
『ちょうのうりょくしゃ』
このときおれは、いわかんをおぼえた。
いままでのものとはちがう、べっしゅのかんかく。
ふあんやきょうふなどとはまったくべつもののなにか。
だがそれがなににたいするかんかくなのかまではわからなかったのだが。
159 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:04:05.70 ID:v9J8Gv4U0
「ちょうのうりょくしゃ……?
これはあなたのちょうかんかくとのかんれんせいをしめすものでは?
ほかにはとくにいみのありそうなぶぶんもないですし、はんにんのなまえなどもきさいされてはいないようですし」
こいずみにあさひなさんがつづいた。
「ということは、しゅうかくはないということでしょうか?」
「いえ、そうでもないとおもいます。
ちょうのうりょくしゃというたんごがのせられているいじょう、かんれんせいがあるかのうせいがたかまったのですから」
「じゃあやっぱり、りょうみやさんにだいほんをかりるべきなんじゃ?」
「ええ、そうではありますがきめつけるのもよくないともかんがえます。
かくていしたわけでもないですし、れいせいにみればかくうのものがたりがじっさいのじけんにかんれんするとは
かんがえがたいものです。
りょうみやさんもさきのとおりれんらくをとりついでいただけないじょうたいですし、
むりにじたくにおしかけるのもぎゃくこうかとなりそうですし」
「それじゃあ、どうするんですか?」
「ですがやはり、もしものばあいもかんがえてぼくがりょうみやさんのところへうかがってみようとおもいます」
おれはふたりのやりとりをながめていた。
さきほどのいわかんのしょうたいをさぐるためにもっこうしていたからだ。
このじけんとはかんけいないきがする。
けれどもなにかじゅうようなかんかくだというろうげなかくしんがある。
「キョンくん?」
「あ、はい」
「どうかしたんですか?」
「いえ、べつに」
そのばはそらへんじでかえした。
161 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:23:21.90 ID:v9J8Gv4U0
それからもしばらくあさってはみたものの、
ほかにしらべられそうなばしょがなかったためにかたくそうさくはうちきりとなった。
やがてかくかくがきとへつこうしていたとき、
ながとのへやかぎをかえしにいったあさひなんをけんやりつつ、こいずみがそっとみみうちしてきたのだ。
「ぼくはこれからりょうみやさんのところへいってみます」
「じゃあおれも」
「そうかえされるとおもったから、こうやってあなただけにはなしているのですよ。
あなたがくるといえばあさひなさんもついてくるはずです。
げんじてんでいちばんあやしいのはりょうみやさんなんですから、
じょせいであるあさひなさんをきけんにまきこむのはまずいでしょう?」
「それはそうだが」
「あなたもあなたでちょうしがおかしいようですし、またむりをなさっているふしがみうけられます。
からだにはふかをかけすぎないようにしてください」
こいずみのいうとおり、ねていないからな。
とてもじゃないがそんなきぶんにはなれなかったし。
なんだかんだでえいがへんしゅうもしゅうかんとしてつづけていた。
もっとも、それはおちつこうとするいみあいとなつかしさにひたるためのものだったが。
「とにかく、しゅうかくがあるにせよないにせよあしたまたがっこうであいましょう。
それからよりょくがあるのでしたらあさひなさんをいえまでぶじにおくりとどけてあげてください。
ここからそうきょりはないですし。
むろん、あなたじしんもさいしんのちゅういをおこたらないようにね」
おれはしょうだくし、もどってきたあさひなさんにこいずみは、
「ぼくはしょようがありますので」
としめたことでふたてにわかれることとなった。
せなかをみせたこいずみがちいさくなったごろ、なんとなくいやなよかんにかられたのだが、
それもこえがとどきそうになかったのでいちどだけふりかえるにとめておいた。
162 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:39:50.48 ID:v9J8Gv4U0
「あの、ごめんなさいわざわざおくってもらっちゃって」
「いいんですよ、もう18ときでくらいですし、じょせいをひとりであるかせるのもかえってこころぐるしいので。
そもそもたいしたきょりもありませんしかえりみちのとちゅうですからね」
ちなみに、おれのいえとははんたいほうこうである。
こういうばあいのじょうとうくをいっったまでだ。
あさひなさんはそのあたりをしってかしらずかもくもくとあるいている。
かりにおれたちがこいびととうしだとしたならば、さいあくのくうきだろうな、これ。
「あのっ」
と、あさひなさんがつっかかるようにくちをひらいた。
おれはだまってさきをうながす。
「あたしたちのえいがはどうなっちゃうんでしょうか?
その、こんなときにいうのもどうかとはおもいますけど、せっかくつくっていたものですし。
それにながとさんもあんなにれんしゅうしていらっしゃったので、
みかんせいのまますてちゃうのもなんだかかなしくて……」
えいががどうなるのか。
それはへんしゅうをになわされたおれにすらわからない。
なによりあのにちいらいさつえいがとどこおっているのだし、よういんがかけてとることがふかのうとなったシーンができたはずだからだ。
しかしそんなことはいえるわけもなく、
「なんとかしていきましょう」
とあたりさわりのないことをつげ、そのままあさひなさんとわかれた。
164 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 08:54:25.80 ID:v9J8Gv4U0
そののち30ふんていどでかけてきたくするなり、
あさひなさんのことばをおもいだしてまたもえいがへんしゅうにつとむしんでいた。
やがてつうれいどおり20じころにゆうしょくができたのでそれをたいらげ、
またまたしゅうかんのようににゅうよくしてからいもうとのことばにみみをかたむけ、ニュースをながめた。
『さいきんのよのなかは――』
きのうにひきつづきなんのじゅうようせいもないようなじょうほうがながれたことをかくにんするなり、
「じゃまするなよ」
とこれまたひびのもんくをいもうとになげかけてじしつへともどったのである。
ほかにやることもなかったのできをまぎらわせるために、おれはしぜんとへんしゅうさぎょうにぼっとうしていった。
166 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 09:18:56.43 ID:v9J8Gv4U0
よくじつ。
よそうどおりにもあいていたハルヒのせきをかくにんし、
おれがいそぎのとうこうによってあれたいきをととのえていると、
それをまっていたかのようにたにぐちがすりよってきやがった。
「けんのさつじんじけん、ながとゆうきがひがいしゃなんだってな。
うわさによればそのときのだいいちはっけんしゃがおまえらしいじゃないか」
おれのおもいちがいかもしれないが、たにぐちのめにはこうきのしょくがうかんでいるようなきがした。
いや、きっときのしょいだろうな。
こいつはそこまでくさっちゃいないはずだ。
おれがつかれているだけだ。
そんなおれのしんきょうなどかいさずに、たにぐちはひとりでにつづけていく。
「しっかしさつじんなんてやるやつのきがしれないぜ?
あんなかわいいこをころしちまってもなんのえにもならないじゃねぇか。
おれだったらそういうことをかんがえるまえに、おつきあいのもうしでをとうすほうほうをかんがえるね」
さつじんなんてやるやつのきがしれないか。
たしかに、おれもそれについてはいっぺんのくもりなくどういだな。
「だろ? やっぱりキョンもそうおもうよな。
じょしこうせいをてにかけたところで、いっせんのえにもならないからな」
「まあ、けっきょくそういうことをやるやつはきがくるってやがるのさ。
しょうどうてきなのかけいかくてきなのか、はたまたそれいがいなのかまではしらなんがな。
まったく、はためいわくなやつもいたものだ、くそっ」
このいっけんなんのいみもなくおもえたかいわ。
きゃっかんてきなそのおもいにはんし、おれはなぜかこれらにもばくぜんとしたいわかんがあった。
167 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 09:26:50.89 ID:v9J8Gv4U0
とうぜんのごとくすがたをみせなかったハルヒ。
おれはそれにいちまつのふあんをだきつつも、こいずみのしゅうかくをきたいしてぶしつへとむかった。
ノック。
へんとう。
いつもとおりだ。
「いります」
とびらをひらけると、
「こんにちはぁ」
とのあまいこえ。
しかしひとりたりない。
「こいずみはどうしたんですか?」
「たぶん、まだなんじゃないでしょうかぁ」
いつもおれよりはやいはずのこいずみがきょうにかぎっておそいとはな。
とはいえ、そんなにちもあることだろう。
おれたちはおちゃをかたてにしずかにまっていた。
だがこいずみは30ふんへってもやってこなかったのである。
168 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 09:51:44.87 ID:v9J8Gv4U0
「おそすぎる」
「そんなにあせらなくても……」
「おれたちのえいがでれんぞくさつじんをだいざいしているいじょう、なにかあったかのうせいもあります」
「けど、こいずみくんはかんれんせいがないんじゃないかってぇ」
それはあさひなさんをふあんがらせないためのかりはつのうそであることはめいはくだ。
やつはそれなりにおれの”よかん”と、それにじゅんじた”シナリオ”のかんれんせいをうたがっていた。
そもそも、
『しゅうかくがあるにせよないにせよあしたまたがっこうであいましょう。』
とやつはいっっていた。
そうなのだ、そういっったからにはほうかごまでまたなくともやつがきてしかるべきなのだ。
けいたいでんわをとりだし、ダイヤルする。
……つながらない。
でんぱがとどかないばしょかでんげんがいっっていないというむきしつなこえだけだ。
「あさひなさん、がっこうでこいずみをみかけませんでしたか?」
「いえ、あたしはがくねんもちがいますし」
なんてこった。
かんがえてみればきのう、こいずみとわかれるさいによかんがあったのだ。
「あさひなさん、すぐにいきましょう!」
「どこへ?」
「こいずみのいえへです!」
へんじもまたずに、おれはぶしつからとびだした。
ぶじでいてくれたらいいのに。
という、ながとのときとおなじようなおもいにかられながら。
195 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:12:58.65 ID:v9J8Gv4U0
しがいちとこうどうからはずれ、きぎやちょっとしたさくもつはたけもあるようなちいき。
そこのがいしゅう1〜2kmはあるためいけのほとりにこいずみたくはりんせつしている。
げんざいじこくは17ときすぎ。
「こんなじかんなのに、あんまりにんとすれちがわないんですねぇ」
というあさひなさんのことばにもがんける。
ようがおちみとおしがきかなくなれば、にんきなどかいむにちかいだろう。
ただでさえいけのまわりはうっそうとしたきぎでようがさえぎられているのだ。
よるともなればぶきみそのものである。
「おれがいきます」
よびすずをれんだするようにおしつづける。
やがてめいわくそうなかおをしたこいずみのははがでてきた。
おれはあいさつすらはぶいてそっちょくにたずねたところ、ふあんげなかおへとへんぼうし、
「さくやどこかへでかけたみたいなんだけど、それいらいみていないのよ」
やられた。
まずい、あきらかにまずい。
しかしなんでもいいからてがかりがほしい。
ならば、
「こいずみがでかけたじかんやばしょはわかりますか?」
「ちょっとそこまで、といっってたみたいだけどばしょまでは……。
どうせまたぶかつかアルバイトかのあつまりかなとおもってたからくわしくはきかなかったしねぇ。
えっと、じかんはだいたい21とき30わか40ふんすぎくらいだったとおもうけど」
196 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:30:27.95 ID:v9J8Gv4U0
4ねんまえまではふつうのがくせい、か。
きっとかぞくにもじじょうをかくしていたのだろう。
「ありがとうございました」
「いいのよ。うちのこはやんちゃだけど、ねはいいこだからよくしてあげてね」
こいずみのははにれいをのべ、げんかんのこがしめきられたのをかくにんしてからおれはしあんしはじめた。
なぜ、わざわざよるにであるくひつようがあったのか。
やつがハルヒのところへいくとのこしたのは、おれとあさひなさんがわかれた18じまえのはず。
しかしこいずみがいえをでたのが21とき30ふんすぎ。
つまりきたくしてからふたたびがいしゅつしたことになる。
それともハルヒのところへいくよていがくるい、よるをまたざるをえなかったのだろうか?
「あのー、キョンくん」
だまりこんでいたおれをしんぱいするかのようなあさひなさんのしせんをかんじ、
おれはあわててあかるくふるまった。
「すみません、ちょっとかんがえことをしていたので」
「その、あたしおもったんですけど、このあたりで”みる”ことはできないんでしょうか?
それができればこいずみくんのどうこうもいちもくりょうぜんですし」
わかっていますよあさひなさん。
ですが、それができないからこうやってかんがえこんでいるんです。
このあたりにはなにもかんじない。
なぜかまではわからないのですが、よめないんです、かこが。
199 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:41:21.56 ID:v9J8Gv4U0
ん、そういえばこいずみはじてんしゃつうがくだったはず。
なのにしゃこのところにじてんしゃがとめてある。
ということは、
「あさひなさん、あたりをさんさくしてみましょう」
「で、でもなんのてがかりもなしじゃあ……」
「てがかりはありますよ、ははおやのことばとそこにとめてあるじてんしゃがね。
もしこいずみがとおでをするつもりならばまちがいなくじてんしゃをつかうはずですし、
げんにははおやへの『ちょっとそこまで』ということばからさしても、
あるきでもじゅうぶんなきょりへでたことになります」
「けどぉ、どこをさがせばいいんでしょうか?」
おれたちがふたたびどうどうめぐりとなりかけたとき、メイドふくすがたのけんちったひとかげがめについたのだ。
200 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[sage] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:46:27.39 ID:hHc/jMea0
もりさんか
202 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 20:56:25.72 ID:v9J8Gv4U0
「つるやさん!」
どうろちゅうおうにたち、こちらへせなかをむけこんごうりきさむらいのかまえをきめていたかのじょは、
おれのよびかけでごうかいにスカートをひるがえしつつふりかえり、
さらにみせつけるようにかみをかきあげたあとでだいおんせいをひびかせた。
「どうしたんだい!?」
ただのひとことをくちにするのにこのまえフリ。
まっことむだすぎる。
なんてツッコミをいれているばあいじゃない。
「こいずみのやつをみかけませんでしたか!?」
「いや、みかけちゃいないね!」
「そうですか、では」
「ちょっとまちなっ! おねえさんにじじょうをはなしてみるっさ!」
まって、わかったからゆすらないでください。
このままではかたをはずされれかねない、とかんねんしておれはたんてきにせつめいした。
「ふーん、それでこいずみくんを?」
「ええ、それでてづまりなじょうきょうでして」
そのことばをかわきりにつるやさんはうんうんとオーバーにりはじめ、
あさひなさんのほうもさすがにめんどうになったのかひょうじょうにしょうびのそうがあらわれたころ、
ようやくけつろんにたっしてくれた。
「じょうきょうからはんだんするかぎり、こいずみくんのみになにかあったってかんがえるほうがしぜんだね。
だとしたらはっそうのてんかんってやつでかんがえてみるべきだよ」
205 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 21:13:58.62 ID:v9J8Gv4U0
はっそうのてんかん?
「そう、はっそうのてんかんっ!
なにかあったとおもうのならば、
なにかをおこしたがわのきもちになってかんがえればこたえがみえてくることもある」
「それはいったい?」
「こいずみくんをよびだしたあいてのしんじょう。
そしてこいずみくんのあんぴがしれないというげんじょう。
もう、わかるよねっ?」
――かさなりあうれんさのさきにこたえがあるはずですから。
なるほど、そういうことか。こいずみのみがあぶなういというぜんていでかんがえるのはさけていたんだがいたしかたない。
つまり、こういいたいんですね?
「はんにんがわからかんがえろと」
「そーいうこと!」
はんにんがさついをもってよびだしたとかていするならば、おそらくにんきのないばしょへとゆうどうするはず。
ながとのときどうようのてぐちでかんがえればだ。かつきょりはちかく、ちょっとそこまでで、ことがすんだのちにいんぺいできそうなばしょ。
「ためいけ、それもよりいっそうきぎがしげったこうえん。そののちはしずめていんぺい」
このかんがえはできればはずれていてほしいものだが。
ともかくかのうせいをつぶさないことにはどうにもならない。
「じゃ、またねっ! ……あっ、わすれるとこだった。
うちのクラスはこんねんもやきそばつくってまってるからたべにきなよ!
みずはタダ、すきなだけのみほうだい! かわいいこもそろってるよー!」
つるやさんはみずとあぶらならにばちがいなくうきをまといつつ、ゆうぐれのまちへときえていった。
206 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 21:28:31.33 ID:v9J8Gv4U0
はんにんがわのしてん。
てがかりがことごときているげんじょうでは、これにまさるしゅだんはない。
それはわかる。
だがなにか……なにかがひっかかる。
なににひっかかっているんだ、おれは?
「キョンくんだいじょうぶ?」
「え? ああ、はいだいじょうぶですよ」
「またあたまをおさえてましたけど」
「いつものずつうです」
もうすぐ”みる”ことになりそうなきがする。
それをかんがえるとはやくもへきえきとしてしまう。
たのむ、ぶじでいてくれこいずみ。
いままではあのニヤケめんのスマイルがうっとうしいとおもっていたが、
それをこんごいっさいめにできなくなるのはさかさびしいじゃないか。
またあえたあかつきにはそのえがおをこころからほめちぎってやる。
チェスでもオセロでもびみょうにまけてやる。
だからこいずみ、ぶじにかえってこい。
208 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 21:49:55.33 ID:v9J8Gv4U0
ようのひかりをうばいあうきぎが、がいかいをしゃだんするようにさかえているこうえん。
ないぶめんせきはそれほどひろくないにせよ、
はじのほうにもうしわけていどでおかれたがいとうだけではあたりをてらすにはふじゅうぶんすぎるといちもくでわかる。
さらにはゆうぐがじゃくれ、とそうもはげおち、ふだんからにんきがないことがうかがえる。
「くらいですね、ここ」
まだかたむいたひざしがあるにせよすでにがいとうがたよりなくかがやいていることから、
きゃっかんてきなたちばでみてもあんたんとかんじるのはまちがいないだろう。
そしてやはりおれのきがまいりそうになっているのは、
こうえんおくのベンチからただならぬけはいがつたわってくるからである。
そう、かんじたのだ。
「みつけました」
あさひなさんにみじかくつげてさそわれるようにあゆみよっていく。
ひしひしとおそいくるいやなよかんをしりぞけながら。
「やってみます」
しんこきゅうをひとつおいたあとおれは――
ベンチのせにふれた。
210 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 22:04:47.18 ID:v9J8Gv4U0
ザザッ。
ザァー……
でんりゅうのようなしょうげきがあっというまにとけていく。
どうじにさきほどまであったくうきやおとといったしつかんが、ホワイトノイズのなかへとうもれていく。
すなあらし。そのおくのろうなビジョン。
いつもいじょうにしかいがきかない。
はなれたいちはくろでぬりつぶされみとおせない。
つまりはおそらく、じかんたいがやぶんであることをさしている。
にらむ。
だんだんとはれゆくせかいのなかで、”おれ”がベンチにこしかけているらしいことがわかった。
どうやらほうこうてきにはこうえんいりぐちのほうをむいているらしい。
だれかをまっているのだろうか?
そうすいそくしはじめたころ、ひとかげがゆれた。
くらくとおすぎるしょいでせいべつやねんごろすらもみとりれない。
だんだんとちかづいてくる……
しえた。かたうでをあげている。
そしてくちがうごいた。
『やぁ、どうも』
こいずみだった。
212 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 22:24:20.02 ID:v9J8Gv4U0
こいずみがおれになにかをさしだしてきた。
しろいかみのそく。
そこにデカデカとかかれただいじ。
『けんりつきたたかじけん』
これはおれたちにわたされていたものとどうとうのものか?
……いやちがう。
おれたちへわたされたものにはきたたかとじけんのまに”さつじん”のもじがあったはずだ。
それにだいじのみぎすみに”ちょうかんとく”いんがこれみよがしにおされている。
かんぜんばんのだいほんか。
おれはそれのなかみをみているようだ。
しかしあらいえいぞうではこまかいもじをよみとけない。
ときおり、こいずみがゆびでかしょかしょをさしている。
ちゅうもくすべきてんでもみつかったのか?
おれがこいずみをみた。
こいずみはわらっていた。
『やれやれ』
というかたをすくめるポーズ。
おれもそれをひととおりながめたあと、どうやらだいほんをつきかえしたようだ。
『では』
そしてこいずみがせをみせた。
214 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 22:45:33.60 ID:v9J8Gv4U0
(まて!)
そうさけんだしゅんかんには、すでにこいずみのせにナイフをつきさしていた。
せなかみぎがわ、ややしたからうえほうこうへとむけたきどう。
かんぞうをねらった。
それにくわえひだりてでこいずみのくちをふさぐ。
かんぞうをさせばげきつうがはしりそくざにいしきをうばえるが、
そのみ、きをうしなうまえにこえをあげられるかのうせいがたかいからだ。
だがよそうにはんし、こいずみはたおれなかった。
ふりほどくようにみをよじり、たいそうにあばれだした。
ちらりとうかがえたくもんのひょうじょうからつたわってきた、そのひっしのていこう。
おれはこいずみをだまらせるようにナイフをねじこむと、
ひだりてでのくびなげとあしはらいをかねてじめんにたたきづけた。
はをくいしばっている。
じめんにたおれたこいずみが。
それをいっしゅんだけみおろし、すぐさまナイフのにぎりをたしかめると――
きょうふでひずんだこいずみのみぎめに、ソレをおしこんだ。
216 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 22:48:24.64 ID:KM+cLT1s0
さあしょうしょうりょうきてきになってまいりました
219 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:04:20.15 ID:v9J8Gv4U0
びきする。
ながとのときのように。
トドメをさしうごきをとめたモノであるこいずみを、あんがりのなかへとはこんでいく。
おくへ、おくへ。
ベンチのうしろのさらにそのおくへ。
ためいけにりんせつするはやしのなかへ。
やがていけへおちこむけいしゃとなったばしょまではこびおえると、
そこからごういんにけりおとした。
ころがっていく。
こいずみがころがりおちていく。
おちばのうえでたたきつけられ、ごろごろと。
やがてさいごのけいしゃからころげおちると、こいずみははもんをのこしながらすいぼつしていった。
きたないすいていのなかに。
おれはそれをみとどけると、おちていただいほんもなげおとした。
それらはかぜのていこうをうけてはらりとまいちり、
あたりにひろがったのをかくにんすると――
220 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:07:44.63 ID:v9J8Gv4U0
「なっ……!」
せかいがもどった。
くるしい。いきをしなければ。
「キョンくんっ!」
あさひなさんのおんかみをせなかにかんじる。
おれはじめんにつっぷしていた。
かおをおこしみをあげるとすながこぼれおちていく。
だがそんなものにかまっているひまはない。
いまのえいぞうがほんものだとするとこいずみは……
「あさひなさんはそこにいてください!」
はしる。
ベンチのうしろ、ボロボロのフェンスでしきられたむこうがわへ。
それをこえてきぎがはいしげったいちめんをみおろす。
けいしゃがキツく、あんがりでみえにくい。
めをこらす。
どこだ、どのあたりだ!?
いちまいのかみきれ。
そのおくにかみきれ。
そのおくにまたかみきれ。
それらをおったさきに――
こいずみがいた。
そうはくなかおいろでじょうたいをきしべにさらしたかっこうで、こいずみがしんでいた。
221 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:14:33.62 ID:WVKNkBduO
こいずみ…
222 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:19:01.91 ID:v9J8Gv4U0
「キョンくん……」
「あさひなさんっ!」
はいごまできていたあさひなさんのかおが、いっしゅんにしてきょうがくにみちていた。
いっぽ、にほ、ときかいしかけのようにうしろにしりぞいていく。
あわててちかよりだきやめると、かのじょはそのままきをうってしまった。
くそっ、おれだってたおれちまいたいくらいだ。
ちくしょう、こいずみまでやられちまうなんて……
ばかか、そんなことあるわけが……
「なんなんだいったい、なにがどうなってやがるんだ!?」
どごうがじゃくれたえんないをはんしゃし、おれじしんへとおりそそいできた。
さけんだところでなにもしんてんはしない。
それはわかっている。
しかしどうしようもねぇじゃねぇか。
「ちくしょうがッ!」
このままだとあさひなさんをなぐりつけてしまいそうなきがし、
きゅうばしのぎとしてベンチにねかせた。
おちつけ、れいせいになれ。
やることがある。
しらべなければ。
てがかりを。
こいずみがのこしてくれたいとぐちを。
223 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:32:45.33 ID:v9J8Gv4U0
やはりこいずみはいきたえていた。
がんきゅうがこぼれみずをすったむざんながんめんは、ちょくしするにたえがたかった。
すまん、こいずみ。
なにもしてやれそうにない。
そっともくとうをささげ、”げんば”をさがっていく。
みちをつくるようにおちばがあれている。
つまりこれはまちがいなくあのえいぞうでみたとおり、うえからたたきおとされたことをしめしている。
こいずみのしたいがきしべについているのは、おそらくじかんがたちふじょうしたためだろう。
じんたいをしずめきるにはたいじゅうどうとうのじゅういしがひつようとなるが、
それをやらなかったのはじかんがないためかちしきがないためか、あるいはあえてはっけんさせるためか……
いや、はやがてんはよくない。
いまはじょうきょうをかくにんするにとどめておこう。
しかしうえのフェンス。
あれをだえあげるのはそれそうおうにくろうしそうなものだが。
わきにはかなあみがやぶれたいちもあるが、あのせまいかしょをとうればいふくがズタズタになりそうでもある。
だがこいずみのいふくにさしきずいがいのわかれはみあたらないし。
ちっ、えいぞうのだんぺんがかけていなきゃいちもくりょうぜんなのにな。
なぜ、にんいにつかえないんだこののうりょくは。
やくにたつようでやくにたたない、えんかいげいならにちんぷなきじゅつかよ。
おちつけ、おれ。
ぐちるのはあとだ。
いまさぐるべきいちばんのじょうほうは、このちらばっただいほんだからな。
227 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 00:01:58.76 ID:SDS4EPFS0
ぜんぶでよんまいみつかったかみきれには、かんそなじたいでおどろくべきじょうほうがきさいされていた。
みぎしたのページばんごうをもとに、わかいじゅんによみあげていく。
いちまいめ
『かくとうじょうじんぶつのさつがいほうほうとさつがいじこくについて』
このぺーじでは、さつがいにちじ、さつがいげんば、もちいられるきょうき、ほうほうなどをれっきしていく。
かくえんぎものはそれをもとにえんじることになるため、
ひつようじこうがいちもくでわかるよう、このようなかたちをとらせていただく。
いかしょうりゃく。
にまいめ
『えんぎもの:ながとゆうき』
にちじ:11がつ9にち 18とき38ふん。
ばしょ:いとうじんじゃ。
きょうき:ナイフ
ほうほう:けいぶへのいちげきによるこうじょうなんこつのそんしょうおよびちっそく。それにともなうけいどうみゃくのだんれつによるしつちし。
あとしょりをすませしだい、ほんでんしたへいんとく。
いかしょうりゃく。
229 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 00:15:52.31 ID:SDS4EPFS0
さんまいめ
『えんぎもの:こいずみかずき』
にちじ:11がつ11にち 22とき03ふん。
ばしょ:こうえん。
きょうき:ナイフ
ほうほう:かんぞうのそんしょうによるぞうきふぜん。およびがんきゅうへのいちげきによるのうぶそんしょう。
あとしょりをすませしだい、いけにとうき。
いかしょうりゃく。
よんまいめ (このかみだけページばんごうがとんでいる)
『はんにんとたんていのたいじ』
さんけんのはんこうをおえたざいにんは、たんていによってはくじつのもとへとさらされる。
そのきわ、じゅうげきをうけてしぼう。
いじょうのてはずで、ほんえいがのラストシーンはまくをくだろすこととなる。
きていそとのこうどうはとりえない。
230 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 00:23:21.26 ID:SDS4EPFS0
きになるのはだ。
このだいほんのかぶには、ページばんごうとともにじぺーじのだいがちいさくきさいされているというてんだ。
いちまいめには『えんぎもの:ながとゆうき』
にまいめには『えんぎもの:こいずみかずき』
そしてそのさんまいめ。
つまりはこいずみにかんしてのじょうほうがきさいされているページかぶ。
さんまいめには『えんぎもの:あさひなみくる』
それまでのほうそくをあてはめてかんがえるならば、
ふんしつしているほんらいのよんまいめには、あさひなさんのえんぎじょうほうがきさいされていることになる。
すなわち、さつがいにいたるしょうさいなじょうほうが。
つまり、つぎのぎせいしゃはあさひなさんということか?
なにかしゃくぜんとしない。
もっとじょうほうがほしい。
そうおもいたちふきんのそうさくをつづけたものの、みつかったかみきれはその4まいきりだった。
かぜにながされたのだろうか?
あのえいぞうではふせんめいながらも、それなりのたばにみえたのだが。
いや、みまちがいというかのうせいもひていはできない。
が、やはりふにおちない。
どうなってやがる。
224 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/08(みず) 23:34:32.18 ID:lshRBmH80
キョン「なぞはすべて、とけた
ながとたちをころしたしんはんにんスコーピオンは、このなかにいる!!」
235 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 00:49:53.85 ID:j5Hq1MsT0
じっちゃんのめいにかけて
239 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 01:41:27.89 ID:SDS4EPFS0
ひっかかる。おれはなにかにずっとひっかかっているんだ。
しかしそれがなにかがわからない。
どうやればそれをさぐれる。
「あのー、キョンくぅ〜ん?」
あさひなさんがめをさましたのか。
だとしたら、またこちらへとこられてたおれられてもめんどうだ。
「あさひなさん、きぶんはまされましたか?」
「まされるわけないじゃないですかぁー」
きずかいのじょうとうくをのべたおれに、かんがえてもみればとうぜんなはんろんをほうっったあさひなさんは、
さきのじょうけいとじじつをおもいだしたのかふたたびぽろぽろとなみだをこぼしはじめた。
「すでにつうほうはしておきました、そろそろけいさつのほうがみえられるはずです」
「あの、やっぱり、ぐすっ……こいずみくんはっ……」
おれはじじつをつげた。
「なんでこいずみくんまでっ」
それはおれだってしりたい。
だが、それがわからないからこうやってにんがしんでいくんだ。
そしておそらく、つぎはあなたのばんになるかのうせいがきわめてたかい。
ふたたびこえをころしてなきだしたあさひなさんをまえにして、
おれはだいほんのないようをどうつたえるべきかのしゅんじゅんにおわれ、
ただたちつくすことしかできなかった。
241 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 02:08:58.10 ID:SDS4EPFS0
げんざいじこくは18とき00ふん。
こうえんにとうちゃくしたのが17とき30ふんすぎで、
それからこいずみのはっけん、つうほう、おれのそうさくというながれをかねてのじかんけいかだ。
「また、きみたちかい」
すうにんのけいかんたいのなかからあぶれるように、にゅうわなものごしをたずさえたしふくけいじがたずねてきた。
いっさくじつ、おれたちをじたくまでおくりとどけてくれたにんだ。
「なんといっっていいか……まずはそうだね、ふこうだったとしかいえないね。
あと、ねんのためにきかせてもらうけれど、どういったけいいでここまできたんだい?」
おれはこんらんしそうなあたまをおさえることでおちつかせ、かんがえをせいりしてからこたえた。
「きょうがっこうであうはずのゆうじん、こいずみのなめがたがしれず、しんぱいになりました。
けんのながとのけんもあっていやなよかんがしたために、おれはこいずみのなめがたをゆうじんにたずね、
けいたいでんわもつうじず、それでますますふあんにかられて
あさひなさんとともにこいずみのじたくへとむかいました。
それでこいずみがさくばんからかえっていないというはなしをうかがい、ふきんをそうさくしたところ……」
「はっけんしたと」
「はい」
そこでいったん、どちらともなくことばがきれた。
たがいにすじゅうびょうちかくむごんのままかんがえこみ、ふたたびいをとったのはけいじだった。
「それにしても、こんなわかりつらいばしょなのによくはっけんできたものだね」
こえのトーンががくりとおちている。
ふあんをかんじあいてのがんこうをけんやると、あきらかなぎわくのねんをようんだまなざしに、おれはしゃぬかれていた。
242 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 02:32:59.13 ID:SDS4EPFS0
「まさか、おれをうたがっているのですか?」
「ああ、そのとおりだよ。くんだけでなく、そのとなりのかのじょもな」
きゃっかんてきにみればそうだろう。
だれだってこのじょうきょうでは、だいいちはっけんしゃをうたがうにきまっている。
ましてやおれはにどもつづけてはっけんし、かつふたりともとSOSだんというつながりがある。
さらにはなんだ、はっけんにいたったきめてがかこしだかサイコメトリーだかだって?
そんなものしんじてもらえるのか?
いままでのSOSだんかつどうですら、まわりにはふかかいなめでみられてたってのに?
とはいえへたなうそなどはこうものなら、ほんとうにようぎしゃのひとりとしてなざされかねない。
えんざいたいほでしんぶんらんをかざっちまう、なんてじつれいもなんどかもくげきしたこともある。
だったらおれは、ちょうのうりょくとやらをまじめかおでうったえるべきなのか?
にんいではじつえんすらできないのにか?
あたまがいたい。
どうすりゃいいんだよ。
かのようにしょうそうのかなたにあったおれのこんわくをどううけとったのか、
けいじがしぶあじとえみをまぜあわせためんかまえでいっった。
「ま、はなしをきかせてもらったかぎりだと、それなりのすいそくをおもねてこのばしょへとたどりついたようだしな。
なによりくんがあくにそまるようなにんげんにはみえそうもない。
もしなんらかのかんれんをもっているのならば、こうやっていったんのけいじににらまるとかおりがでるからね」
ひょうじょうではうすくわらってはいるが、けいかいのしょくはただのいってきたりともとかれてはいない。
それががんこうこしにつたわってくる。
244 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 02:45:48.98 ID:SDS4EPFS0
「わたしはまちのへいわをまもるのがしごとなわけだ。うたがえるかのうせいはすべてあたらなくちゃならない。
きみたちにはおもねていうことにもなるが、あまりよるはであるかないほうがいい。
これいじょうのぎせいしゃをださないためにも、そしてきみたちじしんのけっぱくのためにもだ」
ところどころでちからづよくためることば。
それにはみょうなせっとくりょくといあつかんをうみだすこうかがあるらしい。
「さあ、こんにちはもうかえりたまえ。
じきにようがおちるから、それよりもはやくいえにかえっておとなしくしていなさい」
そのことばでおいだされるように、おれたちはげんばとなったこうえんをのちにした。
たかしもはいごからおりそそぐさすようなしせんにきがつかないフリをして、
あさひなさんとふたり、あんがりとかしはじめたきろをたどりはじめた。
246 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 03:05:22.08 ID:SDS4EPFS0
――きみたちがうそをもじじつとしてかくしとうせるいちりゅうのえんぎものならば、はなしはべつだがな
さりさいにつぶやかれたひとことを、おれははんすうしていた。
たんなるじしゅせいさくえいがのしゅつえんしゃでしかないおれに、そうまでできるじしんはない。
そんなことよりもだ。
けっきょく、はなしそびれてしまった。
ちょうのうりょくのことも、そしてかばんのなかにしまっていただいほんのことも。
だって、あのじょうきょうでそれらをくちにだしてもみろ。
そくざにパトカーへむかっておやゆびをさされちまいそうだ。
だがどうする?
あさひなさんにきけんがせまっているいじょう、なにかてをうたなければならない。
なら、あさひなさんにだいほんのけんをつたえるか?
いや、それをやったところでふあんがらせるだけであり、なんのかいけつさくにもならないきがする。
そのようにバラバラとまといらないさくをねっていたおれに、あさひなさんがといかけてきた。
「もしかして、あたしたちSOSだんのみんながねらわれちゃっているんでしょうか。
こいずみくんもえいががどうとかいっってましたし、じっさいにかんれんしているにんたちがつぎつぎに、その……」
じょうきょうからすいさつするとそれでまちがいないはずだ。
だが、
「させません」
それをみとめるわけにはいかない。
248 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 03:31:26.15 ID:SDS4EPFS0
たそがれときもしゅうきょくちょくぜんをむかえ、かげがむげんにのびきるじかんたいとなってきた。
あたりではしゅのひかともののかげがあいまいにとけあわさり、みとおしがひじょうにききにくい。
そのようなじょうきょうかでだ。
ふと、ややおくれてほをとっていたあさひなさんのほうをふりかえったとき、
かのじょのはいごはるかとおくにひとかげをみつけたのだ。
だれだ?
なんとなくきにかかり、めをこらしてみた。
するとあいてもおれのしせんにきづいたのか、じゅうたくのかげへすいこまれるようにながれきえた。
「あさひなさん、ちょっといってきます!」
ぎゃっこうとひかりかげんですがたがはっきりしなかったが、
ぼうしをめしんにかぶっており、ラフなふくそうであのようす。
つけられている。
そうかくしんし、おれはかけたのだ。
じゅうすうびょうであいてがきえたかくまでつき、みまわした。
……くそ、だれもいない。
いりくんだじゅうたくがいではおおうにもわかれみちがおおすぎる。
「どうしたんですか?」
ようやっとかけつけてきたあさひなさんには、
「いえ、きのせいでした」
とこたえるほかなかった。
250 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 04:00:17.70 ID:SDS4EPFS0
おれがあさひなさんをおくりとどけたときには、すでにようがおちゆうやみがおとずれていた。
おれたちはくらくそびえたっているあさひなたくをまえにして、ことばをまじわしていた。
「すみません、またおくってもらっちゃって」
「いいんですよ」
「じゃあ、その……」
あかりがともっていないいっけんや。
しゅうちのとおり、ひとりぐらしなのだからとうぜんでもあるが。
「あのっ」
あさひなさんはそのげんかんとびらをひらきかけたところで、ふたたびこちらへとむきなおっった。
おびえるようなきたいするかのような、なんともびみょうなひょうじょう。
じつになやましいね。などとじょうじならではのていくをとばせるくうきではない。
「あの、そのぉ……キョンくんって、こんやいそがしかったりしますか?」
やっぱりそれしかないか。
おれじしんあれらかもなやみつづけたものの、なにひとつめいあんがおもいうかばなかったまつに、たんてきなひとつのほうほうをおもいついていたのだが。
もしあさひなさんがくちをひらかねばおれからいおうとかんがえていたさくを、どうやらかのじょがだいべんするようだ。
「もしよかったら、その、いっしょにいてもらえないでしょうか?
あの、めいわくでなければでいいですけど……」
ふくあさひなさんにかけることばなど、SOSだんせつりつとうしょからきまっている。
「もちろん、おちからぞえさせていただきます」
ことわれるはずもないさ。
255 なまえ:いか、ななししにかわりましてVIPがおおくりします[] とうこうにち:2008/10/09(き) 04:31:07.41 ID:E/e2+iciO
かきょうか…
